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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

うみべのハリー

2007-07-07 17:52:15 | ひらきよみ(読み聞かせ)

 先週の金曜日は、今学期2回目の開き読みの当番でした。

 2年生の教室で読んだのは2冊。最初の1冊をこの本↓にしたので、あとのもう1冊
とても短い話にしました。


    うみべのハリー(福音館書店)
    『うみべのハリー』
    ジーン・ジオン 文 
  マーガレット・ブロイ・グレアム 絵
     わたなべしげお 訳



 『うみべのハリー』は、 『どろんこハリー』の続きのお話で、夏ヴァージョン。
 こんなふうに始まります。


 ハリーは、くろいぶちのある しろいいぬです。
 うみべのことなら なんでも すきだけど、かんかんでりの
 おひさまだけは いやでした。


 かんかんでりのおひさまを避ける場所を探しているうちに、大波とともに海藻を
すっぽりかぶってしまったハリーは、全然犬には見えなくなってしまいます。
 海藻のおかげで、涼しくはあるのですが、周りで何を言っているのかよく聞こえないし、
匂いにも鈍感に。
 すっかりおうちの人たちと離れてしまって、海のおばけと間違われ、あやうくつかまりそうに
なったところを助けてくれたのは、ホットドック屋さんの声でした。

 お客さんを呼び込む 「いらはい! いらはい! いらはい!」 がハリーには、

 「ハリー ハリー ハリー」と聞こえたのです。


 
 ハリーのシリーズを読んでいると、どれもお話の完成度の高さに驚かされます。

 冒頭で、的確に主人公ハリーのことを説明し、それに続くお話はドキドキしたり、ちょっと心配
させられたり。でも、最後には、ああよかったと、必ず安心できるし、安心したあとに、さらに
おまけももらったような気持ちにもなれるのです。

 このうみべのハリーでも、おうちのこどもたちがハリーを無事に見つけて安堵したあとに、
ハリーのおうちの人がビーチパラソルを、たっぷりとした大きさの くろいぶちのある しろいパラソル 
に買い替えてくれたことがわかります。



 低学年の教室で読む1冊の本としては、10分近くかかるので、長いほうだと思いますが、
ハリーの冒険を、時々、大勢のこどもたちと楽しむのもいいかなと思います。

 ただひとつ、心配というか、気にかかるのは…
 いらはい という言葉、今の子供たちにもわかるのかな、ということ。

 そして同時に、ここの箇所を翻訳されるときに、渡辺茂男さん、苦心されたのではないかなあと、
いつも思うのです。英語だったら、ハリーは、hurry up のハリーと同じ発音ですものね。






       …      …      …      …


 

 ハリーのシリーズとも、小学校の開き読みとも関係ないのですが、福音館書店の新刊に
渡辺茂男さんのご長男、鉄太氏の絵本が出ていました。絵を描いたのは奥様の加藤チャコさん。
 なんとなく嬉しい気持ちになったので、お知らせしました。

     

 
 『もりのびょういん』
 おさるのコイコイとチャイチャイは、森で病院を開きました。突然、「山火事だ!」……。
 オーストラリア在住の著者が、身近の森を舞台につくったスリル満点の楽しい絵本です。
 (福音館書店新刊案内のページより)
       



 
コメント (2)
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