報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「沈没船を捜索せよ」

2018-10-31 10:17:00 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月1日06:02.天候:曇 太平洋上 豪華客船“顕正”号船内]

〔自爆装置、第2フェーズに入りました。あと5分で自爆します。船内の皆様は、直ちに船外へ避難してください。繰り返します。……〕

 高野:「マサ、早くこっちへ!」
 高橋:「分かってるって!こっちは先生を担いでるんだからよォ!」

 あっちこっちで小爆発を起こす豪華客船“顕正”号。
 生き残っている乗客は、既に愛原学探偵事務所の面々だけとなってしまった。
 そして今、正体を知らぬ黒幕が高笑いをしながら船の自爆装置を作動させ、生き残った愛原達をも海の藻屑にせんとしていた。
 サイドデッキを通ってヘリポートのある船橋甲板へ向かう3人。
 愛原を頭を打って意識を無くしており、高橋が愛原を担いでいた。
 船は船尾を下にしてどんどん沈んで行く。
 船橋甲板へ向かうには、急坂と化したデッキを通らなくてはならなかった。
 小爆発と共に船の設備や荷物が愛原達目掛けて飛んで来る。
 この時点で既にゾンビ達はいなくなっていた。
 高橋達が粗方倒したからなのか、或いはこの小爆発に巻き込まれて死んだのかもしれない。
 そう言えば船底から上がって来る最中にも、それと思われるゾンビ達の死体が転がっていた。
 それでも生き残った者達は、這いずってでも愛原達に襲い掛かろうとしていたが。

 高野:「ヘリが!」

 デッキの横をBSAAのヘリが掠め通って行く。
 どうやら先にヘリポートで待っているということらしい。

 高橋:「船の傾き、パねぇ!」
 高野:「急ぐのよ!」

 だが、船橋甲板に出る出入口の前には……。

 サスペンデッド:「逃ィがさなぁぁぁぁぁぁい!」
 高橋:「うおっ、逆さ女!?」
 高野:「大山寺にいたヤツと同じだね!」

 リッカーの上位種である。
 リッカーが既に生前どんな人間か(男か女か)が分からないくらい化け物と化しているのに対し、サスペンデットはまだ辛うじて人間の原型を保っているせいか、それが分かる。
 どうもサスペンデッドは、女がなるものらしい。

 高野:「てか、“学校であった怖い話”じゃないんだから!」
 高橋:「うっせ!このクソ女、ジャマするならぶっ殺す!」

 高橋は愛原を担いだままハンドガンを向けた。
 しかし、デッキの横にある船室の窓ガラスをブチ破って、リッカーも数匹飛び出してきた。

 高野:「どうやらここがラスボス戦らしいよ?」
 高橋:「へっ、ゲームなら船橋甲板辺りになるのによォ!」
 サスペンデッド:「殺すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
 高野:「せっかちは嫌われるよ!」
 高橋:「しつこいヤツもな!」

 高野はショットガンを構え、高橋はハンドガンを構えた。

[10月5日10:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は日本政府エージェントの善場さん達がやってきた。
 リサの様子を見に来たのかと思ったが、この時間帯、リサは学校に行っている。
 どうやら、リサではなく私達に用事があるようだ。
 実際そうで、高野君や高橋君から豪華客船“顕正”号であったことを教えて欲しいということだった。
 これは私も詳しくは聞いていなかった。
 いや、1度だけは聞いたか。
 それでも私の失った記憶が戻ることはなかった。
 まるで高野君達が巧妙な作り話をしている。
 そんな感じに聞こえただけだった。

 高野:「……こうして私達は辛うじてサスペンデッドやリッカー達を倒し、ヘリコプターに乗って辛うじて脱出したんです。その直後、船は大爆発を起こして海の底へ沈んで行きました」
 善場:「なるほど。そういうことでしたか」

 善場氏は大きく頷いた。

 愛原:「大丈夫ですか?私はこの2人の話を聞くのは2度目ですが、やっぱり思い出せないんです」
 善場:「思い出せないのは当然でしょう。あなたは後半、意識を失っておられたのですから」
 愛原:「いや、バイオハザードが起こる前の記憶とか、それすらも無いんですよ」
 善場:「私が高橋さんと高野さんから話を伺いたかったのは、ある物の存在について知りたかったのです」
 愛原:「ある物?」
 善場:「愛原さん、あの船に乗り込む前、カードキーのようなものを送り付けられたそうですね?あの船で使う物だということで……」
 愛原:「あ、はい。そうです。リサが送ってきたらしいんですが、当のリサは知らないらしいんですよ」
 善場:「恐らく、今学校に行ってる『リサ・トレヴァー』ではないでしょうね」
 愛原:「確かに仙台の廃校地下の研究所には、もう1人いましたね」

 私達はさっさと脱出してしまったが、最終形態にまで変化した『もう1人のリサ・トレヴァー』は最終的にBSAAに倒された。

 善場:「私達が欲しいのは、そのカードキーなんですよ」
 愛原:「はあ!……って、どこにあるんだ?」
 高野:「ああ、それなら金庫にしまってありますよ」
 愛原:「あるんかい!BSAAに渡さなかったの?」
 高野:「別に、善場さんみたいに『くれ』とは言われませんでしたから」

 そういうものか。
 高野君は一旦席を外して応接室から退出すると、すぐに戻ってきた。

 高野:「これですね」

 高野君は茶封筒に入ったカードキーを持って来た。

 善場:「拝見します」

 善場氏は茶封筒の中に入っている黄色いカードを取り出した。
 ああ、うん。あれは覚えてる。
 やはり私は船に乗ってからの記憶が無いようだ。

 愛原:「しかし善場さん、もう既に海の藻屑と化した船で使われていたカードキーなんて、使い道あるんですか?」
 善場:「それがあるんですよ」
 愛原:「ええっ?」
 善場:「確かに船そのものは海の底に沈んでしまいましたが、存在自体が無くなったわけではありません」
 愛原:「はあ……」
 善場:「私達はこれから、BSAAと合同であの船の探索をしようというのですよ」
 愛原:「ええっ!?」
 高橋:「沈没船を探索するのか!」
 善場:「はい。事前の調査ですと、あんな状態になってもまだ船内の一部の電力は生き残っているそうです」
 愛原:「マジですか!?」
 善場:「ということは、こういうカードキーで開くドアとか、仕掛けとかある可能性もあるわけですよ」
 愛原:「うーむ……」
 善場:「あとは高野さん、あの当時宿泊していた部屋について教えてください」
 高野:「部屋ですか?えーと……」

 豪華客船に相応しく、全室がスイートルームである。
 客室内は更に2部屋に分かれていたので、高野君の部屋と私と高橋君の部屋で分けるといった部屋割りをしたそうだ。

 高野:「確かにそのカードキーで、部屋のドアのロックを解除していましたね」
 善場:「それだけですか?他に室内でこのカードキーを使う場面とかありませんでしたか?」
 高野:「んーと……」
 高橋:「ああ、アネゴ。あれだよ、あれ」
 高野:「え?」

 高橋は何か思い出したようだ。
 本来、電気錠となっている部屋のドアロックを解除する為のカードキー。
 室内には他に使い道があったらしい。
 それは何だったと思う?

 1:バスルームのドア
 2:セーフティボックス
 3:テレビの有料チャンネル
 4:見当もつかない

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 神奈川は バス乗り趣味も ... | トップ | “私立探偵 愛原学” 「沈没... »

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (マイケル)
2018-10-31 11:14:47
2:セーフティボックス

かな?!
返信する
マイケルさんへ (雲羽百三)
2018-10-31 12:03:16
 早速の回答ありがとうございます。

 後ほど反映させて頂きます。
返信する
1ばーん (いおなずん)
2018-10-31 20:07:52
普通に考えるなら2番ですが、ここは1番で
返信する
いおなずんさんへ (雲羽百三)
2018-10-31 20:37:13
 こんばんは。

 あ、すいません。回答している最中、更新してしまいました。
 またお願いします。
返信する

コメントを投稿

私立探偵 愛原学シリーズ」カテゴリの最新記事