社会保障の公的支援の限界がささやかれる中、行政主導ともとれる“地域共生社会”が提唱され始めたと前日ブログで投稿したが、その具体像とは? 全国の先進的事例を聞いた。
10月21日(土)午後、道新ホールを会場に開催された「札幌社会福祉フォーラム2107」はお二人の講演の後、講演された二人と全国で実践されている三名が登壇してパネルディスカッションが行われた。
そこでまず三名の方の実践が発表されたので、簡単に紹介してみる。
最初は、福岡市大牟田市の白川病院において相談支援包括化推進員を務める猿渡進平氏の発表だった。
猿渡氏は白川病院で認知症患者のサポートを担当しているようだ。その認知症患者が「自宅に帰りたい」という願いに応えるために地域を巻き込んで取り組んでいる事例を報告した。
そこで猿渡氏は、「本人“力”」「家族“力”」「介護・医療支援“力”」に、「地域“力”」が加われば、住み慣れた家(環境)で生活できるのではないか、と仮説を立てたそうだ。
その仮説に従い、猿渡氏は地域に働きかける活動を展開し、「NPO法人 しらかわの会」を起ち上げ活動を展開していると報告された。
「しらかわの会」では、単に認知症患者を支える活動だけではなく、そこから派生してさまざまな地域活動を展開していると報告された。
「しらかわの会」の活動が呼び水となって、大牟田市には「人とまちづくり協議会」という組織が起ち上がったという。それは、「まちでみんなで、超高齢化社会を支える」という理念のもと、「住民 × 商店 × 教育 × NPO包括 × 福祉・医療 × ボランティア等「困っている事」と「もったいない事」のアイデアを掛け合わせて創っていく」ことだという。
大牟田の取り組みが今後どのように発展していくのか、興味深いところである。
続いて、北海道・釧路市において、一般社団法人北海道セーフティネット協議会の事務局長を務める高橋信也氏の報告があった。
釧路市には、高齢者のためのSOSネットワーク「たんぽぽの会」、「障がい児の親の活動」、「生活福祉事務所自立支援プログラム」など、それぞれが活動を展開しているが、それらをまとめる組織としてセーフティネットがあるようだ。
そのセーフティネットが、「経済的に塾に行けない中学生」、「住むところがない少年の存在」、「日中、高齢者がいられる居場所を探している」、「子どもを遊ばせながらお茶できる場所がない」などの願いを満たすために「コミュニティハウス」を運営しているという。
この「コミュニティハウス」は、「住む」、「集まる」、「仕事をつくる」ことを目的として運営しているそうだ。
高橋氏は、「困った人」、「できない人」、「必要のないモノ」、「廃れていく産業」などなど、モノゴトをネガティブにとらえるのではなく、それらを掛け合わせることで新しい価値が創造できるのではないかと主張し、実践しているという。
実際に、コミュニティハウスを会場に塾的なことが行われたり、行くところがない少年の住まいになったり、あるいは高齢者が経験を生かして労働を提供して対価を得るような活動もコミュニティはハウスを拠点として実施されているそうだ。
釧路市の取り組みも、今後の地域における“共生社会”の在り方として注目されそうだ。
最後に、千葉県にある社会福祉法人「福祉楽団」の理事長である飯田大輔氏が報告した。
最初「福祉楽団」というから、演奏活動などをしながら福祉活動を展開しているのかな?と思ったが、そうではなかった。
「福祉楽団」は、障がい者を積極的に労働に向かわせる仕組みを作って、障がい者の自立を図っている団体のようだ。
そのネーミングが、「福祉楽団」同様面白い。一つは「恋する豚研究所」と称して養豚業を経営していることだ。さらには、地域の森林の間伐材などを自伐して薪炭を製造する「栗源第一薪炭供給所」を経営しているという。そして「多古新町ハウス」というディサービス施設も運営しているそうだ。
お話を聞いていて、飯田氏たちは面白おかしく、楽しみながら障がい者たちを支えていこうとする姿勢を感ずる。さらに、障がい者たちの労働の場を確保し、障がい者たちは報酬を得ているという。
三つの報告を聞いていて、“地域共生社会”というものが薄っすらではあるが、なんとなくイメージすることができた。しかし、まだまだ仕組みとしても、成果としても、道半ばかな、との思いも抱いた。
そして、こうした活動が地域において根付いていくには、何といっても今回発表された方々のようなコーディネーターの存在が何よりも重要であると思えた。
“地域共生社会”…、難しい概念のようにも聞こえるが、ある意味、昔の日本の地域社会にあった“助け合い”の精神を取り戻そう、という提唱にも思えた。
パネラーの一人が、良い話を聞いたで終わるのでなく、具体的に行動してほしい、と訴えた。その思いを私もしっかり受け止め、具体が何なのかを考えながら生きていきたいと思う。
10月21日(土)午後、道新ホールを会場に開催された「札幌社会福祉フォーラム2107」はお二人の講演の後、講演された二人と全国で実践されている三名が登壇してパネルディスカッションが行われた。
そこでまず三名の方の実践が発表されたので、簡単に紹介してみる。
最初は、福岡市大牟田市の白川病院において相談支援包括化推進員を務める猿渡進平氏の発表だった。
猿渡氏は白川病院で認知症患者のサポートを担当しているようだ。その認知症患者が「自宅に帰りたい」という願いに応えるために地域を巻き込んで取り組んでいる事例を報告した。
そこで猿渡氏は、「本人“力”」「家族“力”」「介護・医療支援“力”」に、「地域“力”」が加われば、住み慣れた家(環境)で生活できるのではないか、と仮説を立てたそうだ。
その仮説に従い、猿渡氏は地域に働きかける活動を展開し、「NPO法人 しらかわの会」を起ち上げ活動を展開していると報告された。
「しらかわの会」では、単に認知症患者を支える活動だけではなく、そこから派生してさまざまな地域活動を展開していると報告された。
「しらかわの会」の活動が呼び水となって、大牟田市には「人とまちづくり協議会」という組織が起ち上がったという。それは、「まちでみんなで、超高齢化社会を支える」という理念のもと、「住民 × 商店 × 教育 × NPO包括 × 福祉・医療 × ボランティア等「困っている事」と「もったいない事」のアイデアを掛け合わせて創っていく」ことだという。
大牟田の取り組みが今後どのように発展していくのか、興味深いところである。
続いて、北海道・釧路市において、一般社団法人北海道セーフティネット協議会の事務局長を務める高橋信也氏の報告があった。
釧路市には、高齢者のためのSOSネットワーク「たんぽぽの会」、「障がい児の親の活動」、「生活福祉事務所自立支援プログラム」など、それぞれが活動を展開しているが、それらをまとめる組織としてセーフティネットがあるようだ。
そのセーフティネットが、「経済的に塾に行けない中学生」、「住むところがない少年の存在」、「日中、高齢者がいられる居場所を探している」、「子どもを遊ばせながらお茶できる場所がない」などの願いを満たすために「コミュニティハウス」を運営しているという。
この「コミュニティハウス」は、「住む」、「集まる」、「仕事をつくる」ことを目的として運営しているそうだ。
高橋氏は、「困った人」、「できない人」、「必要のないモノ」、「廃れていく産業」などなど、モノゴトをネガティブにとらえるのではなく、それらを掛け合わせることで新しい価値が創造できるのではないかと主張し、実践しているという。
実際に、コミュニティハウスを会場に塾的なことが行われたり、行くところがない少年の住まいになったり、あるいは高齢者が経験を生かして労働を提供して対価を得るような活動もコミュニティはハウスを拠点として実施されているそうだ。
釧路市の取り組みも、今後の地域における“共生社会”の在り方として注目されそうだ。
最後に、千葉県にある社会福祉法人「福祉楽団」の理事長である飯田大輔氏が報告した。
最初「福祉楽団」というから、演奏活動などをしながら福祉活動を展開しているのかな?と思ったが、そうではなかった。
「福祉楽団」は、障がい者を積極的に労働に向かわせる仕組みを作って、障がい者の自立を図っている団体のようだ。
そのネーミングが、「福祉楽団」同様面白い。一つは「恋する豚研究所」と称して養豚業を経営していることだ。さらには、地域の森林の間伐材などを自伐して薪炭を製造する「栗源第一薪炭供給所」を経営しているという。そして「多古新町ハウス」というディサービス施設も運営しているそうだ。
お話を聞いていて、飯田氏たちは面白おかしく、楽しみながら障がい者たちを支えていこうとする姿勢を感ずる。さらに、障がい者たちの労働の場を確保し、障がい者たちは報酬を得ているという。
三つの報告を聞いていて、“地域共生社会”というものが薄っすらではあるが、なんとなくイメージすることができた。しかし、まだまだ仕組みとしても、成果としても、道半ばかな、との思いも抱いた。
そして、こうした活動が地域において根付いていくには、何といっても今回発表された方々のようなコーディネーターの存在が何よりも重要であると思えた。
“地域共生社会”…、難しい概念のようにも聞こえるが、ある意味、昔の日本の地域社会にあった“助け合い”の精神を取り戻そう、という提唱にも思えた。
パネラーの一人が、良い話を聞いたで終わるのでなく、具体的に行動してほしい、と訴えた。その思いを私もしっかり受け止め、具体が何なのかを考えながら生きていきたいと思う。