2月12日木曜日は、1か月に1度のお楽しみ☆ヒルサイドセミナーの
日でした。
第4回目のテーマは、「勇気と好奇心ーピーター・シスの絵本を中心に」です。
私が、ピーター・シスの絵本を知ったのは、3年くらい前でしょうか‥
『マドレンカ』という絵本で、ニューヨークが舞台のおはなしでした。
この作者は、アメリカ生まれではないのでは、と読みながら思っていたら、
チェコスロヴァキア出身だということがわかり、やっぱり、と思ったことを
よく覚えています。
そして、そのとき同時に、チェコの自由化運動の時代を背景にした映画
「存在の耐えられない軽さ」を思い出しました。(ジュリエット・ビノッシュがとても印象的でした。)
私の中では、ピーター・シス→チェコ→プラハの春→存在の耐えられない軽さ、という図式です。
だから、すこしあとで、ピーター・シスが、コロンブスのことや、ガリレオのことを
絵本で表していることを知り、そのあとがきで、次の文を読んですごく合点がいきました。
そういうわたしも、「鉄のカーテン」といわれたあの「壁」で
かこまれた国(チェコスロバキア)で育ったので、
この絵本をつくりあげようという気持ちになったのです
芸術にしろ、学問にしろ、研究にしろ、自分が選び信じている道を
歩んでいくためには、右手に「好奇心」、そして左手には「勇気」が
必要なのだと、強く感じました。
セミナーで末盛さんは、シスの絵本のあと、オバマ大統領の
誕生をとりあげました。
セミナーそのものの内容とは、大きく離れてしまうのですが、
ここで(ここに)、記しておきたい話をふたつ、書かせてください。
ひとつは、本日16日のニュースです。
作家の村上春樹氏が、エルサレム賞の授賞式に出席したそうです。
春樹氏の作品は、ヘブライ語に翻訳されたものが多数あり、
イスラエルでもすでに人気作家とのこと。
今回の式に出席するか否かは、「ガザ地区のこと」があるので
悩んだそうです。が、スピーチで、春樹氏は下記のように述べました。
(以下は、中国新聞よりの抜粋です。)
イスラエルの(パレスチナ自治区)ガザ攻撃では多くの
非武装市民を含む1000人以上が命を落とした。
受賞に来ることで、圧倒的な軍事力を使う政策を支持する
印象を与えかねないと思ったが、欠席して何も言わないより
話すことを選んだ。
まさに、好奇心と勇気の表れだと思うのは、私が春樹氏の20年来の
ファンだからでしょうか-。
もうひとつは、いしいしんじ作『プラネタリウムのふたご』の中の
ある文章です。
「ではごくらくとはどこ?」
客席をうずめる男たちが、いっせいに広い胸をどんどん
たたきはじめる。
「そうどこにいたって、らくえんはそこにある」
タットルは息をためていった。
「だれものむねのうちに、らくえんが、たからものが
ひっそりとある」
これだけでは、なんのことかすこしもわかりませんよね。
簡単に説明しますと‥タットルは、プラネタリウムの解説者で、
ある晩、町の工場に働きにきている外国人を招待します。
(文中にはっきりと記されてはいませんがたぶん黒人です)
自分たちの国で見た夜空を思い出してもらおうと、南の国についての
下調べをし、極楽鳥が特別な鳥であることを知りました。
投影の最後に、ごくらく座が映し出されると、観客である外国人は
みなその星座に見入ります。そして、タットルが言うのです。
「ではごくらくとはどこ?」
オバマ氏もキング牧師も、自分の胸の中のたからものを大切に
してきたのではないかと、この箇所を読み、ふとそう思いました。
それは、肌の色のことだけでそう思ったわけではありません。
楽園は、宝物にも、理想にも、夢にも置き換えられると思いますが、
それなしには、好奇心や勇気を、その手に握りしめて進むことは
できないと思うのです‥
☆私が紹介できていない本やお話、おいしかったランチの写真などは
どうぞこちらのブログで、読んでください。
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