最初の一冊~松村比呂美

自著の宣伝のために始めたブログですが、今では、風景や食べ物の写真が主になっています。

『帰郷 三世代警察医物語』 新津きよみ(著)

2014-08-07 | 小説
新津きよみさんの新刊 『帰郷 三世代警察医物語』(光文社文庫)読了。


特急電車の中で発作を起こした男性を、偶然乗り合わせた大学病院勤務の内科医、美並が処置をすることになった。
そこで美並はあることに気付き、男性がその後、遺体で発見されたことから、初めての検死を体験する。
謎の残る死の真相は……。美並は、死者の思いを伝えることができるのか。
医師になって5年目の美並と、ベテラン医師である祖父、龍太郎との関わりも丁寧に描かれており、
美並が龍太郎に気持ちを伝えるシーンは、ほろりとさせられました。
警察医の仕事も興味深かったですし、その大変さもよくわかりました。

『帰郷 三世代警察医物語』に書かれているもうひとつの事件も、とても身近かで、
まさに私も沖縄に住んでいた頃、遭遇したことです。
下記はずいぶん昔にブログに書いた愚痴ですが……。
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写真は、ずっと空き家になっている隣家のベンジャミンです。

生い茂った木の枝が台風の度に、ボキボキ折れ、借りている家の車庫やベランダなどに入ってきます。
落ち葉の掃除も、毎日大変……。
市役所に相談しましたが、苦情が多く、持ち主には何度となく連絡を取っているけれど、埒が明かない、とのこと。
どうにかしてほしかったら、簡易裁判を起こすしかない、と言われました。
電話線に木の枝がかかっていたので、NTTに電話してみましたが、電話線にひっかかっている部分のみ切ってくれました。
「勝手に切るわけにはいかないんです」とのこと。もちろん私が切るわけにもいかず……。
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よほど嫌だったのか、まだまだ愚痴は続いています(^^;
転勤族だったので、2年後には引っ越ししましたが、あの家が、持ち家だったとしたら……。
更地にすると固定資産税も高くなるし、解体費用もかかる。
空き家問題は、ますます深刻化してきているようですね。
そんな空き家で死体が見つかったら……。
祖父の龍太郎が検死した事件ですが、美並の勘が冴えています。

新津さんの故郷、長野県大町市と、東京を舞台にした、警察医の物語。
満を持しての故郷を舞台にした小説は、丁寧な描写で、長野の美しい自然と美味しそうな郷土の料理も浮かんできました。
警察嘱託医を30年にわたって務めてこられ、米寿を迎えられた現在も、開業医として活躍されている新津さんのお父様との、
くすっと笑えるエピソードが書かれた「著者あとがき」もお見逃しなく。

私も、地元、北九州市を舞台にした小説を書いています。
2月発売の『キリコはお金持ちになりたいの』(幻冬舎文庫)です。
Kindle版も発売されていますので、よろしくお願いします。




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