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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの

2013-05-09 16:52:43 | 好きなもの・映画やDVD

GW中に、東京都写真美術館ホールで観てきました。

2011年に上映された『ハーブ&ドロシー』の、その後の話です。
(その時の私の感想ログはこちらに‥)


自分たちのお給料で買える値段であること

1LDKのアパートに収まるサイズであること
好きなアートを見つけるのに、知識や理屈は必要ない

以上の3点を「選ぶときの基準」にして、ご夫妻はマンハッタンのギャラリーを
まわって、好きなアート作品を買い集めます。狭い部屋は作品でぎっしりで、
文字通り「埋まるようにして」生活しています。
それらのコレクションを1点も売ることなしに、すべてをナショナル美術館に
寄贈することにしたところがまでが前回の映画のはなしでした。

今回は、その寄贈作品を、全米50州の美術館に50作品づつ分けることに
したプロジェクトが描かれています。

発案者は、すべてを収容しきれないナショナル美術館の方で、はじめ
ハーブ(だんなさんのほう)は、このアイデアに賛成しかねていたとありました。
コレクションは、すべて同じ場所にあってこそのものだというのが彼の主張です。
しかし、コレクションの大方を倉庫に入れておくよりは、大勢の人に見てもらった方が
よいということになり、50×50プロジェクトは始まったのでした。

実際に画面に登場したのは、ヴァージニア美術館や、ホノルル美術館、
ニュージャージー州のモンクレア美術館などの12の美術館でしたが、
そこへ行きつくまでの広い道路や、街並み、また、展覧会を観にくる人の様子など
本当に様々で、とてもおもしろいのです。
アメリカの広大さと、多様性を、思わないではいられません。

その地域の特性をどう生かそうか「努力」している美術館や学芸員の方が居る一方、
この土地にはアートは無理と、はじめから決めつけているような方も居たりして‥
できることなら、50州すべての美術館を見て見たいなあと思いました。



前回より今回の方が映画としてもおもしろかった、と感じたのはなんでかなーと
観終わってからずっと考えていました。
コレクションするという行為よりも、やはり、観てもらってこその作品なんだと
自分が思っているからかなーと思います。

現代アートやミニマムアートが今まで美術館のコレクションの中になかったと
いう州もあり、そこに住んでいる人達も、首をかしげながら、果たしてこれはアートなの?
うちの孫が描いた絵のほうがうまいよね、と懐疑的な表情で会場をまわったりして
いましたが、でも、それも「作品」があってこその体験で、作品を観なければ、そんな
「?」も生まれてこないわけで‥。やっぱりこの試みってすごいなと思うしだいです。

映画の終盤は、誰もが避けることはできない悲しい別れが、ドロシーに訪れ、
それを機に、彼女はアパートメントに残していた作品もすべて寄贈することに決めて
しまいます。
1枚だけ残された作品が最後に映り、もちろん、涙が流れました。

でもでも、
それだけで終わらないのが、この映画のよいところであり、私の大好きなところです。
エンドロールとともに流れる映像は、マンハッタンに住む人はこうじゃなきゃねえ、と
思わせてくれます。

前作を観た方はもちろん、観てない方も、ぜひぜひご覧ください。


公式サイト
Vogel50×50 (このサイトで50州のどの美術館かをみることができます)

コメント
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