まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

企業価値・投資収益評価-DCF法について

2007-02-06 00:41:52 | 企業投資

企業が新規事業等を始めるときには、事業計画を立て、B/S,P/L,CashFlowを作成し、投資収益(Return on Investment=ROI)を計算します。新規に事業を計画するときは、勿論きちんと計画を立てないといけませんので、ナンセンスとは言いませんが、私は数字などには興味はありません。定性評価と事情(事業を推進する本人がやる気で作成しているか、上から数字作れと言われ単に作っただけなのか等)と勘に基づき判断します。

まあ、ROIの数字というのは、それを作成した人の現時点での意思表示ということでしょう。

ROIの計算には、いろんな考え方がありますが、最近米国のCorporate Financeの強い?悪い?影響を受けて、Present Valueの時間価値を勘案したDCF(Discounted Cash Flow)で、IRR(Internal Rate of Return)を算出するという考え方が日本でもかなり用いられるようになりました。予算に限りある2つの案件があれば、IRRの高い方を選択するというのが教科書の教えですが、そんなの空論じゃないのというのが私の考えです。

○ 伺いに記載されたROI-IRRが、その通り実現する事は有り得ないですよね。有り得ない事を前提に意思決定するのは、意思決定能力のない人の意思決定方法ですね。意思決定の本質を見ようとしない者が好む自己欺瞞の方法です。これは宝くじと似ています。一億円当たれば良いなと強く思っている内に、ひょっとしたら当たるかもしれないと思い、これが高じるとうまく行くかもしれないと思いこんでしまうという事ですね。宝くじの例は極論すぎますがね。事業検討にのめり込むと、儲かる気になって、客観的に突き放して冷静に分析する目が曇るときがあります。ROIは自分を、また周りの人を、儲かりそうな気にさせる道具になりますね。

     DCF法では、企業価値算出の際に5-10年間の事業計画(Projection)をたてFCF(Free Cash Flow)を割引率で現在価値にして、かつそれに割引率で現在価値にしたTerminal Value(TV)を加えます。

     TVの算出では、考え方の矛盾するフローの収益では無い事業計画最終年度のBSの純資産を割引率で割引現在価値に持ってきたり、またはフローの収益を使うときは現実にはあり得ない一定のFCF・成長率(0成長でもOK)が永久に続く等と仮定します。事業計画の年数、TVの設定の仕方、割引率、成長率等の数字がくせ者で、これらの前提の置き方次第で、「当事者の判断で」自由に数字が作れる算出方法ですね。

     事業計画を作成するときには、通常は右肩上がりの計画を作成します。5-10年も右肩上がりでコンスタントに成長する企業は、現実には殆どありません。

実際5-10年の事業計画を立てている会社が世の中にどれだけありますかね(例外:資源開発案件・会社)?10年後純利益100億円等とぶち上げている会社はあるかもしれませんが、これは具体的な事業計画ではありませんね。事業計画を作成するときに、まあせいぜい2-3年は真面目に計画しますが、その後は適当に右上がりにするだけですね。5-10年先など誰にもわかりません。

どうなるかわからない510年間の将来収益を作成者の判断で作り上げ、大半の企業で実現しない右肩上がりの、事実に基づかない仮想計算モデルを作成して、これがこの事業計画とか企業の現在価値だなどとしていますね。何の客観性も無い「数字遊び」のDCFですね。私はDCF法に違和感を覚えます。


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