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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

冒険王・横尾忠則@世田谷美術館

2008-05-30 17:38:16 | 好きなもの・美術館や展覧会

先週の日曜日、世田谷美術館で、横尾忠則展を観てきました。

世田谷美術館は、電車とバスの乗り継ぎで‥川口からは遠いです。
用賀駅からのバスの本数が少なかったので、小田急線の成城学園まで
行って、そこから渋谷駅行きのバスに乗りました。
午前中雨が降っていたせいか、バス停から美術館入口まで、
緑がしっとりしてて、人も少なくいい感じでした。

中は、やはり思ったとおりの混み具合。
小さな子供や、赤ちゃん連れのお若いご夫婦も何組もいて、
横尾せんせいの、ファン層の厚さを感じました。


私が最初に興味を持ったのは、『私の夢日記』という文庫を読んだときで、
1980年代の初めだったと思います。
グラフィックデザイナーをやめて、自分は画家になると「画家宣言」をした
頃だったと思います。
人気デザイナーが、あえて画家になると公にするからには、よほどの理由が
あるのだろうと、そんなことを思って、当時興味を持ったのかもしれません。


リサ・ライオンを描いたもの。
滝シリーズ。
Y字路シリーズ。
温泉シリーズ、などなど‥

画家・横尾忠則の活動は精力的で、多作です。



今回の世田谷美術館にも、700点ぐらいの作品があり、
尊敬する画家、ルソーへのオマージュ的な絵画から始まって、
グラフィックデザイナー時代の原画や、新聞小説の挿絵、
雑誌の表紙など、若いころのデザイナー時代の作品も充実
していましたし、画家宣言してからの、キャンバスに描かれた
大きな作品も多数ありました。

その中でも‥

<Y字路>シリーズは、ある日郷里の町の、なじみの模型店をたずねたら
そこは壊されていて、その店跡がY字路の真ん中に立っていた、という
ところに、強く感じ入って、そこから始まったシリーズです。

こういうのを、偶然を装った必然、というのでしょうね。
たまたま行ってみた、ように見えて、その実、場所に「呼ばれて」いた
のかもしれません。

Y字路だから、分岐点で右と左に分かれるわけで‥
こっち側と、そっち側では、まるで違う世界だったりするわけで‥
なんかそういうところに、惹かれます。どの絵もおもしろかったです。




新聞の夕刊に「人生の贈りもの」という連載があり、
今週は、それも横尾忠則さんでした。

ー9・11の時もY字路を描いていたとか の質問に、こんなふうに
答えていました。

そう。デッサンで「なぶり描き」みたいなものをね。
夜自宅に戻ったら、テレビでちょうど飛行機が激突する映像が流れていた。
翌日、アトリエへ行ったら、絵が崩落現場に見えてきて、描けなくなって
未完だけど、完成にした。阪神大震災の時もそうだったけれど、
絵が他動的に完成させられる。こういう芸術行為もあるんですよね。

ほらここにも、偶然を装った必然が潜んでる、と思います。



ほぼ日刊イトイ新聞にも、今なら、冒険王・横尾忠則が掲載されてます。
こっちは、糸井氏が、横尾氏の案内で、展覧会を観た時の会話中心で、
おもしろいです。


コメント (4)
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