天命を知る齢に成りながらその命を果たせなかった男の人生懺悔録

人生のターミナルに近づきながら、己の信念を貫けなかった弱い男が、その生き様を回想し懺悔告白します

逆の言葉「外憂内患」は古代カルタゴのハンニバル名言「頑健の肉体でも身体内部疾患に苦しむ」そのままの姿

2011-03-06 20:03:22 | 日記
今日の続編日記は、紀元前219年古代ローマに対して、一人で戦いを挑んだ都市国家カルタゴの武将ハンニバルの語った名言のことです。
このハンニバルについて、歴史家のティトゥス・リウィウス(紀元前59年頃~17年)は、自著『ローマ建国史』でハンニバルの語った「国家論」を残しています。添付した写真は、そのハンニバルの肖像を表紙した塩野七生著『ローマ人の物語 ハンニバル戦記』(新潮社刊)です。その名言とは、
『いかなる強大国といえども、長期にわたって安泰でありつづけることはできない。国外には敵をもたなくなっても、国内に敵をもつようになる。外からの敵は寄せつけない頑健そのものの肉体でも、身体の内部の疾患に、肉体の成長が従いていけなかったがゆえの内臓疾患に、苦しまされることがあるのと似ている。』
このハンニバルの名言は、正に一般的な言葉「内憂外患」を、逆に言い換えた「外憂内患」そのものです。私も、2010年1月4日付日記『「外憂内患」とは、その言葉をまったく理解できない悪行客が跋扈する現在の劇場世界のそのものの姿』で、その「外憂内患」の状態を詳しく説明しています。以下に、その記述一部を掲載します。
『何故、私がこの言葉を引用したのか? それは、中国歴代王朝が滅亡した要因を適切に言い表している言葉だからです。中国歴代王朝が滅亡したのは、外国からの圧力や攻撃に対する心配である「外憂」が第一の要因ではなく、国家などが内部にかかえる心配事(注:特に病んだ「患」部の語句が適切)の「内患」が最も大きな要因であったのです。この変革期の現象は、中国王朝だけでなく古代ローマ帝国の滅亡や日本の明治維新の改革にも同じように古今東西で顕著に見られます。この悪行客Iは正しい日本語や歴史の理解がまったく欠如しているから、このような的外れの投稿をするのです。さらに言えば、このような理解しかできない悪行客Iは、自身が我が物顔で跋扈する現在のこの劇場世界そのものが深刻な「外憂内患」の事態に陥っていることにまったく気が付いていません。これはまことに憂慮すべき危険な事態です。』
私が約一年前自身日記で言及したストリップ劇場の深刻な「外憂内患」は、現在ではもっと悪化していると、私は強く思っています。特に、私が足繁く通った都内某劇場は、その内部に巣食っている疾患(独善的応援をする親衛隊の存在)に、まったく気が付いていません。また、この疾患に病んでいる劇場は、自浄力や自己治癒力も完全に放棄している末期的状態です。
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ペトロニウス「サテュリコン」ハンニバルのサグント8カ月兵糧攻めはローマの宣戦誘発が目的と塩野氏は記す

2011-03-06 17:42:42 | 日記
今日の日記は、古代ローマ皇帝ネロの廷臣ペトロニウスが残した『サテュリコン』に書かれた『・サグントゥムの市民はハンニバルから兵糧攻めにあった時、人間の肉を食ってやろうと待ち望んでいたが、それは遺産としてではなかった。』の歴史的考証です。
私は、今日深夜の日記『「サテュリコン」著者ペトロニウスは「サグントゥム市民はハンニバル兵糧攻めに人肉食ってやろう」書き残す』で、ペトロニウスが彼らの時代より280年前の出来事『第二次ポエニ戦役』で活躍したカルタゴ武将ハンニバルが、スペイン東岸の街サグントゥム(サグント)を攻略した時のエピソード『サグントゥムの市民はハンニバルから兵糧攻めにあった時、人間の肉を食ってやろうと待ち望んでいたが、それは遺産としてではなかった。』を紹介しました。
この歴史的な出来事を、塩野七生氏は自著『ローマ人の物語 ハンニバル戦記[中]4』(新潮文庫版)で次のように詳しく書いています。(注:添付した写真は、その著書表紙)
『紀元前219年、28歳になったハンニバルは、年来の想いをいよいよ実行に移しはじめる。・・その年、ハンニバルは、サグントの町を攻撃した。・・ハンニバルに攻められたサグントの住民は、同盟国ローマに救援を求める使節を急派する。ローマ人は同盟関係をおろそかにしない民族だったが、その年は情況が悪すぎた。・・サグント攻城戦は続行していたが、戦争に入るかどうかの最終決定は、ローマでは市民集会が決めることであった。・・そして、秋に入ってサグント落城の知らせがローマに届いた。8カ月間耐え抜いた後の陥落である。・・この知らせを受けたローマの市民集会は、カルタゴへの宣戦を可決した。古代最高の戦術家ということではローマ人さえも認めることになるハンニバルなのに、サグント攻略に8カ月もかかっている。それで、現代の戦史家たちは、ハンニバルは会戦での戦術では抜群の才を発揮したが、攻城戦は不得手であった、と評するのである。・・だが、私には、ハンニバルはわざと長びかせたのだと思えてならない。攻城戦を長びかせることで、ローマ側からの宣戦の誘発を狙っていたのではないか。同盟国を見捨てることくらい、当時のローマ人の意に反する行為はなかったのである。』
『サテュリコン』の著者ペトロニウスは、歴史家でなくネロに仕えた教養があったローマ人だったから、同盟国であった属州スペインのサグント(サグントゥム)住民の真の気持ちが判らず、人間の肉を食ってまで、カルタゴとの長期戦を続行すると、思っていた節があります。でも、兵糧攻めに耐えた期間が何と8カ月だったとは、私はとても驚いています。そして、このサグント住民の驚異的な粘りが、稀代の武将ハンニバルがイタリア本土を侵略した第二次ポエニ戦役を誘発したのです。
このように2,000年前の古代ローマが、史実を正しく残せるほど文化的に成熟した国家であったと、今さらながら、私は驚愕しています。
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『サテュリコン』著者ペトロニウスは「サグントゥム市民はハンニバル兵糧攻めに人肉食ってやろう」書き残す

2011-03-06 00:53:50 | 日記
今日の続々編日記は、映画『サテリコン』(フェデリコ・フェリーニ監督 マーティン・ポッター ハイラム・ケラー サルヴォ・ランドーネ マックス・ボーン マリオ・ロマニョリ主演)ラスト近くに登場するとても衝撃的なカニバリズムのことです。
この映画で、ラスト近くで老貧乏詩人(サルヴォ・ランドーネ)が、死んで遺産相続人に宛てた遺言を残します。その遺言は、詩人らしからぬ皮肉なもので、『遺産を受けたい者は、公衆の面前で私の体を食え』と言うものです。不快の念を示す者もいましたが、金銭欲に負けて多くの者は、浅ましくその遺体を食うことになります。この場面も、劇場公開当時私がとても衝撃を受けたシーンでした。
このエピソードも、原作者であるペトロニウスが残した『サテュリコン』にも同様の記述文章が有るのか?とても興味が沸いて、その著書『サテュリコン』(国原吉之助訳 岩波文庫版・1991年刊)を熟読してみました。
その結果、このエピソードは、しっかりと原作にあると、私には判りました。その著書から、該当する箇所を以下に引用・掲載します。
『(エウモルポス<私注:老貧乏詩人>は言った)「わしの遺言状の中で遺産を贈られている者は皆、わしの解放奴隷を除外し、わしの与えたものはすべて受け取ることができる。ただしそれには、わしの体を細かく刻み、それを衆人環視の中で食べるならば、という条件がついているのだ。いくつかの民族において、今日でもなお次のような法律が温存されていることはわしらも知っているとおりである。すなわち死人はその近親者によって食べられるべし、と。そのために病人はたしかに、近親者から、自分らの食べる肉はまずいと、しばしば非難されることになる。そこでわしの友人にこう忠告しておく。わしの命じていることを拒否するな。生前わしの長命を呪っていたと同じ気持ちで、わしの肉を食らいつくせ。・・サグントゥムの市民はハンニバルから兵糧攻めにあった時、人間の肉を食ってやろうと待ち望んでいたが、それは遺産としてではなかった。ペテリアの町の人も、極度の飢餓におちいった時同じことをやった。そしてこの食事に求めていたものは、ただ餓死しないことだけであった。それ以外に何の目的もなかった。ヌマンティアがスキピオに占領された時には、自分の子供を半分食べ、残りを懐ろに隠していた母親が見つかったものさ。」』
この記載で、このピカレスク小説『サテュリコン』は終わっています。現存する著作は3巻しかなく、原本版はその5倍以上あったといわれています。だから、映画ではフェデリコ・フェリーニ監督は、この主人公(マーティン・ポッター)をアフリカへ船出させるラストで終わらせています。添付した写真は、映画に登場した人物が、遺跡の壁に残ったラストシーンです。
そして、この原作本を読んで、この『サテュリコン』に出てくる古代カルタゴ武将ハンニバルを参考にして、作家トマス・ハリスが自らの小説に題名を採用した『ハンニバル(1999年刊)』(私注:リドリー・スコット監督が、同じ題名で2001年に映画化) を発表したのではないか?今、私は思っています。
このカニバリズムの思想は、驚くことに、もう西暦一世紀の古代ローマ帝国の知識人にも広く浸透していたのです。
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