韓流ブームのただ中で、これは色・恋ぬきの、さわやかな緑の風が吹きぬけるような一編。
母と子、兄弟、兄の障害+得意な才能、というキーワードを並べると「マイ・ブラザー」の一つの変奏とも言えそうだ。こちらを「マイ・ブラザー」のタイトルで封切ってもおそらく何の違和感も無いだろう。
障害を持つ主人公にとって走ることが一つの神の恩寵のように描かれている。走り方の質は「炎のランナー」の一人に近いかもしれない。
終盤近くのシーンでは、彼の人生を横切って行ったすべての人と一緒に客席でも声援を送りたくなる。と同時に、このシーンはひょっとして彼の混濁した意識が作り出した幻想ではないのかと、最近見た「ミリオンダラー・ベイビー」などが頭をよぎり、そういう意味ではハラハラさせられるが、この映画に関する限りそういう終わり方はさせたくないという思いも心の中での声援となってくる。
日本でリメイクするとすれば手塚里美の母親に山本太郎の長男か(ちょっと大きすぎ)?