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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

1999年冬・インフルエンザとトルン

2016-07-02 15:56:28 | 好きな本

図書館の棚と棚の間から、ふいに入ってきた文字‥「ちびトラ」。
ちびトラ‥ちびトラ‥ なんだっけ?

行きかけたところをちょっと戻って、手にした本は、そう
ムシェロヴィチのイエジッツェ物語シリーズの(日本での)最新刊でした。

 

私が最後にこのシリーズを読んだのは 、2012年12月『ナタリアといらいら男』
その本の中の主な登場人物は、ナタリアとプィザとラウラ(ちびトラ)で、
時は1994年。

そこから5年たった1999年のナタリアやプィザ(ルージャのこと)やちびトラや
ボレイコ家の面々が登場するのが、この『ちびトラとルージャ』 です。

ムシェロヴィチのこのシリーズは、ポーランド語の難しさ(名前のほかにたいていの
人があだ名を持っていて、そのどちらかを使い分けずに、呼び合っている‥)や
耳慣れない地名や、歴史的背景や、邦訳版の順番が、原書の出版順と違うので
たびたび混乱するにもかかわらず、読み出してみるととても面白くて。
読み終わると、未読のものを探したり、次の出版を気長に待っていようと思うように
なるのです。

今回はたまたま、前回読んだナタリアやちびトラが出て来たので、わりと話に
戻りやすかったのですが、それでも忘れていることばかりで‥自分の過去ログが
大いに役にたちました。



思春期まっただ中のちびトラは、何をみても自分に敵意を持っているように
感じられ、自分ひとりの力でそれを乗り越えてみせると、心を固くします。
一方、ルージャは、そういうちびトラをなんとか家族の反感を買わずに
うまくとけ込まそうと心を砕く 優しいお姉さん。

私は、長女であったにもかかわらず、どちらかというとちびトラのような
頑な気持ちで子供時代を過ごすことが多かったので、全編を通して、
ちびトラの行動には、心が痛みました。
そして、大人になり、母にもなったので、ちびトラのお母さんのガブリシャの
気持ちも痛いほどによく伝わってきました。


ナタリアと〜いらいら男』の時は、1994年の6月の4日間。
今作は、1999年の2月の4日間、しかもインフルエンザが大流行していて、
それも物語の進行をうまく位置づけています。
ポーランドでもまだテレホンカードを使っていて、でも、携帯電話も皆が
普通に持ち始めていて‥。そんなところもポイントかな。


最後に、次に読む時のために、巻末に載っていたシリーズ19作をあげて
おきます。

1  6枚目の桶板 1977年  未邦訳
2  嘘つき娘 1979年   『嘘つき娘』2008年
3  カリフラワーの花 1981年 未邦訳
4  八月のイーダ 1981年 未邦訳
5  ロスウの中の阿片 1986年 『クレスカ15歳 冬の終りに』1990年
6  ベベB.の落書き帳 1990年 未邦訳
7  ノエルカ 1992年 『ノエルカ』2002年
8  プルペツィヤ 1993年 未邦訳
9  金曜日の子 1993年 『金曜日うまれの子』 1996年
10 ヌートリアといらいら男 1994年 『ナタリアといらいら男』1998年
11 ロブロイェクの娘 1996年 『ロブロイェクの娘』2012年
12 名の日 1998年 未邦訳 
13 ちびトラとルージャ 1999年 『ちびトラとルージャ』2014年
14 カラムブルカ 2002年 未邦訳
15 トローラの言葉 2004年 未邦訳
16 カエル 2005年 未邦訳
17 黒いポレフカスープ 2006年 未邦訳
18 ばね 2008年 未邦訳
19 マクドゥシャ 2012年 未邦訳 

コメント
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