まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
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『犬は吠える1』“2”はあるんでしょうか?

2009-04-15 01:22:59 | アメリカの作家
THE DOGS BARK 
トルーマン・カポーティ

各国を巡って綴った『ローカル・カラー』と
いろいろな有名人の印象を書き留めた『観察日記』の2部構成になっています。

『ローカル・カラー』の何篇かはちくま書房の『カポーティ短篇集』
収められていて既読ですが、再度読んでも印象深さに変わりはありませんでした。
旅先で書かれているとはいえ、各地の名所案内をしているわけではなく
その土地で出会った人々の瑞々しいスケッチが記されています。

気になった土地ではなく人々をあげてみます。

『ブルックリン』のミスQ、地下室で働きづめの若い女性です。
同じく『ブルックリン』のチェロキーホテルに長期滞在する老人たち。
『ハリウッド』で30年間サバイブしてきた女性P。
『ヨーロッパへ』のヴェネチアの不良少女ルチア。
『イスキア』の料理女ジョコンダ。
『タンジール』で古い街を守ろうとへとへとになるジョニー・ウィナー。

まだまだ気になる人はたくさんいるのですが厳選してみました。

特に『ローラ』が秀逸です
カラスのローラがやって来て去って行くまでの話しですが
中でもローマで向かいに住んでいたシニョール・フィオリが・・・
くどくどと描かれていないのに、ローラのことが可愛くてしかたがないという
様子がものすごく良く分かります。

『ローカル・カラー』は、ちょっとモームっぽい気がします。
『コスモポリタンズ』かしら?
あくまでもパッセンジャーとして深入りせず、訪れた地で出会う人たちの
断片を伝えることで、読者である私たちにストーリーを想像させてくれます。

『観察日記』では、アイザック・ディネーセン(『アフリカの日々』ですね)や
モンロー、アームストロング、ボギーなどそうそうたる人々のことを記しています。

印象深かったのはエズラ・パウンドです。
最近読んだ『移動祝祭日』の中でもヘミングウェイが書いていましたが
なんて慈悲深い人なんだろう・・・ こんな人がいるとは思えない。

カポーティの、どちらかというと素朴で善き人である面が表れた1冊だと思ったら
最後の『自画像』で、理屈屋であり皮肉屋である側面が顔を出します。
それはそれで面白いのです。
『自画像』はカポーティのインタビューなのですが、本当にインタビューされているのか
インタビューの形をとって自分のことを書いているのか分かりません。

ますますカポーティという人が分からなくなってきて
俄然興味がわいてきました。

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