SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「クラッシュ」 ~ 「アメリカを描く」ということ

2006年02月28日 | 映画(カ行)
 精緻に組み立てられた群像劇の傑作。「アメリカを描く」とはこういうことなのだろうなと思わせる。

 人間は複雑な生き物だ。マクベスの魔女の台詞を借りれば「良いは悪いで、悪いは良い」、これが人間だ。登場人物はいずれも善人、悪人で割り切れる存在としては描かれていない。

 丸一日の物語が、多くの国籍をもつ多彩な登場人物のモザイク模様として描かれる。それはメビウスの輪のように、ストレートではないが閉じていて、どこかで誰かとつながっている。

 現代の孤独な人間がつながり=コミュニケーションを求める、そのためのぶつかり合いが「クラッシュ」というタイトルになっている。が、一般的に使われる「車の衝突」の意味も、なるほどという形でラストに出てきて、思わずニヤリとしてしまった。

 三谷幸喜監督が「THE有頂天ホテル」完成のおり、劇場公開時のライバルは「ミュンヘン」と冗談半分でコメントしていたが、同じ群像劇としての真のライバルは本作の方だろう。テイストが違うので好みは分かれるだろうが・・・・。

 アカデミー賞の発表が楽しみである。


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1 コメント

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メビウスの輪 (iina)
2006-03-01 22:32:28
離れたはずなのに、気づいたら元にもどっているというのはありますね。

いちどチャレンジしてみてください。
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