お寿司屋さんに行った。
タッチパネルであれこれ注文し、あれこれ食べる。
旨いなぁ。
お寿司ってやつはもう無敵だな。
と、夢中で食べていくんだけど…
実は、さっきから何度も流れてきているのが気になって仕方ない。
ナスだ。
ナスのお寿司だ。
ナスかぁ。
誰だったかなぁ。
ナスのお寿司が美味しいって言ってたの。
友達の誰かだったと思うけど、誰だったのか忘れちゃった。
でもその言葉を聞いて以来、ナスのお寿司が気になって仕方ないんだよね。
お寿司屋さんに行くたびに「どんな味なんだろう…」と横目でチラチラ見ているほど。
初めてナスのお寿司を見た時は、こんなもの誰が食べるんだと思っていたのになぁ。
お寿司屋さんに来てナスのお寿司なんてものを食べる人がいるわけないじゃんと思っていた。
今でもその気持ちは少しある。
けど。
今ではそれ以上に食べてみたい気持ちのほうが大きいよ。
毛嫌いしていたものが、一気に気になる存在になるとはねぇ。
人の気持ちなんて変わるものなのだ。
今まで全然興味なかった異性が夢に出てくるだけで、突然その人が好きになるってのと一緒だよ。
いや、違うか。
いや、いいのか?
まあいいや。
それくらいの変化なのよ。
ナス単体は嫌いじゃないけど、ナスのお寿司って見た目は全然旨そうに見えない。
むしろマズそうだ。
本当に旨いんだろうか。
その友達の味覚がおかしいだけじゃないのか?
でもナスのお寿司が登場以来、ずっと生き残っているって事はファンがいるんだろうなぁ。
『グダグダ言ってないで食べればいいじゃないか!この鼻デカ!』
と人は言うかもしれない。
でもね。
そう簡単にはいかないんですよ。
若いときならたくさん食べていたけど、今ではせいぜい10皿くらいだからね。
その10皿も、だいたいメンバーが決まっている。
イカと貝とサーモンとエンガワと…
といった具合に、ラインナップはほぼ毎回同じ顔ぶれ。
この選抜メンバーの中にナスを入れるのが勿体ないんだよね。
もちろんナス1皿くらいなら腹一杯な状態でも食べられるよ。
でもナスを食べるくらいなら、好きなやつとか、美味しかったやつの2回目を注文したいんだもん。
ここにナスを加えるのがイヤだ。
もし激マズだったら、悔やんでも悔やみきれないし。
という事で今回もまた気になりつつも食べず。
たぶん自分のお金で食べに行く限りは、食べる事はないだろうね。
誰かと食べに行ってて「ナスのお寿司なら奢ってやる」となったら食べるかな。
でもそんな気前のいい友達はいないだろう。
道ばたにナスのお寿司が落ちてないか探してみよっと。