まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

監査役会・監査委員会の非常勤役員

2007-10-01 00:26:27 | 商事法務

○ 会社法381条では、監査役は、取締役の職務の執行を監査する。また、監査役は、監査報告を作成しなければならないとしています。一方、3622項には、取締役会は、取締役の職務の執行の監督と規定されています。即ち、日本では、二元的監査制度になっており、その違いは下記と言われていますね。

・ 監査(事前・事後の検査)≧監督(事前の検査)

     監査役監査=会計監査を含む業務の違法性監査+著しく不当な場合の妥当性監査

     取締役会=違法性・妥当性の監督

・ 監査役会設置会社では、監査役のうち半数以上は社外監査役でなければならないとしています(3353)ので社外監査役が選任されていますが、多くのケースで公認会計士さんなどに頼んで非常勤の監査役に就任してもらっているのが現状ですね。非常勤の役員は、忙しい人が多いですから、まあ月に一回ぐらいの取締役会のついでに開催される監査役会に出席するぐらいですね。一方、常勤の監査役は、会社の元取締役か元従業員が多いですから、取締役の職務を常勤として監査するのは、身内の人ですね。

○ 委員会設置会社では、業務執行と監査・監督の分担を明確にして、執行は執行役に任せる事になりました。取締役会は、①経営の基本方針の決定、②内部統制の決定、③監査委員会の職務執行の必要事項の決定及び④執行役等の職務執行の監督等を行うことになりましたね(4161項)。従い、本来なら執行役と取締役は兼任禁止にしないと趣旨が徹底しないというか中途半端ですね。しかし、現実は違っていますね。取締役は執行役を兼務(監査委員だけは執行役等との兼務は禁止=4004項。また従業員兼務も禁止=3313項)出来ますので、制度の趣旨とは違っており、委員会設置会社では、取締役と執行役の兼任が一般的に行われています。

・ 監査委員会は、4042項で執行役及び取締役の職務の執行の監査及び監査報告の作成(及び、会計監査人の選任・解任・再任しないことに関する総会議案の内容の決定)を行う事になっています。

・ 取締役会は、上記の通り、監査委員会の職務執行の為必要な事項を定めます(41611号ロ)。決める内容は規則1121項で、監査委員会取締役・スタッフに関する事項、執行役からの独立性に関する事項、監査委員会への報告に関する体制、その他実効的に行われることを確保するための体制です。監査委員会(指名・報酬も同じ)は3名以上の取締役で構成され、人選は取締役会決議で定めますね。委員会の委員は過半数が社外取締役にしないといけません

○ 監査委員も、実態は監査役と同じですね。常勤の監査委員は、元役員か元従業員ですね。非常勤の監査委員(=社外取締役)は、忙しい人が多いですから、まあ月に一回ぐらいの取締役会のついでに開催される監査委員会に出席するぐらいですね。

     会社法では、社外の監査・監督の目が重要として、社外取締役・社外監査役を必須としてこれを重要視して増やしてきました。しかし実態は、取締役・執行役の職務の執行をきちんと監査出来ない人が選任されています。日本では社外役員など増やしても、あまり役に立たないといいますか、制度の趣旨と実態との乖離の増幅が進んでいるようなきがします。

・ 社外役員尊重は、米国の制度の猿まねが原因ですね(米国には監査役の制度はありませんが)。委員会設置会社は、形だけまねて中身が整っていません。米国の取締役会の中の監査委員会委員は、上場企業の場合は、SECのルールで全員社外取締役でなければならないと聞いたことがあります。日本でも、社外役員がきちんと働き、監査役会と監査委員会等がその機能を発揮するにはどうすればよいのか、学者や法務省の立案担当者のみが、いつのまにかピントのぼけた制度を作らないように(もう作ってしまった感じですが)、きちんとした議論・検討を重ねて現行制度を進化させてほしいですね。

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