天命を知る齢に成りながらその命を果たせなかった男の人生懺悔録

人生のターミナルに近づきながら、己の信念を貫けなかった弱い男が、その生き様を回想し懺悔告白します

井上靖・司馬遼太郎著『西域をゆく』司馬氏は特異容貌民族ウイグル人も多民族国家中華人民共和国人民と断言

2011-03-22 21:46:26 | 日記
今日の日記は、今読んでいる西域文学の大家として高名な井上靖と司馬遼太郎による対談集『西域をゆく』(文春文庫版)のことです。添付した写真は、その著書の表紙です。
4月GW休暇で中国・新疆ウイグル自治区を訪れます。この著書でも司馬遼太郎氏が「新疆ウイグル自治区を訪ねて」(1975年)と題してエッセイを寄稿しています。このエッセイを読んで、とても印象に残った記述を以下に引用・掲載します。
『私は少年のころから、中国の内部または周辺にすむ少数民族のファンであったが、かつて新疆省とよばれたその地域は、上代、西域(狭義)とよばれた地で、東西文明の交渉史上、かぎりないロマンティシズムを秘めており、今なおその古代的交渉の渦の中にあった諸民族の末裔がすんでいるのである。そのことはウイグル人たちの顔に象徴される。モンゴロイドの諸民族が、白系人との混血によって、特異な容貌の民族をつくりあげ、西方の歌舞や音楽をタクラマカン沙漠の周辺でそだてあげ、いわゆるシルクロードの文化を保持してきた地域で、アメリカ合衆国の少数民族も米国人であるように、このシルクロードの諸民族もまた、多民族国家であるところの中華人民共和国の人民なのである。』
この著書で、司馬遼太郎氏は35年前であっても、中華人民共和国の国の成り立ちを「多民族国家」と見做しています。漢民族が大多数であっても中原以外の周辺地域にはさまざまな民族が生活しています。そして、新疆に住む漢民族ではないウイグル人でも、同じ中華人民共和国の人民とはっきりと断言しています。これは、司馬さんの中国に関する卓見した国家観です。
また、何がなんでも単一民族だけで一つの国家を作ろうとする短絡的な民族運動に、司馬さんは警鐘を鳴らしているのです。その不毛な民族対立が、住民の流血にまで発展してしまうからです。
あと1か月あまりになった私の中国旅行が問題なく実施される為には、新疆ウイグル自治区の治安状態が、今のまま何事も起こらず平穏であることが大前提です。だから、日々平穏な西域を、私は願っています。
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