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SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「SPIRIT」 ~ 進化形としての東洋的価値観

2006年03月23日 | 映画(サ行)
 武道の精神(SPIRIT)が描かれた作品。

 報復の連鎖のむなしさに気付く主人公の、武道家としての進化が作品のテーマ。それは東洋的な価値観といってもよく、主人公を理解するのは唯一日本の武道家のみである。主人公の到達した世界は「武士道」ときわめて近いのかも知れない。

 欧米列強に蹂躙された中国を武道の世界から描く。その列強側に日本はいるわけだが、日本の恥の部分と礼節を重んじる部分が二人の登場人物に分けて、中国映画の中できちんと描かれているのだ。

 日中関係をこじらせるだけの、ある頑固な日本の政治家とはえらい違いだ。9.11以来報復の連鎖から抜け出せないブッシュ政権にも東洋の知恵を学び取ってもらいたい。

 原題をカタカナ表記しただけの邦題は多いが、このところ「PROMISE」「THE MYTH 神話」そして本作、と中国映画にアルファベット表記の邦題がついた作品が続いている。

映画 「シリアナ」 ~ 複雑な現代を描いた複雑な映画

2006年03月17日 | 映画(サ行)
 石油利権にからむ陰謀と自爆テロリストを描いた作品。

 いくつかのエピソードが平行して描かれ、舞台となる国も多彩なら登場人物も多い。とてつもない重量級の作品で、どういう話の組み立てで何が描かれているのかを追うことは出来るのだが、ディーテールまでは多分、理解できていない。
 あるショットが誰のどのエピソードに繋がるものかを瞬時に理解して進行を把握するというのは至難の業だ。

 こういう作品は登場人物の相関図を記した人物紹介でも読んでおかないと、一回見ただけ、一回聞いただけの台詞ですべては理解できない。入場時配布用のリーフレットでも配給会社が用意しておいてくれると、随分理解を助けるだろう。プログラムを買えば分かります、というのではなく・・・・。

 たとえば「タイタニック」など物語としては分かりやすいが、それでも、タイタニックがいかなる運命をたどったかの説明が劇中のストーリーに取り込まれ、科学者がCGで示すシーンが用意されている。
 観客はこれから何が起こるのかを頭に入れた上で「沈没事故」に遭遇するので、今どういうディテールが画面上で再現されているのかがとてもよく分かる。あの大ヒットはそういう映画的な構造の明快さも手伝ったのではないかと思っている。

 作っている側は自明のことでも、それを見せられる観客は本当にすべてを理解できるのだろうか、というところまで考えて製作するのが本当のサービス精神だと思うが。

さよなら、さよならハリウッド

2006年03月14日 | 映画(サ行)
 ウディ・アレンが自分自身を描いたようなニューヨークの映画監督の物語。

 ニューヨークとハリウッドの関係は、昔の日本なら東京と京都太秦や大船のようなものだろうか。ニューヨーク派にはハリウッドにない「知性」という自負があるようだ。ハリウッド映画が「興行商品」ならニューヨーク派は「作家作品」なのである。

 ハリウッドが監督をニューヨーク派に依頼するという状況が生み出すコメディだが、ハリウッド側製作陣に監督の元妻がいるあたりが、「いかにも」の設定になっている。

 89年にコッポラ、スコセッシと顔を並べたオムニバス作品「ニューヨーク・ストーリー」では劇中の不思議が結局一種の超常現象のように片付けられていて、やや不満が残った。
 本作も、突然監督を襲う失明がコメディのネタなのだが、今回はもともとアレンが神経症的なので、そのストレスが引き起こしたと思われる納得感がある。

 もはやハリウッドもニューヨークも自分を理解はしてくれない。これからはヨーロッパだ、という決別宣言の作なのだろうか?

 原題は "HOLLYWOOD ENDING"。

映画 「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」

2006年03月02日 | 映画(サ行)
 まったく奇をてらわない、パワフルな直球勝負の作品。
 敵を前にしたゾフィーの凛とした姿と、一人になったときの孤独と不安にゆれる21歳の女性の素顔が見事に描かれる。

 体制を批判したとたんに異端の烙印を押され、有無を言わさず奈落のそこに投げ込まれてしまうのが怖い。発覚から逮捕、尋問、裁判、そして刑執行までの4、5日の出来事が一直線に描かれる。その刑が絞首刑でも電気椅子でもなく・・・・。
 裁判から刑執行まで通常与えられる99日の猶予がまったく無かったことも、いかにナチスがこの活動を恐れたかを物語っている。

 序盤でビラまきが発覚するまでも、ハリウッドならサスペンスを盛り上げるあの手この手が用意されるだろうが、ここはあっさりと、あまりにもあっけなく逮捕に至る。
 映画の主眼であり、圧巻は、新たに見つかった資料に基づいて描かれる尋問官との一対一のやり取りとそれに続く狂信的な裁判の状況である。

 子供が親より先に死んでいくことの悲しみ、獄中でも人からしめされるささやかな心遣いの温もりなど、全体が硬質な感触であるだけに心に染みる。
 尋問官ですらあの冷徹な尋問の中で、何とかしてゾフィーの罪を軽減したがっていたのではなかったかと思えてくる。それを拒んだのは他ならぬゾフィー本人であるのだが。

 色彩設計が素晴らしくゾフィーの羽織ったくすんだ赤のカーディガン、鮮烈なナチス党旗の赤、ラストの青空が強い印象を残す。

映画 「ジャーヘッド」

2006年02月22日 | 映画(サ行)
 ほとんど戦闘のない、戦争映画の傑作。
 反戦映画でもないかわりに好戦的な色彩も薄い。文学的な戦争映画だ。

 「フルメタル・ジャケット」を思わせる過酷な訓練シーンで幕を開ける。
 その「フルメタル・ジャケット」は殺戮マシンの養成とその使用状況(戦闘)がきれいな二部構成できわめてシャープに、メカニカルに描かれている。

 本作では冒頭の訓練シーンはあっという間に終わってしまうが、戦闘もラスト近くにわずか4日間の出来事として描かれ、フィルム上のボリュームはいくらもない。その間の大半は半年以上におよぶ、ひたすら待ちの時間の描写である。

 ここにあるのは戦場ではなく「戦時」のリアルと高揚感、そして記憶に焼きついたその残照である。砂漠で燃え上がる油田の光、降り注ぐ黒い油の雨、砂漠を放浪する油まみれの馬などヨーロッパ映画のような感触だ。

 戦争が終わって普通の物静かな顔になった青年達にとって、あの高揚した日々はなんだったのかという問いが詩的な映像で綴られる。

映画「サヨナラCOLOR」 ~ 年の差なんて・・・

2006年02月14日 | 映画(サ行)
 ユーモアと笑いに満ちているのに、その底に深い悲しみをたたえた癒しの映画。

 監督・竹中直人の抜群の間の感覚と映像感覚が発揮されている。脇役陣も豪華でそれぞれに味があって楽しめる。

 都心に近い海辺の町の、高校生の初恋の顛末がその二十数年後の再会から語られる。久々の原田知世と監督の竹中がかつての同級生役なのだが実際は10歳くらいの差がある。

 実は1983年の原田知世主演、大林宣彦監督作品「時をかける少女」に竹中直人が同級生役で出演していた、なんてトリビアがあったらオチとしては最高なのだが。
 

「THE 有頂天ホテル」

2006年01月30日 | 映画(サ行)
 出演者は豪華、エピソードはてんこ盛りで面白い。のだが・・・、それ以上ではない。

 大晦日のカウントダウンという、ただでも忙しいホテルであれだけいろんな出来事が起こるのに、助っ人が必要なほどは切羽詰って見えないのだ。
 また登場人物は多いが、ホテルのその他多数の存在が感じられない。つまり舞台劇的で映画のリアリティが欠けているのではないかと思われた。

 1シーン1カットと聞いていたので、冒頭のホテルロビーで人物紹介がそれらしく始まったところで期待していたら、まもなくカットが切り替わって、全体にもそれらしい長回しは感じられなかった。

 だけど劇場はとても混んでいる。正月のテレビドラマを何本も書いた脚本家三谷幸喜の人気振りがうかがわれる。できれば暮れに正月映画として公開されていれば映画の時期設定そのままに、より楽しめたかもしれないし、正月のとそ気分で見るにもハッピーな作品なのだが。

 魅力的な登場人物が多いので、それぞれがサイドストーリーとして描かれるとまた面白いかもしれない。個人的にはオダギリジョーの筆耕屋の生活を三谷喜劇で見てみたい。

ジョニー・デップの「シークレット・ウィンドウ」

2006年01月16日 | 映画(サ行)

 

 サイコ・サスペンスの傑作になりそこなった作品。

 ジョン・タトゥーロが無機質な感じの怖いキャラクターを演じているが、その後さらに怖いキャラが登場するのがこの映画のミソ。

 スティーブン・キングの原作で、湖畔で孤独に暮らす小説家という設定や、文字、言葉のひねりが謎解きに連なるあたりが例えば「シャイニング」、「ミザリー」などを思わせる。

 配役も良いのに、主人公の目的達成のために、ここまで大掛かりな設定が説得性を持つかどうかが評価の分かれ目になる。
 原作がどうなっているのかは分からないが。


「ザスーラ」

2005年12月21日 | 映画(サ行)
 体験型すごろくゲームのお話でテーマはスペースアドベンチャー、という趣向の作品。

 「ジュマンジ」の続編だというが話そのものはまったく独立している。そして今回はややB級の味わいがある。
 ティム・ロビンスが出ているといってもほとんど本筋に絡んでこないので、前半、子供2人の喧嘩とゲームだけのやり取りではとてももたない。絵本の原作をリアルな映像にしようというのだから、よほど脚本の練りこみがないと難しいだろう。

 タイム・パラドックス的なひねりがあったりで、ラストの1/3でようやく面白くなってくる。後味は悪くないので、お正月のゲーム遊びでもやるつもりで見るには良いかも知れない。

 でも一本だけ見るなら「キングコング」という人の方が多いだろうな。私は両方見ますが。

映画「親切なクムジャさん」

2005年12月13日 | 映画(サ行)
 凄まじい復讐劇。単なる韓国映画ファン、韓流ファンは見ない方が良い。監督の前作「オールドボーイ」は多少笑える場面もあったが今回それはない。

 TV連続ドラマ「チャングムの誓い」の主演、イ・ヨンエが大胆なイメージ・チェンジに挑戦している。確かに女優としての幅を広げキャリア・アップにはなっただろうが、イメージ・アップにはならないのではないか。それを覚悟の挑戦であろう。

 とにかく凄惨の一語に尽きる。
 話の展開上やむを得ないのだろうが幼い子供をあるシチュエーションで泣かせているのがちょっと気になった。
 当然年齢制限つきの大人の映画。

 タイトルバックの美しさは特筆ものである。