まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
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『十二本の毒矢』事実は小説より…と言うけれど

2011-08-10 07:10:25 | イギリス・アイルランドの作家
A QUIVER FULL OF ARROWS 
1980年 ジェフリー・アーチャー

ジェフリー・アーチャーはスパイ小説とか書いていらっしゃるのですか?
ハードボイルドですか? ずっとそんな気でいました。
とりあえず長編は読んだことないのですが
本棚に短編が2冊ありましたので読んでみることにしました。

12篇収められていますが、11篇が実話だとわざわざ書いてありました。
モームの『ランチ』を下敷きにしたという『昼食』が作り話しかしら?

国がらみの壮大な話から、日常の小咄的なものまでバリエーションに富んでますが
本当に実話かいな?
世の中には、そんなに話のタネになりそうなことってないと思うけど…

好きだったお話しをいくつかご紹介します。

『クーデター(The Coup)』
ブラジルの財閥プレンティの総帥シルヴァイラは、大きな契約を取るため寸暇を割いて
アルジェリアに降り立ちましたが、クーデターが起き足止めを食ってしまいます。
しかも同じホテルにライバル財閥のロドリゲスもいて、毎日顔を合わせることに…

天敵ともいえる二人の男性にある変化がおこり始めます。
途中から筋が読めちゃって、どんでん返しがほしいところ…どうなったと思います?
結末はどうあれ、後味すっきりで読み終えることができる物語でした。

『破られた習慣(Broken Routine)』
保険会社の副部長補佐セプティマスは、習慣が破られることが何よりも嫌いです。
しかしある日、副部長のせいで残業になり、帰りの電車も車輛も変わってしまいました。
習慣通り座席で煙草を吸おうとしたら、隣の若者が無礼なことをしてきました。

これはね~、どっかで聞いた話って気がすると思います。
松本人志の◯◯な話とかで誰かが話してそう… Mr.ビーンあたりがやったかもしれない。
とにかく、初めて読んだ気がしませんでした。

『ある愛の歴史(Old Love)』
奨学金で入学した中で特に優秀なウィリアムとフィリッパはライバル心を燃やし
ことごとくいがみあいながら3年を過ごしました。
しかしフィリッパの父の死をきっかけに、二人に愛が芽生え結婚することになりました。
結婚後も二人はお互いをバカにし合いながら輝かしい経歴を積み上げていきます。

これはもう、韓流のシナリオかと思っちゃったわ!
最初はお互いすごく嫌ってるのに、意識しているうちに好きになっちゃうって…
でも二人の結婚生活はちょっと変わってますけどね…最後が衝撃的です。

もっとどんでん返しや意地の悪い終わり方が目白押しかと思ったらそうでもありません。
ではつまらないかというと、そんなことはないです。

変にオチをつけようとしないで素直に書いているような気がして好感が持てました。
それに意表をつかなくても充分楽しめる物語になっています。
だんだん「もしかして、本当に実話なのかしら… 」なんて思えてきますよ。

ま、このさい実話でも作り話でもどっちでもいいです、面白かったから。

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