まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
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『ゴプセック・毬打つ猫の店』久々のバルザック、さすがですね

2011-08-03 19:55:04 | フランスの作家
GOBSECK・LA MAISON DU CHAT-QUI-PELOTE 
1830年 オノレ・ド・バルザック

以前バルザック全集(古本)が廉価で売られていたので購入してたて続けに読んだら
かなりグッタリしちゃって、しばらく見るのもいやだったんですけど
久々に読んだらやっぱりよかったです。

バルザックの手法だとか時代背景は解説にびっしり書いてありますのでそちらにお任せして
私は簡単に2篇の内容をご紹介しますね。

『ゴプセック(Gobseck)/1830年』
グランリュウ夫人が娘のカミーユに、若きレストー伯爵とのことでお小言を言い始めます。
どうやらレストー伯爵は、評判のあまり良くない母親のせいで貧しいようです。
それを聞いた代訴人のデルヴィルはカミーユに助け舟を出します。

親にお付き合いを反対された娘と伯爵の恋物語が始まるのかと思ったら大間違い。
デルヴィルは、ある理由からレストー伯爵は近々裕福になると言い出しその理由を語ります。

理由については書きませんけど、その中で語られる金貸しの老人がゴプセックで
事の成り行きもさることながら、そのキャラクターから目が離せません。
公正さと堅実さと計算高さと冷徹さを絶妙なバランスで配合して作り上げたような人、
そんな人がラストであんなことになるなんてっ…
さすがバルザック、もっていき方が上手いったらありゃしない、という感じです。

それから、ふいに登場するゴリオ爺さんの名が懐かしかった。
レストー伯爵の母親がゴリオ爺さんの娘なんです。
ゴリオ爺さんのことを思い出しながら読むと面白さ倍増です。

『毬打つ猫の店(La Maison du Chat-Qui-Pelote)/1829年』
“毬打つ猫の店”はサン=ドニ街にある古風で趣きのあるラシャ商店で
昔気質で倹約家のギョーム一家が堅実に経営しています。
画家のテオドール・ド・ソメルヴィユはその店のたたずまいのみならず
テーブルを囲む一家の若い娘オーギュスチーヌに心を奪われます。

厳しく清らかに育てられたオーギュスチーヌも、自分の肖像画を描いた若い画家に
恋心が芽生え、二人は結婚したいと望むのでした。

両親の反対、店員の片思いなどなど、障害が多そうな恋で
どんな展開になるのかしら? と思っていたら、案外あっさり片付きます。

問題は結婚した後なのよね…
バルザックは鋭い! と言えるほど意外な展開ではありませんが
その原因と深みにはまっていく様が的確に述べられているのでためになります。

弱々しいオーギュスチーヌが切羽詰まってとった行動に驚きますよ。
そして、その行動に対する関係者のリアクションにもちょっとビックリ。

バルザックは、お金への執着が招く悲劇と愛が裏切られる時の酷さを書く時
容赦がないですよね?
それで前回何冊か読んだ時にグッタリしたわけなんですけど
この一冊はわりとマイルドに仕上がっていると思います。

バルザック全集は間隔をあけて読むことにいたします。
コメント
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