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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

わたしもパリに行ったことがない

2021-05-14 16:57:23 | 好きなもの・音楽や本

またまた図書館の文庫棚で見つけ本。

作者の名前になんとなく憶えがあるなあと思って
引き出してみたら、娘がひとりで観に行っていた
あのこは貴族という映画の、原作者でした。
表紙の絵もなんだか魅力的だし、私もパリに
行ったことがないので、借りてみました。



パリへ行ったことがない
彼女はパリへ行ったこと(が)ない と、私だったら
そうタイトルを付けてしまいそうだけど‥。


第一部は雑誌フィガロジャポンに2013年10月号~2014年
9月号まで連載されていて、第二部は書きおろしだそうです。
11編ある第一部はどれも短くて読みやすいのは、そのせいか
と納得。

飼い猫1匹と暮らす35歳あゆこも、温泉街で暮らすかなえも、
ガールズバーでバイトをしているさほも、その他の主人公も
ほとんど全員(たえこは若い頃に行ったことがある)が、
パリへ行ったことはなく、ある瞬間まで、自分がパリへ
行ってみたいと思ったこともなかった、あるいはそう思って
いたことに無自覚だった、のに、その瞬間を越えたあとは
「パリへ行く」が自分に対しての、ある種の呪文のように
なっていくのが面白かった。

しかも若い人だけでなく、夫を亡くした後、女友だちに
誘われてとか、夫の定年後の旅行でなんとなく、といった
人たちも描かれているところに大いに共感(笑)。


ところで。解説を書いているカヒミ・カリィさん(かつて
パリで暮らし、今は家族でNYに居るそう)のこんな考察が
興味深かったです。

同じ海外でもパリとNYに住んでいる日本人ではタイプが違う。
例えば移住したしたきっかけも、パリの方はフランス文化などに
真剣に憧れていて、芸術やモード、料理などを学ぶために留学
したりと、具体的な目標をあらかじめ持って住みだした人が多い。
それに対してNYの方は、何となく海外留学したくてとか、友だちに
会いに観光で遊びに行ったまま住み着いたという人が多いように
思う。
NYにずっと憧れていたという人は意外に少なくて、NYに来てから
その魅力にはまってしまったという人が結構多いのだ。そして
長く住んだ今でもNYが本当に好き、という人が多い。


NYの記述については私も多いに頷けます。そのむかし、夫が
新婚旅行先をぜひNYに、と言いだした時も、共通の友人が住んで
いるしそれもいいか、ぐらいの気持ちで決めたのに、そのわずか
1週間くらいの旅行で、次に来る時は旅行ではなくて、もっと
長くここに留まりたいと思い始め、二人の間の呪文になったので。

NYへの気持ちと比べてみるためにも、一度くらいパリを訪れて
みたいものですねー。その時の私、何歳になっているかな。


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