まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

非公開会社のMBOの株式取得価格等

2012-09-17 23:55:07 | 株式関連

 

 今回は、非公開会社のMBOの株式取得価格についてです。上場企業のMBOについては、経済産業省がH19.8.2MBO報告書を出しています。正式名は「企業価値の向上及び公正な手続確保のための経営者による企業買収(MBO)に関する報告書」という長ったらしい名前です。MBO報告書では、上場企業がgoing private即ち、上場廃止を前提に行う場合を想定していますが、ここで言うManagement Buy-outは、その意味通り対象企業の経営者が、自分の持株比率を増やして、自分でコントロールするという場合を想定しています。

 

 全株式譲渡制限会社は、創業者が株式のかなりを持っていることも多いのですが、大企業が、事業企画者を社長に据えて、新規事業を始めた例も多くあります。ところが鳴かず飛ばずだったり、売上規模がいまいちで、大企業の間尺に合わないときとかに、その経営者が(大企業に戻る部署も無くなったりの事情があるときもあるけど)MBOを行ったりするときもあります。100%子会社の場合もあるけど、事業開始の時に合弁にしたり、取引先を入れて少数株主がいる場合もいろいろあります。最近は、大企業も選択と集中、あるいは上場企業の内部統制上の理由もあり中途半端な会社の整理に努めていますので、その会社の経営者がMBOをするというときに、親の方も売却に応じる例も多くなっていますね。

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 非公開企業の場合は、別に発行済み株式を既存株主から取得する場合もありますが、同時にVC・取引先等に第三者割当増資をお願いするとともに、既存株主から株式を取得する例もあります。大企業が、その会社を作るときに頼まれて、ろくにメリットもないのに、まあつきあい出資をさせられた。しかし、経営陣がMBOするので、これを機会に売却してしまおうとする例もあるわけですね。またその対象会社と取引をしている会社等が、新たに株主として資本注入してくれる場合もあります。当然既存株主からの取得では、対象会社にcash injectionされませんから、対象会社にとっては、第三者割当増資の方が良いわけですね。経営者も、既存株の取得とともに新株を引き受ける訳ですね。

 

 では、このときのMBOの買収価格は、どのように決まるのでしょうか。売却側(=主として少数株主)としての最低ラインは、簡単です。譲渡制限会社ですから、株式は簡単に売れません。自分の出資金額プラス十分な金利を載せた金額、あるいは売却時の時価ベース純資産、いずれか高い方ですね。前者は、元本保証プラスαですね。今の定期預金金利よりましです。後者は、税法の問題ですね。低額譲渡が起こらないようにするわけですね。あとは当事者の交渉ですね。売りたさの程度ですね。少数株主ががめついこと言っても、どうせ会社の経営に影響力あるわけでもないし、少数株主側が上場企業なら、四半期毎に評価しないといけないし、最低ラインだけ確保すれば売ってしまえということも、ままあるのですね。少数株主だと、独立した第三者評価機関の算定書など、多額の投資のときは別ですが、たいした金額でもないときは、これで売却お願いしますと言えば、案外最低ラインぐらいで決着しますね。

 

 上場企業対象のMBO報告書では、①株主の適切な判断機会の確保を前提に、②意思決定過程における恣意性の排除、③価格の適正性を担保する客観的状況の確保、④その他(①の見地から株主意思確認を尊重)というまとめ方をしており、MBO 価格については、独立した第三者評価機関からの算定書等を取得するとしていますね。またH1812月には当時の証券取引法の公開買付規制で改善は計られていますし、証券(金融商品)取引所の要請もありますね。MBO報告書では、企業価値の向上するMBOなら良いとしています。相変わらずの単細胞的発想です。私が株主なら企業価値の向上するMBOなら株式を売りませんね。この矛盾の説明はありません。経営者と買収ファンドが裏で、何ヶ月も前から打ち合わせて、株価下落を招く業績下方修正を発表したりする危険性は、勿論理解しますが、売り主も何か意図的・恣意的操作されているのではと思わないのでしょうかね。まあ、上場企業で、この種の問題が起きたのは、H18年の証券取引法改正前に、レックス・ホールディングの案件がありますが、その後はこういった問題は起きていないようですね。

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