報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「旅行2日目」

2021-06-03 19:48:58 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月2日08:00.天候:晴 栃木県那須塩原市 ホテル天長園8F・レストラン]

 朝風呂に入ってサッパリした後は、8階のレストランへ向かった。

 女将:「おはようございます。昨夜は眠れましたか?」
 愛原:「おかげさまで。BSAAがいるもんだから大丈夫かなと思ったんですが、案外大丈夫でした」
 女将:「それは良かったです」

 昨夜の夕食と同じ席が用意されていた。

 愛原:「なるほど……」

 昨夜は天気が悪くて視界不良だったが、今は晴れていることもあってか、景色がよく見えた。

 愛原:「あれが那須の山かな?」
 女将:「さようでございます」

 山奥というわけでもないのだが、立地条件としては、アメリカのラクーン市の郊外山中にあったというアンブレラの秘密研究所と同じくらいかな?

 女将:「お待たせ致しました。朝食でございます」

 ホテルの朝食と言えばバイキングというのがベタな法則だが、ここでは定食形式で用意された。

 凛:「おはようございます」
 リサ:「おはよう」
 絵恋:「フン……」

 私は改めて、上野凛という名の少女の顔とリサの顔を見比べた。
 昨夜、絵恋さんは、凛さんの髪形がリサとそっくりだと憤慨したが、心なしか顔も似ているような気がする。
 そうだ。
 目から上が似ている。

 愛原:「ありがとう」
 女将:「お飲み物は何になさいますか?」
 愛原:「いやあ、朝からビールはちょっとねぇ……」
 リサ:「先生、ビールだなんて言ってない」
 愛原:「あ……」
 リサ:「オレンジジュースで」
 絵恋:「じゃあ、私も」
 凛:「かしこまりました」
 愛原:「私はお茶でいいです」
 高橋:「じゃあ、俺も」
 女将:「かしこまりました」
 愛原:「女将さん」
 女将:「何でございましょうか?」
 愛原:「娘さん、上野凛さんと仰るのでしょう?」
 女将:「さようでございますが?」
 愛原:「ゴールデンウィークだと学校も休みだから、ずっとここでバイトするのかな?」
 女将:「その予定です。こんな田舎じゃあ、遊びに行く所も無いですから」
 愛原:「そう。ということは、女将さんの名前も上野さんと仰るんだね?」
 女将:「はい、さようでございます」
 愛原:「そうか……」
 女将:「何か、お気になさることでも?」
 愛原:「女将さん、上野暢子さんって知ってるかい?」
 女将:「上野暢子……?申し訳ございません。ちょっと、記憶にございません」
 愛原:「え?そうなの?」
 女将:「私も人間を辞めてしまった身。人間だった頃の記憶は、あまり無いのです。名字からして、私共の親戚筋ではないかと思われたのですね?」
 愛原:「そうです」
 女将:「かしこまりました。それでは後ほど、お調べしておきます」
 愛原:「分かりました」
 凛:「……さん」

 その時、凛さんが何か呟いたのを私は聞いた。
 ただ、何を言ってたのかまでは分からなかった。

 高橋:「上野暢子はリサの人間だった頃の名前。そして、ここの女将母娘の名字も上野。何やら怪しい臭いがプンプンしますね」
 愛原:「そうだな」

 私は凛さんが何か知っているのではないかと思ったが、あいにくと凛さんはどこかへ行ってしまった。

[同日10:00.天候:晴 ホテル天長園1F駐車場出入口→関東自動車バス車内]

 朝食を終えた私達は浴衣から私服や制服に着替えると、ホテルの外に出た。
 私服ではなく、制服を着て来た彼女達に聞いてみると、この方が行けなかった修学旅行っぽくて良いという。

 愛原:「行けなかったのは中等部の修学旅行だろ?」
 リサ:「そう」
 愛原:「なのに高等部の制服を着て来るってのも、あれだなー」
 リサ:「そうか。中等部の制服を着て来るんだった」
 絵恋:「リサさん、それは無理よ。私達、高等部の授業の後で来たんだから……」
 リサ:「む、それもそうか」
 絵恋:「それに、夏服のこの恰好、中等部と大して変わんないから」
 リサ:「……それもそうだ」

 5月から夏服になるのだが、6月までの間は合着期間ということで、ブレザーを脱いで、スカートやスラックスは夏用の物に換えるだけで良い。
 東京中央学園の夏服のスカートやスラックスは、ブレザーと同じモスグリーンである(冬はグレー)。
 上に着るベストはグレーだった。
 ベストは気温に合わせて着たり脱いだりして良い。
 7月からの盛夏服としては、ポロシャツになる。
 ただ、ブラウスよりも下着が透けやすい為、PTAからの申し入れにより、強制ではなくなっている(つまり、ブラウスを着ても良い)。

 高橋:「先生、バスが来ましたよ」
 愛原:「おっ、来たか。おーい!」

 この辺りはフリー乗降区間である。
 つまり、バス停以外の場所でも乗り降りができる。
 この辺りは道路も直線区間になっているので、遠くからでもバスを視認できた。
 私はバスに向かって大きく手を挙げた。
 バスが左ウィンカーを上げて、こちらに寄って来る。

 愛原:「よし、乗ろう」

 バスに乗り込むと、2~3人ほどの乗客が乗っていた。
 後ろの席に座る。

〔「発車します。ご注意ください」〕

 バスが走り出す。
 まずは板室温泉の中心部へ向かうようだ。

 愛原:「今のうちに、乗りたいアトラクションとか考えておけよ?帰りもこのバスに乗るから」
 リサ:「はーい」

 リサと絵恋さんは、ホテルでもらった那須ハイランドパークのパンフレットを見ていた。

 愛原:「パンフレットじゃ分からんが、コロナ禍だ。一部のアトラクションとかレストラン辺り、営業しているかどうか怪しいな」
 高橋:「営業しているだけでも奇跡みたいなもんですよ」
 愛原:「そうだな」

 本当ならこのバス、もっと乗客が多いのだろう。
 本数が1日に2往復しか無いところを見ると、元々そんなに利用客は多くないのかもしれない。
 それにしても、さすがに乗客が少なすぎると思った。
 コロナ禍の影響だと思いたい。
コメント (3)
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“私立探偵 愛原学” 「ホテル天長園」 5

2021-06-03 15:05:04 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月1日23:00.天候:雨 栃木県那須塩原市 ホテル天長園7F・721号室→大浴場]

 高橋:「まだBSAAいるんですねー」
 愛原:「俺達はもう用済みみたいだから、さっさと寝ることにしよう」
 高橋:「はい。善場の姉ちゃんから連絡は?」
 愛原:「いや、まだ無い。一応、メッセージとメールは送ってるんだが……」
 高橋:「何やってんスかね……」
 愛原:「そもそも今はゴールデンウィークだし、善場主任もすぐには出られないのかもしれない」
 リサ:「ねぇ、先生。あれって何の建物?」

 リサが窓の外を指さした。
 宿泊客は私達しかいないので、ホテル客室の照明の殆どが点いていない。
 点いているのは、BSAAがそこを検索しているのだろう。
 建物の向こう側に、薄暗い本館と比べて一際明るい建物があった。
 見た目は体育館っぽい建物だが……。

 愛原:「もしかしたら、あれが『聖堂』なのかもしれないな」

 こんなこともあろうかと、私は探偵の七つ道具、小型の双眼鏡を持って来ていた。
 外は雨なので視界が悪いが、雨のピークは過ぎたようで、先ほどの雷雨や大雨ではなく、だいぶ小雨になってきている。

 愛原:「あそこにBSAAの車が何台も止まっているから、今はあそこを集中的に検索するつもりか」

 宗教施設はタブー視されることが多々あるが、BSAAには関係無いらしい。
 特に、外国の異教は。
 ましてや天長会はキリスト教からも異端扱いされる上、怪しい新興宗教の団体とあらば、BSAAも遠慮はしないか。

 愛原:「本当に白井はいるのか?」
 リサ:「いるような……気がする」
 愛原:「だとしたら、さっさとBSAAがパクッてくれるのを期待するしかないな」
 高橋:「先生。これじゃ暢気に露天風呂入れないっスねー」
 愛原:「しょうがない。明日の朝風呂に期待しよう。明日は晴れるみたいだからな」
 高橋:「はい」

 私達は寝る準備に入った。

 リサ:「ねぇ、先生」
 愛原:「何だ?」
 リサ:「あの、『巫女』の凛ね、名字を上野って言ったでしょ?」
 愛原:「そうだな」
 リサ:「上野って……私の人間だった頃の名前の名字と同じだよね」
 愛原:「! そうだな!」

 私は今思い出した。
 そして、手帳を取り出して確認すると、リサの人間だった頃の名前は上野暢子。
 上野凛の母親があの女将さんなら、女将さんの名字も上野ということになる。
 これは何かの偶然か?
 明日、聞いてみよう。
 ていうか、ここのBSAA隊長が私に聞いて来た、『「2番」の関係者がいる』というのは、そのことだったのか?

 愛原:「ここに来てから、新たな発見が多いなぁ……。何にしろ、あとは明日だな」
 リサ:「先生、明日はどこ行くの?」
 愛原:「明日は那須ハイランドパークに行くさ。遊園地だよ。ここに来る時に乗ったバスの行き先にあっただろ?あれだよ」
 リサ:「おー、なるほど」

 こちらにはこちらの予定がある。
 BSAAが干渉して来なければ、こちらは予定通りのことを行うまでだ。

[5月2日07:00.天候:晴 同ホテル7F・721号室]

 枕元のスマホが鳴る。
 ちょうど7時にアラームをセットしたのだ。

 愛原:「うーむ……」

 それで起き上がる私。
 高橋も起きた。

 高橋:「おはようございます……」
 愛原:「ああ、おはよう」

 私は起き上がると、室内を見渡した。
 特に何も無い。
 寝ている間に何かあるんじゃないかと思って枕元にハンドガンを置いておいたのだが、杞憂に終わったようだ。
 尚、寝てる最中に間違って触って暴発させたら危険なので、一応安全装置は付けたままにしている。

 高橋:「何も無かったみたいっスね」
 愛原:「BSAAは去ったのか?」

 私は起き上がって、カーテンを開けて外を見た。
 『聖堂』前に集結していたBSAAの車は、まだ停車している。
 どうやらBSAAはまだ残っているようだ。

 愛原:「……まだいるな」

 正直、朝風呂に行って良いものかどうか迷ったが、取りあえず行って見ることにした。

 リサ:「おはよ……」

 私達が準備をしていると、リサが寝惚け眼で起きて来た。

 愛原:「おう、おはよう。リサはまだ寝てていいよ」
 リサ:「どこ行くの……?」
 愛原:「朝風呂。昨夜、雨が強くて露天風呂に入れなかったから。今は晴れたから入れるだろうと思うんだが……」
 リサ:「私も行く」
 愛原:「そうか?じゃあ……」

 しかし、そんなリサの足をガシッと掴む者がいた。
 絵恋さんである。

 絵恋:「リサさん、行っちゃヤダ……」
 リサ:「這いずりゾンビみたいな掴み方するな!」
 愛原:「た、確かに……」

 這いずりゾンビとは、ゾンビウィルスに感染した者が末期症状に陥り、立って歩けず、這いずりでしか移動できなくなったゾンビのことである。
 または、立って歩くことのできていたゾンビが、足に銃撃を受けるなどして立てなくなり、這いずり状態になることも含めて呼ぶ場合もある。

 リサ:「私は朝風呂に行くの!放せ!」
 絵恋:「私も行く……」
 リサ:「だったら放せ!」
 高橋:「オマエら、よく昨夜は眠れたな」
 愛原:「確かに……」

 部屋から出て、まずは1階に下りる。

 フロント係:「おはようございます」
 愛原:「おはよう。今、大浴場って入れます?」
 フロント係:「はい、大丈夫ですよ」

 よし。
 やっと露天風呂に入れそうだ。
 東側通路を通って行くと、途中に従業員専用のドアがある。
 昨日は鍵が掛かっていたが、今日はどうなのだろう?

 愛原:「……うん。やっぱり掛かってる」

 当たり前だな。

 リサ:「私がこじ開けようか?」

 リサが右手だけでバキッと骨を鳴らした。

 愛原:「いや、いいよ。さっさと風呂行こう」

 もしかすると、スタッフの人達が寝泊まりしている所があるのかもしれない。

 高橋:「先生、今日の出発はいつ頃ですか?」
 愛原:「午前中の那須ハイランドパーク行きのバスに合わせてだから……」

 今日は何が起こるのだろうか?
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“私立探偵 愛原学” 「ホテル天長園」 4

2021-06-03 11:43:57 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月1日19:30.天候:雨 栃木県那須塩原市 ホテル天長園1F]

 夕食を終えた私達は、再び1階に下りた。
 そして、ロビーの西側にある天長会紹介コーナーに向かう。
 コーナーといっても、ちょっとしたホテルの宴会場並みの広さがあった。
 もしかすると、本当にバンケットホールだった場所なのかもしれない。

 愛原:「天長会は教祖様が神の啓示を受けて発足させた団体。如何に既存の宗教団体が腐敗堕落しているかを気づかされた教祖様は、『昭和の宗教改革』を謳い、天長会を立ち上げた……か。よくある新興宗教発足の類だな」

 私は天長会そのものには興味は無かった。
 天長会が如何にしてアンブレラ……日本アンブレラと繋がったのかを知りたいのだ。

 高橋:「先生、あれを!」

 高橋が指さした所には、1人の『巫女』の写真があった。
 キリスト教の修道女のような姿をしているが、白い仮面を着けており、顔は分からない。
 何でも、天長会における『巫女』は悪魔の妨害、そして神からの試練を一手に引き受ける存在とのこと。
 悪魔に憑かれた際に、顔が大きく変化し、それを隠す為に仮面を着けるのだそうだ。

 愛原:「何か……日本版リサ・トレヴァーみたいだな」
 高橋:「ですよね」

 そして、私は見つけた。
 このホテルの前身を。
 それも写真があった。
 グレーの殺風景な建物。
 そしてその隣には……。

 

 愛原:「東那須野駅だ!」

 上記の写真では分からないが、駅前には多くの信者達が集合しており、『東那須野駅(現・那須塩原駅)より栃木の道場へ向かう信者達」という説明が書かれていた。

 愛原:「リサ!この写真に覚えは無いか!?」
 リサ:「……!」

 するとリサ、頭を抱えてフラついた。
 第0形態から第1形態へと戻ってしまう。

 リサ:「白井が……ここにいる……!」
 愛原:「何だって!?」

 と、その時だった。
 エントランスの方が何やら騒がしかった。

 BSAA隊長:「BSAAだ!動くな!」

 行ってみると、BSAAが乗り込んで来るところだった。

 愛原:「BSAAの皆さん!?どうしてここに!?」
 BSAA隊長:「む?あなたは……?」

 私はNPO法人デイライトの善場主任の名刺と私の名刺を出しながら言った。

 愛原:「NPO法人デイライトから業務を委託されている、探偵の愛原学です。もっとも、今回は別件でこのホテルに滞在していますが……」
 BSAA隊長:「愛原さんもこのホテルに白井伝三郎が潜伏しているとの情報を得たのですね!?」
 愛原:「そうです!」

 もっとも、たった今だけどな!

 BSAA隊員A:「ホテルの中を調べさせてもらうぞ!」

 バタバタとホテルの中に入って行くBSAA隊員達。
 一応、フロントには捜査令状らしきものを提示していたが……。

 愛原:「隊長、これは一体……?」
 BSAA隊長:「当地区本部の諜報部隊より、情報が入ったのです。前回はとんだ失敗に終わりましたが、今回はそうはいきません」

 前回って、あのバス爆発か。

 愛原:「前回の計画って、結局どんな感じだったんですか?」
 BSAA隊長:「それは機密ですので、お話しできません」

 あ、そ。
 いいもんいいもーん。
 善場主任に聞くもーん。

 BSAA隊長:「このホテルに滞在していると言いましたね?」
 愛原:「ええ」
 BSAA隊長:「何か探偵として、情報を得たりはしませんでしたか?」

 機密です、と言いたいところだが、言ったら銃を突きつけられるだろうなぁ……。

 愛原:「私達も今日チェックインしたばかりなので……。まあ、日本版リサ・トレヴァー母娘だの、元BOWのスタッフだの、怪しい所はそれなりにありますけどね。白井に関することは現在調査中だったもので……」
 BSAA隊長:「そうですか。できれば、あなた達の部屋も見せて頂きたいのですが?」
 愛原:「いいですよ」
 BSAA隊長:「あー、こちら“アルファ”。2人ほど、ロビーに戻ってくれ」

 隊長はインカムで隊員を2人呼び戻した。

 愛原:「それではご案内します」

 私達はエレベーターに乗り込んだ。

[同日20:00.天候:雨 同ホテル7F・721号室]

 部屋に戻ると早速、隊員達が室内の検索に当たる。
 それと荷物検査も行われた。
 私や高橋はハンドガンを持っていたが、もちろんこれは対バイオテロ用に特化して使用できるという条件付きで所持と使用が許可されたものだから、何ら問題は無い。

 BSAA隊員B:「クリア!(異常なし)」
 BSAA隊員C:「クリア!(異常なし)」

 隊員達は室内はもちろん、天井の点検口や床下の点検口を開けるばかりか、そこに入ってダクトの中まで調べ上げた。
 さすがはBSAAだ。
 それだけでなく、盗聴器や隠しカメラの類なども調べ上げる。
 それを踏まえた上での、『クリア』だ。

 BSAA隊長:「ご協力ありがとうございます。この部屋は安全ですので、安心して滞在してください」
 愛原:「それは良かったです」
 BSAA隊長:「1つだけお教えしましょう。確かにあなた方を『連れ去った』『テロリスト達』は、うちの諜報部隊員です」
 愛原:「やっぱり!?」
 BSAA隊員:「物の見事に、リサ・トレヴァーの『暴走』により失敗してしまいましたがな」
 愛原:「もしもその計画が成功していたら、どうなっていたんですか?」
 BSAA隊長:「今頃、白井伝三郎を捕縛できていたかもしれませんな」
 愛原:「ええっ!?」
 BSAA隊長:「何しろ……『本物のヴェルトロ』とそっくり入れ替わることができたのに……非常に残念です」

 そう言ってBSAAは去って行った。
 あくまでもこの部屋を去っただけで、ホテル内部の検索は続けているだろう。
 もしかしたら、本当にヴェルトロは私達を偽バスで連れ去ろうとしていたのかもしれない。
 その情報を事前にキャッチしたBSAA極東支部日本地区本部は、そのヴェルトロ達を捕縛あるいは駆逐。
 そして、彼らはヴェルトロと入れ替わった。
 恐らくそのヴェルトロは、私達を白井伝三郎の所へ連れて行こうとしたのかもしれない。
 そこでBSAAはそのヴェルトロと入れ替わることにより、全く怪しまれずに白井の所へ行こうし、白井が現れたところで、正体を表して……という作戦だったのか。
 あ、そうそう。
 去り間際、BSAA隊長がこんなことを言っていた。

 BSAA隊長:「このホテルに、リサ・トレヴァー『2番』の関係者がいるという情報もあるのですが、御存知ですか?」

 と。
 私はそんなことは知らないと答えたら、『そうですか』と言って去って行った。
 私はこの時、その関係者とは天長会のことだと思っていた。
 だが、隊長は別の意味で言っていたのである。
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