まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

Tag Along & Drag Along条項の濫用

2013-03-03 11:10:46 | 株式関連

 

 最近の海外の株式・投資にまつわる契約、即ち合弁契約(株主間協定)や投資契約には、いわゆるTag Along (Co-sale) right条項とこれの裏表一体のDrag AlongBring Along)条項が入ることが多くなりました。これにならって国内のVC等も、投資契約の中で、似たような条項を入れるようになりました。日本の会社法にも自社株を会社に買ってもらって自己株にするときに、このTag Alongの類似条項があります。この条項は、Financial Investorが投資先から逃げて資金回収をはかる為に考え出された条項だと思っております。私は、きちっと事業を行うことを前提とした合弁等の事業投資を行う企業(Strategic Investor)の契約には必ずしも適切な条項ではないと思っています(勿論、状況によっては適切な場合もありますが)。この条項は米国のVC等か考え出したもので、ものまね好きの日本のVCが取り入れています。今のところ国内の事業投資家の投資契約には、渉外弁護士の知識経験をもった人にドラフティングを頼めば別ですが、まだあまりこの種条項は入っていないように思います。<o:p></o:p>

 

 

 Tag along right ? 例えば、創業経営者が過半数を持つ会社に、10-20%なりの投資をしたVCの投資契約に、創業者が株式を第三者に売却するときに、売却しようとする創業者は、その売却にVCも参加して保有株式を、持株比率に応じた売却する権利を与えるもので、創業者との投資契約に規定されます。買主である第三者は、当然契約当事者ではありませんから、VCは嫌いだからお前から株は買わないと言ったときに、どうするか迄は一般的には規定していません。勿論、規定の仕方はありますね。創業者は第三者に自社株を売却して、比率に応じた株式を、創業者自信が購入する義務を負わせるという手当も考えられます。<o:p></o:p>

 

○ Tag along類似の条項は、会社法にも規定されています。但し、特定株主から合  意の上、会社が自社株(自己株)を取得する場合ですね(従い、株主間だけの契約では駄目で、会社も契約当事者になる)。特定株主から株式を取得しようとする場合は、①他の株主に、自己を売主として追加するよう請求できる権利を与えています。しかし、②会社法156条で総会決議事項とされ、また309条で特別決議事項 となっていますし、③その総会では、特定株主の議決権は排除されますね(160)。株主平等といいますか、不公平排除の規定ですね。但し、自己株取得ですから財源規制が働きます。<o:p></o:p>

 

 Drag Along (Bring along) ? 上記のTag alongは権利ですが、こちらは義務ですね。少数株主の売却参加義務ですが、売却する株主から見れば、少数株主を道ずれ出来る権利です。創業者が、持株全部を第三者に売却するとき、他の全ての少数株主に、同時に売却義務を課す、創業者と少数株主間の契約に見受けられる条項です。買収者が100%買収を希望するときに有効ですね。仮にこの条項が無くても、買収者が2/3以上の株式を取得すれば、種々の方法で追い出されますので、VCに取っては手っ取り早く売り飛ばして、投資資金を回収する手段ですね。

 

 上記のように、Tag along & Drag alongの条項は、基本的にはVCが投資資金を回収する手段です。長期的信頼関係に基づき、合弁パートナーと合弁事業を行い、こつこつと田んぼ(事業)を育てる農耕民族の日本のメーカには不向きな条項ですね。こういった類いの合弁契約には、Pre-emption rights on new share issuesとか、Right of first refusalぐらいの規定で、良いのではないでしょうか。<o:p></o:p>

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 代理店保護法制 | トップ | 米国独禁法の概要① »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

株式関連」カテゴリの最新記事