SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

宇宙戦争 ~ ドラマを覚めた眼で見る。

2005年07月25日 | 映画(ア行)

 突然の異常現象に野次馬の一人として駆けつけるトム。亀裂が入って蒸気を吹く道路の破片を拾上げる。熱いと思いきや、それが実は凍っているのだと分かるのだが、その後カメラが引いて周囲の群集を収めたカットで、トムがその破片をポケットにしまいこむのが映っている。これがその後事態の収拾に大きな役割を果たす重要な複線に・・・はならなかった。

 というような眼でドラマを眺めると、かなり苦労した物語になっている。

 まず、なぜ別れた妻は週末にわざわざ子供をトムに預けようとするのか。
 荷物を持とうかと再三トムが尋ねるのに返事もしないほど冷えているし、子供もそれほど喜んでいない。むしろボストンの祖父母の家のほうが子供にとってもはるかに居心地よさそうだし、大勢押しかけたら泊まれなくなるような家でもなさそうだ。そもそも二人はまるで釣り合いが取れていないように見える(だから別れた、とは言えるが)。究極の状況下での家族愛を訴えるために必要な設定作りに多少破綻があるように思えてならない。

 知り合いの母娘は桟橋で離れ離れになるが、娘の方を預かったはずのトムは混乱の中で自分の子供のみは救出するものの、姿を消した娘については劇中で一顧だにされない。これには当惑してしまった。「トータル・リコール」のエスカレータ銃撃シーンで主人公が隣にいた一般人を盾にするのと同じくらいの理不尽さを覚えた。