まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

1株純資産算出基準の不合理

2009-04-04 01:46:31 | 企業一般

1株当たり純資産額の算定については、企業会計基準第2号「1株当たり当期純利益に関する会計基準」及びそれを受けた企業会計基準適用指針第4号「1株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針」に規定されています。現在の基準は、H18.1.31に企業会計基準委員会が改定したルールに従っていると思います。それによれば、以下にて算出することになっています。

1株当たり純資産額=(貸借対照表の純資産の部の合計額-控除する金額)/(期末の普通株式の発行済株式数-期末の普通株式の自己株式数)

  なお、連結財務諸表において1株当たり純資産額を算定する際に控除する自己株式数には、子会社及び関連会社が保有する親会社等の発行する普通株式数のうち、親会社等の持分に相当する株式数を含めるものとする。

控除する金額

1) 新株式申込証拠金

2) 自己株式申込証拠金

3) 普通株式よりも配当請求権又は残余財産分配請求権が優先的な株式の払込金額(当該優先的な株式に係る資本金及び資本剰余金の合計額)

4) 当該会計期間に係る剰余金の配当であって普通株主に関連しない金額

5) 新株予約権

6) 少数株主持分(連結財務諸表の場合)

     上記の控除する金額について、よくあるケースは3)&5)ですね。配当優先・残余財産分配優先の種類株式がよく発行されていますからね。例えば、三菱自動車工業等は、A種優先株式からG種優先株式まで、山ほど優先株式を発行しています。ということで、1株純資産については、変な?金額が、有価証券報告書に記載されています。即ち、H20.3末連結ベースの純資産額は3,280億円ぐらいあります。ところが、1株純資産の金額は、△21.81円となっています。

○ 1株当り純資産額の計算は、単純にかつ常識的に、以下とすべきではないでしょうか。

1株当たり純資産額=(貸借対照表の純資産の部の合計額)/(期末の発行済株式数-期末の自己株式数)

○ その理由としては以下です。

- 配当優先株式を発行していても、分配可能剰余金がなければ配当できません。

- 残余財産分配優先権付種類株式を保有していても、会社がつぶれたら、一般債権者でもまともに回収できません。会社の解散・清算のときに、残余財産等分配されている例が(ファンドを除き)どれだけあるのでしょう。この優先株も、会社が事業を継続する為に発行されるものです。会社が解散に際し、優先株主に先に分配し、普通株の株主にはその残余が分配されるので、考え方としては控除すべきであると考えたのでしょうか?継続企業が前提になって、あるいは会社を継続的に存続させるために発行されるにもかかわらず、残余財産分配優先株式の払込金額を控除して、1株純資産を計算するのもおかしな話だと思います。

-         申込証拠金は、払込期間に新株払込を行った金額ですね。当然払込期日になれば資本金・資本準備金となります(払込者はその日から株主)。一旦払い込んだ申込証拠金は取り戻せません。新株予約権でも同じですね。取り戻せない金額をどうして控除するのでしょうか?

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