まりっぺのお気楽読書

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『ホーム』男は帰る、女は守る

2017-06-15 19:45:12 | アメリカの作家
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2012年 トニ・モリスン

説明するのがとても難しいのですが、ものすごく個人的なストーリーでありながら
大きなテーマを考えさせられたような物語でした。

それから、けっこう暗く重いエピソードがちりばめられていたのですが
一冊読み終えると清々しい読後感が残りました。

主人公は、朝鮮戦争からの帰還兵フランク・マネー。
彼が、捕まって入れられた精神病院から逃げ出すところから物語が始まります。

フランクは、見知らぬ女性から、妹のイシドラ=通称シーが死にかけているという
手紙を受け取り、恋人のリリーと別れてアトランタへ向かおうとしているところでした。

フランクとシーは、不幸な子供時代を過ごしました。
シーにとってフランクは、親よりも誰よりも頼れる人物で唯一の救いでした。
フランクが親友二人と志願して出兵した後、シーは都会から来たプリンスという男に
誘われるまま故郷を捨ててアトランタへ向かい、すぐに捨てられました。

あとはダダッと説明するけど、シーは助手として住み込んだ家のボー博士から
怪しげな実験を施されていました。
それを、クビを覚悟でフランクに報せたのは、女中のサラでした。

フランクは博士の家へ乗り込み、瀕死のシーを救い出します。
そして、忌み嫌っていた故郷ロータスへ兄妹で帰って行きます。

物語はここからも続くのですが、それはおいといて…

フランクの旅は、最初につまづきを見せましたが、その後はわりと順調に進みます。
もしかすると、ストーリーにはそんなに関係ないのかもしれないのですが
この旅の間にフランクが出会った人々が、やけに印象に残っています。

なんの見返りも求めずに、もう二度と会わないかもしれない赤の他人に
どうしてそんなに優しくできるんだろう? 信仰心がそうさせているんだろうか?
特にジョン・ロック師夫妻とビリー・ワトソンは、ほんの一場面にしか
顔を出さない人物でしたが、この物語にいなくてはならない人物に思えました。

また、シーを助けたミス・エセルをはじめとする故郷の女性たちも印象的でした。
黙々と家事・農作業・信仰に身を捧げてきた女性たちが、男性にはできない奇跡をおこす…
科学的根拠も医学の心得も無く、昔から伝えられてきたやり方で…
彼女たちは奇跡だなんて思わずやってるんだけど、いざという時頼りになるのは女性だな、と
思い知らされました。

物語は、フランクとシーの生い立ち、リリーとの出会いと別れ、アトランタでのシー
シーをいじめ抜いた祖父の三番目の妻レノーア、朝鮮で戦死した親友マイケルとスタッフ
フランクが抱え込んでいる朝鮮での出来事など、コロコロ場面が変わります。
でも、さすがトニ・モリスン! どのエピソードにもどんどん引き込まれていきました。

故郷へ戻った二人は、故郷を出る前の二人とは、人格も関係性も違っていました。
そして、今後も変化していきそうです。

作中、長年の仕事を失うかもしれないサラ、大金を渡した上にフランクと別れたリリーは
清々しそうにしっかり前を見つめています。
ラストのシーもそうでした。

どうなっていくのか少し謎が残るラストでしたが、わたしは、この女性たちの未来も
そしてフランクも、ポジティブに変わっていくと信じています。

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