まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

取締役会制度は見直しが必要

2007-10-08 23:11:56 | 商事法務

○ 取締役会の役割としては、①業務執行の決定及びその実行②取締役の職務の執行の監督、及び③代表取締役や代表取締役以外で業務を執行する取締役(=「選定業務執行取締役」とします)の選定と解職等ですね。

     いろいろな問題点

(1)   取締役会は無力化・儀式化・形式化していますね。重要案件は、会長・社長・副社長等で構成する経営会議等で決定されます。合議制の機関であり、取締役相互で牽制して議論して妥当な意思決定をしようという趣旨ですが機能していません。株主が選任している訳でもありません。サラリーマン重役ですし、ワンマン社長や会長等が選任、人事権を持っています。派閥が出来ますし、自分に忠誠を誓う側近優遇あるいはネポティズムですね。

(2)   取締役会は業務執行の実行を行う事ができるとされていますが、合議体が実行を行うとはどういう意味かわかりません。例えば合併契約書でも、署名者は代表取締役です。

署名者が、ABC株式会社 取締役会として、取締役の名前が列記してあったり、原本と同一である旨の証明付き取締役会議事録を添付して契約書が締結されているのは見たことがありません。勿論事実の表明・保証の条項に、取締役会の決議がされた旨記載してある契約書はありますが、合議体である取締役会が業務の実行をどのように行うのですか。代表取締役印はありますが、「取締役会印」等見たことありません。

(3)   選定業務執行取締役、例えば調達を任された取締役調達本部長(代表権は無し)が記名捺印した契約書があります。この契約書は、当該取締役が、会社から正式に権限を委譲されて締結したものですね。当該行為については会社を代表して行っていると考えるのが常識です。でも代表権が無いというのもおかしな話ですね。選定業務執行取締役が、自らの責任業務については代表権を有するとか、せめて責任業務を表示してなした行為については、会社は責任を免れることは出来ないとするのが常識です。

(4)  取締役の職務執行の監督を行う事になっていますが、機能していますか?職務執行を行う機関と監督する機関がどうして同じ機関なのですか?

(5)   特別取締役の制度はピンぼけ制度です。以下をご参照下さい。

http://blog.goo.ne.jp/masaru320/d/20070304

(6)   社外取締役等役立たない人を飾りで入れる意味はないですね。取締役会は1ヶ月に一回ぐらいしか開催されませんが、その時のみ出席して議案の書類に目を通すだけで、きちんとした検討など出来る筈無いでしょ。取引先の社長を入れても、自分の会社の事で多忙です。他社のことなど考える余裕などありませんし、また自社との取引に関する議案のときは、利益相反取引の承認が必要な場合もあるでしょう。

     取締役会制度が機能不全を起こしています。その対策として、特別取締役の制度を設けたり、委員会設置会社では社外取締役を必須としたり、監査役の任期を延長したり、社外監査役を必須としたりしています。小手先の制度いじりで、改善の兆し無しです。

○ 根本的に制度・システムそのものを変える必要があるのではないでしょうか。例えば、1) 議決権株10%以上保有の株主は役員指名権を有するとか。2) 累積投票の排除は禁止するとか。3) ドイツの共同決定法ではありませんが、従業員の代表を何人か取締役に指名し、総会で選任してもらうとか、4) 担当業務については代表権を与えるとか、5) 代表取締役選定は幹部による無記名投票制度にするとか等ですね。機能不全が言われているのに、いつまでたっても基本に立ち返った制度改正をしないのは怠慢です。

コメント
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