先週の「加藤周一」に続いて、「丸山眞男」である。戦後日本の思想界において両巨頭と称された二人である。思想界などという世界は、私にとってはまったく縁もゆかりもない別世界のことである。丸山眞男について語る何ものもない。だから「丸山眞男文庫」について、お聴きしたことを、そのまま綴ることにしたい。
※ 丸山眞男氏の在りし日の姿です。
10月19日(木)午後、前週に引き続いて札幌大学開学50周年記念公開講座「個人文庫を持つ大学」シリーズの第2講が開講された。
第2講は「丸山眞男文庫の意義と展望」と題して、東京女子大学「丸山眞男研究プロジェクト」特任研究員の川口雄一氏が講師を務めた。
1996年に丸山が逝去した後、1998年に丸山の蔵書、ノート、草稿類が東京女子大に寄贈され、2005年に開架図書として寄贈された図書等の一部が「丸山眞男文庫」として公開された。
川口氏によると、円山と東京女子大の直接の繋がりはないようだ。ただ、円山は生前「ライブラリーの充実に苦しんでいる大学や研究機関に寄贈し活用してほしい」という意志を家族に伝えていたという。
その遺志を受けて、丸山の夫人が関係者と相談して東京女子大への寄贈を決めたということだ。川口氏によると、丸山の自宅が東京女子大のすぐ近くだったということも影響したのではないか、ということだった。
寄贈された内容は、図書が約18,000冊(内、5,800冊に書き込みあり)、雑誌が18,000冊、ノート・草稿類が約7,200点、書簡類が26箱と膨大なものだという。
現在の「丸山眞男文庫」の状況は、2005年に書き込み等のない図書約12,000冊が開架図書として2005年から公開されているという。そして2009年、ノートや草稿類の一部をデジタル画像としてウェブ上で公開を開始し、さらには2010年より閉架図書となっている書き込みのある図書の該当ページがやはりデジタル画像として公開を開始したという。
私も試しに「丸山眞男文庫 バーチャル書庫」と打ち込んでアクセスしてみた。すると、難なくデジタル画像を開くことができた。その一つ、東大法学部における「昭和18年度最終講義における学生を送る言葉」という丸山の自筆の原稿に接することができた。
※ 「丸山眞男文庫 バーチャル書庫」の入口です。
そこで「丸山眞男文庫」の唯一の専任研究員である川口雄一氏の立ち位置だが、氏は大学院生の時に丸山眞男のアーカイブに触れてから、丸山眞男に関わり始めて10年になるということだが、氏は丸山眞男そのものが研究のテーマではなく、「丸山眞男文庫」が研究テーマであると語った。
そして氏の研究について語られたのだが、氏は「プレ丸山文庫」、「ポスト丸山文庫」、そして「プレとポストの間」の三つの期間に分かれるとした。
そして今、まさに「ポスト丸山文庫」の時代に入っているのだが、ポストに入ってから丸山の評価についてさまざまな評論が出てきているとした。
そのことについて、氏はあまり多くを語られなかったと理解したのだが…。
丸山が戦後日本における大きな潮流をつくった人の一人であることは疑いのないことだと思うが、今その評価にこれまでと違った評が出てきているという。
そうした傾向が出てきたときこそ、原典に当たるためにも「丸山眞男文庫」の存在価値が大きくなってくると思われる。
※ 丸山眞男氏の在りし日の姿です。
10月19日(木)午後、前週に引き続いて札幌大学開学50周年記念公開講座「個人文庫を持つ大学」シリーズの第2講が開講された。
第2講は「丸山眞男文庫の意義と展望」と題して、東京女子大学「丸山眞男研究プロジェクト」特任研究員の川口雄一氏が講師を務めた。
1996年に丸山が逝去した後、1998年に丸山の蔵書、ノート、草稿類が東京女子大に寄贈され、2005年に開架図書として寄贈された図書等の一部が「丸山眞男文庫」として公開された。
川口氏によると、円山と東京女子大の直接の繋がりはないようだ。ただ、円山は生前「ライブラリーの充実に苦しんでいる大学や研究機関に寄贈し活用してほしい」という意志を家族に伝えていたという。
その遺志を受けて、丸山の夫人が関係者と相談して東京女子大への寄贈を決めたということだ。川口氏によると、丸山の自宅が東京女子大のすぐ近くだったということも影響したのではないか、ということだった。
寄贈された内容は、図書が約18,000冊(内、5,800冊に書き込みあり)、雑誌が18,000冊、ノート・草稿類が約7,200点、書簡類が26箱と膨大なものだという。
現在の「丸山眞男文庫」の状況は、2005年に書き込み等のない図書約12,000冊が開架図書として2005年から公開されているという。そして2009年、ノートや草稿類の一部をデジタル画像としてウェブ上で公開を開始し、さらには2010年より閉架図書となっている書き込みのある図書の該当ページがやはりデジタル画像として公開を開始したという。
私も試しに「丸山眞男文庫 バーチャル書庫」と打ち込んでアクセスしてみた。すると、難なくデジタル画像を開くことができた。その一つ、東大法学部における「昭和18年度最終講義における学生を送る言葉」という丸山の自筆の原稿に接することができた。
※ 「丸山眞男文庫 バーチャル書庫」の入口です。
そこで「丸山眞男文庫」の唯一の専任研究員である川口雄一氏の立ち位置だが、氏は大学院生の時に丸山眞男のアーカイブに触れてから、丸山眞男に関わり始めて10年になるということだが、氏は丸山眞男そのものが研究のテーマではなく、「丸山眞男文庫」が研究テーマであると語った。
そして氏の研究について語られたのだが、氏は「プレ丸山文庫」、「ポスト丸山文庫」、そして「プレとポストの間」の三つの期間に分かれるとした。
そして今、まさに「ポスト丸山文庫」の時代に入っているのだが、ポストに入ってから丸山の評価についてさまざまな評論が出てきているとした。
そのことについて、氏はあまり多くを語られなかったと理解したのだが…。
丸山が戦後日本における大きな潮流をつくった人の一人であることは疑いのないことだと思うが、今その評価にこれまでと違った評が出てきているという。
そうした傾向が出てきたときこそ、原典に当たるためにも「丸山眞男文庫」の存在価値が大きくなってくると思われる。