”BENGA BLAST! ”by DANIEL OWINO MISIANI & SHIRATI BAND
アフリカはケニアの、ルオ人のポップス、”ベンガ”の第一人者であります、D・O・ミシアーニの代表作を集めた、80年代の録音集であります。
相変わらずアバウトな知識しかなくて恐縮なんですが、おそらくこの音楽もザイールのルンバ、わが国で”リンガラポップス”と呼ばれるあれからの、大々的な影響下で生まれてきたものかと思われます。コロコロときらびやかに鳴り渡るギターの響きに導かれ、いかにもアフリカらしいしなやかなコーラスが鳴り響く。ハイハットの刻みも軽やかに突撃するドラムスが快い。
それでも、リンガラポップスと比べると、例えばギターのフレーズのありようなど、ずいぶん違う感じですな。リズムを構築することを中心において構成音を撒き散らして行く感じのコンゴ・ルンバのギターよりも、このベンガ音楽のギターのフレーズは、よりメロディ主導で組みあがっているようです。聞き慣れると、ギターの奏でているメロディを歌おうと思えば歌えるもの。
その事情もあって、ベンガは、コンゴのルンババンドたちと比べて、より”エレキ・バンド”色が強い。「ほら、これ、アフリカのグループサウンズ」とか、いい加減なことを言って事情を知らない奴をだましてやるのも一興かと思います。(そりゃ、どうだか)
歌自体のメロディラインも、より歌謡曲的(とは言い過ぎなんだけど、まあ、ご容赦ください)であって、ますます”ヴィクトリア湖畔のグループサウンズ”色を感じてしまう。
そして、なにより注目したいのがベース・ギターの動きですな。自由奔放、実にファンキーに動き回るそのさまは、それだけ聞いていてもまったく飽きない。不思議なプレイが生まれたものです。これって、ケニアの、というかルオ人の伝統音楽からの、なんらかの影響とかあるんだろうか?不勉強でよく分からないんだけど、こちらのリズム関知中枢の裏筋を舐められる感じで、たまらない快楽。
ともかく、なんか独特の愛嬌があって憎めない音楽なんですよ、ベンガって。なかなか音も手に入らないんだけど、もっともっと聞いてみたい。関係各所、よろしくお願いしますよ、ほんと。
いらっしゃいませ。貴重な情報、ありがとうございました。
それにしても、残念な話です。それじゃ、ついこの間の話ですねえ。せめて、彼のレコーディングがもっともっと多くの人に聞かれる機会が増えることを祈りたいです。
DANIEL OWINO MISIANIですが、今年の5月に交通事故で亡くなったらしいですね。残念です。