まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『未完の肖像』いつ本題に入るのか?

2011-06-25 18:55:38 | アガサ・クリスティ
UNFINISHED PORTRAIT 
1962年 “ メアリ・ウェストマコット ” アガサ・クリスティ

ウェストマコット名義なので推理小説ではございません。

クリスティ贔屓な私ですが、この『未完の肖像』は
なにが言いたいのかよくわからないお話しでございました。

ある男性が絶景の孤島である女性に会い、彼女が死のうとしている!と直感し
それを止めるところから物語が始まります。

あとは延々とその女性が語った生い立ちが続くんですが
これが…だらだらと聞かされてもさぁ、というのが素直な感想です。

幸せな少女時代。
冗談好きの父、一番の理解者である母、ヴィクトリア気質の祖母、
ナニーたち、コック、メイドのエピソードに、フランスへの療養…
読んでて楽しかったですよ。
クリスティの子供時代の思い出がふんだんに盛り込まれていそうです。

思春期になって、彼女に求婚して来た男性たち。
一度は長年に渡るプロポーズを断り、二度に渡って婚約を破棄し
熱烈に愛し合った男性と結ばれました。
昔ながらのロマンスに頬が緩むし、奥ゆかしくて微笑ましいです。

新婚時代、相手の男性は彼女をものすごく愛しています。
生活は質素になりましたが、新しい生活は新鮮で幸せに溢れていました。
娘も生まれ、前途は明るく感じられました。
しかし、母は一抹の不安が拭いきれません。
そして彼女も少しずつ夫のことが理解し難くなっていきます。

ちょっと暗雲がたちこめてまいりました。
なんとな~く、話の続きが読めてきた気がします。

最後になぜ彼女は死のうと思ったのか…

まあ、女性が死まで考えると言えば、だいたい原因はわかっているんですけどね。
でもそんなに判りきった原因ではありませんでした。

正直言うと、私はなんで死にたくなったのか判りません。
ものすごい修羅場をくぐってきたのに、なんで?

主人公が感受性が強すぎるのか、私が鈍感なのか、もうどうでもいいんだけど
長々と読まされたのに、「それが原因?」と、ちょっと納得いかないです。
過去は反省して未来に活かそうじゃないか!

メリハリがないまま終わっちゃったんですよね。
3歳の誕生日から彼女が思いつめるところまで、同じテンションで進んでます。
ずーっと序章のようであり、核心のようであり、てな感じで
盛り上がりに欠ける一作でした。

でも文章は面白いの。
短時間で読んじゃいましたよ。

クリスティは一度失踪事件をおこしてますが、もしかしてこの作品が
彼女の心を知る、なんらかの手がかりになるんでしょうか?
だとしたらもう一回読んでみましょうかしら?
コメント
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