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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

末盛千枝子さん講演会5@ヒルサイドテラス

2008-09-05 19:13:40 | 好きなもの・講座やワークショップ

昨日は、代官山ヒルサイドテラスでの、第5回目の
セミナーの日でした。

「生きる知恵ーシャーロット・ゾロトウとともに」です。


私が持っているゾロトウの絵本といえば、ただ1冊、
『いつかはきっと』
それも、知ったのはこのブログを始めてからなので、つい最近です。


私の絵本歴は、折につけ書いているとおり、娘が誕生してから
なので、わずか12年くらい。自分が子どものときに絵本を楽しんだ
記憶がほんとうにわずかだったので、それを埋めるかのごとく、
あるいはのどの渇きを癒そうとするかのように、絵本の楽しさを
娘の成長とともに追ってきました。

そしてブログを始めたことがきっかけとなって、さらに絵本の世界の
幅が広がり、たくさんの絵本作家やその作品を知るようになった
のですが、それにもかかわらず、なぜゾロトウの本は私の近くに
ないのかということを、今回考え、そしてひとつの答えが見つかった
気がしています。
それは、末盛さんが、1972年に書かれた文章のコピーの中にあった
こんなエピソードからなのですが‥

小学校3年の時に、毎朝一緒に登校していた仲良しの子が、
ある日突然、別の子と一緒に登校してしまい、その理由を
たずねてみる勇気もなく、、また自分が悲しそうにしていたら、
親に心配をかけるし、自分だってもっとみじめになるだけだからと、
誰にも気づかれないようにしていたというのです。

そして、今でもきっとそういう子どもはいるだろうが、
今ならその子たちには、ゾロトウがいて、あたたかく話しかけて
くれるでしょう、と結んでいます。


私も、自分が考えていること、特に負のイメージに
つながることは、家族には決して知られまいとしていたので、
その頃の屈折した気持ちが、今でも心の隅に残っていて、
ゾロトウの本に伸ばしかけた手を、ひっこめさせてしまうのかなあ
だから、ゾロトウとは縁遠いのかなあと、思ってしまいました。

何段も階段をとばしちゃったみたいな結論ですが、
ゾロトウの本の魅力は、末盛さんが書かれていたように、

   日常のごくありふれた誰にでも覚えのある小さなことに
   光を当てて、それを輝くような絵本にしてしまう魔法使い

だと思うです。

この「日常のごくありふれた誰にでも覚えのある小さなこと」
というのがクセモノで(笑)、
今でも、それを思い出すことがなんだかこわいのかもしれません。
本の中に登場するねえさんやいもうとが、あまりにも「近く」って
ぎゅっと心の襞が寄るときに、身構えてしまうからかもしれません。

小さい頃にとても悲しい事件があったわけでも、傷を負ったわけでも
なく、ふつうに、大切に、不自由することなく育ててもらったと、
両親のためにことわっておきますが、それでも、まっすぐに気持ちが
伸びていかなかった思いがあるのは、私自身の感じ方のせいだと
思っています。

娘も12歳になり、もう娘とともにゾロトウの絵本を楽しむことはないかも
しれませんが、でも、いつかは私も、切なさに負けないで、
ゾロトウの本を手にすることができるかもしれないという
予感がしてきています。だって、原因がわかったのですから。





人生に大切なことはすべて絵本から教わった、というこのセミナーは
本当に、いろいろなことを教えてくれました。
10月からは好評につき、パート2が始まるそうです。
その1回目は10月16日(木)で、すでに予約受付中です。


そうそう。
このセミナーのもうひとつの楽しみは、ブログで友達になった方々と
会ってお話ができるということです。
昨日は、こももさんnaoさんと、初めてお目にかかりました。
すごくうれしくって、毎回軽い興奮状態に陥るので、
昨日は、ゾロトウのサインが入っている貴重な本を、見逃して
帰ってきてしまいました。残念です。


昨日はこのあと、もうひとつのお楽しみが待っていました。

つづく‥






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15 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんばんは。 (nao)
2008-09-05 20:51:10
 昨日はみなさんにお会いできて本当に嬉しかったです。
 そうそう、末盛さんのお話はrucaさんが書いてくださったこと。私は何だか自分の感情だけブログに書いてしまって恥ずかしいな。
 親のこと未だにちょっとしたことで喧嘩する弟のこと、思い出してました。先日も母に、「弟には甘くて優しいんじゃないか?」と言ったばかり。。この歳で(笑)そういう生身の心をぐさっとでもこ気味よく絵本にしているような、そんな作家さんなのでしょうね。
 
返信する
Unknown (マーガレット)
2008-09-05 22:43:30
みなさんの感想を読ませてもらいながら、同じ話を聞いてもこんなに感じ方がそれぞれ違っていて、でもそれぞれに絵本の魔法をかけられていて、昔を思い 今を思い 家族を思い 自分自身を思うことの素晴らしさにじーんときてしまいます。

私がゾロトウを好きなのは、みんなどこかで経験したありふれたことを書いているのに、なぜか心の底の方がぴりぴりと震えて、そしてやっぱり幸せを感じるところです。
rucaさんもきっとそんな魔法を受けると思います。
返信する
こんばんは (琴子)
2008-09-05 23:01:12
rucaさん、そんな気づきがあったのですか!

でも、マーガレットさんが言われるように
きっときっと、ふんわりとした(でも確固とした)
ゾロトウの魔法に包まれてしまうと、わたしも思います。

「いまがたのしいもん」→ この最後2ページも、
わたしはいつもぐぐっと来て、涙目ですよー。

みなで聴いて、聴いた後いろいろお話できるしあわせ、
楽しいですね♪
またよろしくお願いします。
返信する
Unknown (ペンギンブルー)
2008-09-06 00:30:15
rucaさん、こんばんわ。
琴子さんのとこでも、読んで来ました。

「日常のごくありふれた....(略)....魔法使い」

本当に、そうですね!そうだと思います。
私には、特に”家族”というものを思い出さされます。

「また自分が悲しそうにしていたら、
親に心配をかけるし、自分だってもっとみじめになるだけだから.......」
ここのところにも、すごく共感でした。
私も小学校の時に、いじめにあったときに同じような事を考えていたから。

でも、私は子供の頃には、ゾロトウに出会えなかったなぁ...。
出会えてたら、何か変わってたのかな?
私も、あまり親に絵本を読んでもらった事がない子供だったので...
でも、とりあえずは今、ゾロトウを読んで感じる事ができるのは、結構いいな、と思っています。
返信する
 (マミーおばさん)
2008-09-06 07:12:11
 お昼を一緒に食べられなくて残念でしたね。でもあなたの知っているお友達に出会えました。
 昨夜、ことりさんから買った4冊のゾロトウの絵本の「絵」をながめていました。ゾロトウは本当にいい絵描きさんを選んだことを改めて痛感しました。

そして、study of Charlotte Zolotowでグーグルしましたら、ある学生の卒論にヒットしました。長いのでお気に入りに入れて、少しずつ読んでいくつもりですが、こういうことも発見しました。

Charlotte Zolotow Award (前年度に発行された本に対しての賞だそうです)

今も健在なのかどうかは、また後で、探すことにしますが....

お父さんがキッスを忘れたために.....
こういうお話があると何かのコメントで知っていましたが、今回ゾロトウ作であったとわかり、本当に嬉しかったです。

人生で大事な事の一つは、朝をどのように始めるかだと思っています。私はもちろんキッスなどしませんが、夫のワイシャツとスーツにアイロンをかけ、ご飯を食べさせ、靴を磨いて、玄関の外に立ち、夫が角で
手を振って消えるまで見送ります。見送りのない日、それはけんかした日です。

みなさんも、それぞれ いい朝を迎え、いい朝をみんなに与えるようにしましょうね。そうしたら この世の中、いい人が一人でも多く増えていきますよね。

今日は土曜日、アイロンをかけなくていい日。でもごはんを食べさせなくては....

素敵な週末を!
返信する
こんばんは (こうめ)
2008-09-06 22:39:41
わたしも、留学など、これほど
好き勝手やっておいて、妹にも、散々迷惑かけておいて、
それでも、naoさんの言っていたように、妹ばっかり・・・といって
親類巻き込んでの大げんかに、なることも、いまだに。
(妹も、気が強くて・・・超こわい)

親はそのたびに間にはいり、たいへんだろうとはおもうけれど、
ハングリー精神は、そこでやしなったかも。

わたしは、ゾロトウの絵本のように
そのときどきには、健全に処理できなかったかもしれないけれど、
でも、あのとき、あのときは、こうなのね、
あんなとき、こうなのね、っておもうことが、
救いになっているかもしれないです。


わたしは、一生、自分がどうか
わからなくても、人生、どろにまみれているのが好き!

でも、ゾロトウの世界も大好きです。




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ゾロトウが物静かな人の理由 (マミーおばさん)
2008-09-07 01:00:10
 Rucaさんとみんなさんへ
 今宵は眠れないので、パソコンに向かって、
Charlotte Zolotow AwardからCharlotte Zolotow Award Committee へ そして あちらこちらをクリックして、ゾロトウの生い立ちにたどり着きました。
スキップ読み(新語?)をしたので、間違っていたらごめんなさい。ゾロトウの両親は、特に母親は引越しが好きだったようで、何度か引越しを繰りかえてしていて、小さいゾロトウにとってはそれが苦痛だったようです。またゾロトウは少々身体的にも問題があったようですよ。
 ゾロトウの話に出てくる母親は、ゾロトウの実の母親とはどうも違うようです。ちょっと 怖いかな?

ゾロトウは大学で次のようなことを学んだそうです。

 how to think, not what to think.




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naoさんへ (ruca)
2008-09-07 21:58:39
こんばんは。
先日は、お会いすることができて嬉しかったです。

セミナーのお話は、その場で聴いて感じ入り、
またあとからも、みなさんの感じたことを教えて
いただけるので、ほんとうに楽しいです。

家族にとって一番大事なことは、思っていることを
みんな外に表す(表そうと努力する)ということだと思うのです。

そういう意味で、小さい頃の私は、ちょっと不幸だったかも。


『ピアノ調律師』はほんとにいい本ですよね。
はじめて読んだとき(わりと最近です)、号泣してしまいそうに
なるのを堪えました。

※メールありがとうございます。お返事は、
たぶん明日出せるかと思います。
返信する
マーガレットさんへ (ruca)
2008-09-07 22:02:52
こんばんは。

今回のセミナーも楽しく、そしていろいろ考えるきっかけになった
よいものでした。

マーガレットさんのおっしゃる通り、いろんな方の感じ方の違いを聞きあえるところが、
おまけの楽しみですよね。

絵本の楽しさは尽きることがないですね~
ゾロトウ発掘(自分にとって)も含めて。
返信する
琴子さんへ (ruca)
2008-09-07 22:07:52
こんばんは。

なんかね、屈折したこどもだったんですよ~
欲しいものがあっても、素直に買って、と言えず。
自分だけおばあちゃんにかわいがられている、と
思いこんで、それを悪がったり。かと思うと
母には好かれていないと思って悲しくなったり。

そういうことをなんだか思い出してしまって、
あまりゾロトウの本を開くことができなかったのかも、
と思ったのでした。
でも、そんなにたくさんトライしたわけではないので、「いまがたのしいもん」を
今度読んでみようと思います。
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