まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

外国の法制度導入思考の転換を

2007-09-01 00:33:00 | 商事法務

前回に続いて、会社法のクレーマーです。

○ 外国の法制度・知恵・経験・ルールは勿論大いに研究すべきものと思いますが、ルール制定に当たっては、安易な「導入」ではなく、本質的な点は何かを何度も考え議論を重ねて日本に最適なルール・制度を「創設」して欲しいと考えています。即ち、「日本人による、日本の事情を踏まえた世界に誇れる会社制度・会社法・ルールを創出すること」を、日本の立法者・学者・法務関係者は目指すべきだと考えています。まあ、会計基準等は、国際的に統一されたルールの方がよいと思いますが、やはり法制度はその国の実情を踏まえて、望ましい方向性を打ち出すのが良いと思います。

○ ご承知の通り、商法は明治32(1899)に制定されました。いろんな紆余曲折があったようで、ともかく西欧の諸制度導入で近代化を計っていた政府・法典調査会メンバー(梅、穂積、富井各博士その他の方)等もご苦労をされたのではと想像しますし、先人の業績のおかげで今日があるのは十分敬意を払いたいと思います。その当時としてはそれでやむを得なかったと思います。その後、1938(昭和13)にはドイツのGmbHにならい有限会社法を制定しましたね。戦後、米国の強い影響を受け、1950(昭和25)には授権資本制度・株主代表訴訟・無額面株式などの英米法的な制度が導入されました。

○ しかし、この体質と発想が未だに残っています。相変わらずの物まね体質はなんとかならないものですかね。最近の会社法等をみると、各国でどの様になっているかを調査・検討して、日本的な味付けをして、あるいは形式だけをまねて導入しているようです。勿論各国の状況を調査し参考にするのは結構ですが、それが日本に最適か、日本の実情にぴったりか、どうも本質的な議論か欠如している気がしています。

○ 経済産業省・企業価値研究会は、2005.5.27に企業価値報告書を公表して買収防衛策のルール作りを提言しました。報告書の公表までにはわずか9回で一回2時間の議論しかしていません。わずか18時間の議論だけで、日本の企業社会に影響するルールを作ろうというのは如何なものですかね? 内容は、日本は敵対的M&A・防衛策のルールについて知恵と経験が不足しているので、欧米の例を検討して少し日本的味付けをして「導入」、しかも欧米と類似のルールを導入すればグローバルスタンダードに合わせられるという発想です。委員の方は、事務当局の用意したストーリーに乗って、一ヶ月に一回開かれる会議で単にコメントを述べただけではないでしょうか。

・ 何故、例えば週3回ぐらい時間制限無しで徹底的に議論しないのでしょうか。会社は誰のものか、企業価値とは何か、欧米のDCFDiscounted Cash Flow)という考え方自体日本に適切か、授権資本制度の枠組みや、経営陣が株主を選べる第三者割当制度の問題点もきちんと考えた上で、誰の利益をどの程度保護すべきか、どのように調整するか等を「自分の考えに基づき」十分議論すべきだと思いますね。

 私は、こういった「導入という発想」自体が気に入りません。この発想はハッキリ言って止めて欲しいと思います。自分の頭で徹底的に考え創出するという発想・態度・思考の欠如だと思います。「日本発世界に通用するデファクトスタンダードを自ら創出する」という発想の立法者・商法学者は日本にいないのでしょうか?もっと自分の頭で考えて自分の意見を持って、これを基に議論して一層努力して新しい日本に最適なルール作りを目指して欲しいと思います。


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