[6月21日22:00.天候:曇 静岡県富士市 東横イン新富士駅南口]
客室のテレビで映画を観る稲生とマリア。
〔「高橋、車を回してくれ。俺達は俺達で、BSAA極東支部に向かうぞ」「分かりました」 BSAA欧州本部には、あのクリス・レッドフィールド氏が向かったと聞く。BSAAの闇落ちは本部だけではないのだろうか。私達の仕事は、まだまだ続きそうだ。〕
稲生:「ここで終わりかぁーっ!」
マリア:「“THe Tantei Manabu Aihara”は長いシリーズになりそうだな」
稲生:「“Android Master”はいつの間にか終わってたのにねぇ……」
マリア:「朝も早かったし、そろそろ寝るわ」
マリアは大きく伸びをした。
稲生:「そう。マリアが乗り気じゃないならいいや」
マリア:「ああ……。明日はあの人形と対面することを考えたら、体力は温存しておきたい。このミッションが終わったら……ね」
稲生:「分かった。楽しみにしてるよ。それじゃ」
マリア:「明日は何時にチェックアウトする?」
稲生:「うーん……。8時にはここを出たい。バスに乗り換えて、富士宮に向かうから」
マリア:「分かった。おやすみ」
稲生:「お休み」
稲生は自分の部屋のカードキーを手に取ると、部屋を出た。
マリア:「よし」
マリアは稲生が出て行ったのを確認してから、人形に命じた。
マリア:「バスタブに湯を張って来て」
ミク人形:「Yes,sir!」
ミク人形がトテトテと歩いて、バスルームに向かう。
マリア:「着替えを用意して」
ハク人形:「Yes,sir!」
ハク人形はマリアのローブの中から、替えの下着を取り出した。
マリア:「映画を観てる最中、勇太が襲って来ないかなと思ってたけど、そんなことは無かった。紳士的で素晴らしいけど、ちょっと寂しい……」
ハク人形:「?」
ミク人形:「?」
マリア:「いや、何でも無い」
[6月22日06:00.天候:晴 同ホテル客室 稲生の部屋]
稲生は訳の分からない夢を見て目が覚めた。
枕が変わると、往々にしてそういうことはある。
だが、今回の場合は比較的はっきりとした夢だったが、脈絡的には何も無いものであった。
それが以下。
エレーナ:「おーい、稲生氏。もしかして、私のパンツ持ってってなーい?」
稲生:「ご、ゴメン。持ってった」
エレーナ:「やっぱりなぁ。返せよ」
稲生:「ほ、本当にゴメン」
エレーナ:「いいぜ。返してくれれば」
稲生:「ちょっと使っちゃった」
エレーナ:「ん?何か言ったか?」
というもの。
稲生:「エレーナ、どこから出て来たよ……」
稲生は鳴り響くスマホのアラームを止めると起き上がった。
そして、窓のカーテンを開く。
今朝は昨日と打って変わって、カラッと晴れていた。
稲生:「よしっ、今日はいい日になりそうだ!」
稲生は急いでバスルームに入り、朝の身支度を整えた。
そして……。
稲生:「えーと……新富士駅がそこにあるから……東京はあっちの方だな。で、大石寺が向こうか。よし。南無妙法蓮華経、南無妙蓮華経、南無妙法蓮華経……」
東の方を向いて、まずは題目三唱をしたのだった。
[同日07:15.天候:晴 同ホテル1F・朝食会場]
朝の勤行を終えた稲生は、マリアを伴って朝食会場に向かった。
ベタな法則通り、バイキング形式である。
コロナ禍の影響から、一時期はバイキング形式を取り止めにしたそうだが、今は復活している。
稲生:「おにぎりと玉子焼きとウィンナーと……」
マリア:「勇太、この食事は無料なんだろう?」
稲生:「そうです。食べ放題ですよ」
因みにドリンクバーもある。
人形達にあっては、ドリンクバーのジュースだけ飲んでいた。
マリア:「多分、宿泊料金の中に入ってるんだろうな」
稲生:「そうですね。多分、飛行機の機内食と同じですよ」
マリア:「ああ、そうか」
稲生:「外国ではなかなか無いでしょう?朝食代が宿泊料金の中に入ってるって」
マリア:「師匠が泊まるような大きなホテルでは無いな。イン(Inn)みたいな所とかは、たまにそういう所も……あっ、だから規模はHotelなのに、名前はInnなのか」
稲生:「あ、そういうこと!?」
マリア:「ここはルームサービスやレストランが無い代わりに、宿泊者専用で朝食は出す。だけど、師匠が泊まるような大きなホテル(シティホテル)はレストランがあるから、食事はそこで別料金で取るか、あるいはルームサービスを取って食べる」
稲生:「あー、確かに先生と一緒だと予算がいっぱいあるから、シティホテルに泊まれるんだよね」
一応今回の旅行もプラチナカードを渡されているということは、ぶっちゃけて言えば予算が潤沢にあるということではある。
しかし、弟子の身分であることを考えると、大っぴらに贅沢はできないのが常識だろう。
だから稲生も、駅前にあって便利とはいえ、リーズナブルなチェーンホテルに宿泊したのだ。
稲生:「ルームサービスがメチャクチャ高いのにはビックリした」
マリア:「ルームサービスがあるようなホテルは、だいたいどこも高いよ」
稲生:「凄いなぁ……」
マリア:「それより、8時にチェックアウトするんでしょ?その後は?」
稲生:「ああ。こことは反対側、新富士駅の富士山口の方のバス停からバスに乗るよ。8時21分発だから、ここを8時過ぎに出るとちょうどいいかなと思って」
マリア:「なるほど。分かった」
[同日08:21.天候:晴 同市内 JR新富士駅富士山口→富士急静岡バス“ゆりかご”号車内]
ホテルをチェックアウトして、バス乗り場に向かう。
朝のラッシュの時間帯ではあるのだが、新幹線のみの駅だと、やはり通勤電車が走っているような駅と違う雰囲気があった。
バスは広告がラッピングされた、中型の路線バスが来た。
それに乗り込む。
〔「8時21分発、富士駅南口行き“ゆりかご”です」〕
バスに乗り込むと、1番後ろの席に座った。
富士山に面したバスプールの為か、バスの車内からでも富士山はよく見える。
7~8人の乗客を乗せたところで、発車の時間になった。
〔「発車します。お掴まりください」〕
バスは駅前のロータリーを発車した。
〔ピン♪ポン♪パーン♪ ご乗車ありがとうございます。このバスは、富士駅南口行きです。次は下横割、下横割でございます。お降りの際は、押釦でお知らせください〕
稲生:「これで富士駅まで行って、それから身延線という路線に乗り換えます」
マリア:「かなり田舎にあるんだろうね」
稲生:「田部井さんの話だと、そうでしょうね。まあ、大石寺自体が富士宮市の郊外にありますから。その富士宮市自体も、そんなに大きな町ではないので……」
マリア:「ミスター田部井の話だと、どうして外国製の人形がそこにあったのか、それ自体が不明だそうだ」
稲生:「ですよねぇ。あの家に住んでいる人達、一度も海外に行ったことはないし、海外から来た人を招いたことも無いと……。そういうことってあるんですか?」
マリア:「あまり考えられないな。それでも誰かが人為的に人形をあの家に持ち込み、そしてKuraの中に放置してそのまま忘れられたんだろう。それならあの人形も哀しむのは分かる」
稲生:「恐ろしいことにならなければいいねぇ……」
客室のテレビで映画を観る稲生とマリア。
〔「高橋、車を回してくれ。俺達は俺達で、BSAA極東支部に向かうぞ」「分かりました」 BSAA欧州本部には、あのクリス・レッドフィールド氏が向かったと聞く。BSAAの闇落ちは本部だけではないのだろうか。私達の仕事は、まだまだ続きそうだ。〕
稲生:「ここで終わりかぁーっ!」
マリア:「“THe Tantei Manabu Aihara”は長いシリーズになりそうだな」
稲生:「“Android Master”はいつの間にか終わってたのにねぇ……」
マリア:「朝も早かったし、そろそろ寝るわ」
マリアは大きく伸びをした。
稲生:「そう。マリアが乗り気じゃないならいいや」
マリア:「ああ……。明日はあの人形と対面することを考えたら、体力は温存しておきたい。このミッションが終わったら……ね」
稲生:「分かった。楽しみにしてるよ。それじゃ」
マリア:「明日は何時にチェックアウトする?」
稲生:「うーん……。8時にはここを出たい。バスに乗り換えて、富士宮に向かうから」
マリア:「分かった。おやすみ」
稲生:「お休み」
稲生は自分の部屋のカードキーを手に取ると、部屋を出た。
マリア:「よし」
マリアは稲生が出て行ったのを確認してから、人形に命じた。
マリア:「バスタブに湯を張って来て」
ミク人形:「Yes,sir!」
ミク人形がトテトテと歩いて、バスルームに向かう。
マリア:「着替えを用意して」
ハク人形:「Yes,sir!」
ハク人形はマリアのローブの中から、替えの下着を取り出した。
マリア:「映画を観てる最中、勇太が襲って来ないかなと思ってたけど、そんなことは無かった。紳士的で素晴らしいけど、ちょっと寂しい……」
ハク人形:「?」
ミク人形:「?」
マリア:「いや、何でも無い」
[6月22日06:00.天候:晴 同ホテル客室 稲生の部屋]
稲生は訳の分からない夢を見て目が覚めた。
枕が変わると、往々にしてそういうことはある。
だが、今回の場合は比較的はっきりとした夢だったが、脈絡的には何も無いものであった。
それが以下。
エレーナ:「おーい、稲生氏。もしかして、私のパンツ持ってってなーい?」
稲生:「ご、ゴメン。持ってった」
エレーナ:「やっぱりなぁ。返せよ」
稲生:「ほ、本当にゴメン」
エレーナ:「いいぜ。返してくれれば」
稲生:「ちょっと使っちゃった」
エレーナ:「ん?何か言ったか?」
というもの。
稲生:「エレーナ、どこから出て来たよ……」
稲生は鳴り響くスマホのアラームを止めると起き上がった。
そして、窓のカーテンを開く。
今朝は昨日と打って変わって、カラッと晴れていた。
稲生:「よしっ、今日はいい日になりそうだ!」
稲生は急いでバスルームに入り、朝の身支度を整えた。
そして……。
稲生:「えーと……新富士駅がそこにあるから……東京はあっちの方だな。で、大石寺が向こうか。よし。南無妙法蓮華経、南無妙蓮華経、南無妙法蓮華経……」
東の方を向いて、まずは題目三唱をしたのだった。
[同日07:15.天候:晴 同ホテル1F・朝食会場]
朝の勤行を終えた稲生は、マリアを伴って朝食会場に向かった。
ベタな法則通り、バイキング形式である。
コロナ禍の影響から、一時期はバイキング形式を取り止めにしたそうだが、今は復活している。
稲生:「おにぎりと玉子焼きとウィンナーと……」
マリア:「勇太、この食事は無料なんだろう?」
稲生:「そうです。食べ放題ですよ」
因みにドリンクバーもある。
人形達にあっては、ドリンクバーのジュースだけ飲んでいた。
マリア:「多分、宿泊料金の中に入ってるんだろうな」
稲生:「そうですね。多分、飛行機の機内食と同じですよ」
マリア:「ああ、そうか」
稲生:「外国ではなかなか無いでしょう?朝食代が宿泊料金の中に入ってるって」
マリア:「師匠が泊まるような大きなホテルでは無いな。イン(Inn)みたいな所とかは、たまにそういう所も……あっ、だから規模はHotelなのに、名前はInnなのか」
稲生:「あ、そういうこと!?」
マリア:「ここはルームサービスやレストランが無い代わりに、宿泊者専用で朝食は出す。だけど、師匠が泊まるような大きなホテル(シティホテル)はレストランがあるから、食事はそこで別料金で取るか、あるいはルームサービスを取って食べる」
稲生:「あー、確かに先生と一緒だと予算がいっぱいあるから、シティホテルに泊まれるんだよね」
一応今回の旅行もプラチナカードを渡されているということは、ぶっちゃけて言えば予算が潤沢にあるということではある。
しかし、弟子の身分であることを考えると、大っぴらに贅沢はできないのが常識だろう。
だから稲生も、駅前にあって便利とはいえ、リーズナブルなチェーンホテルに宿泊したのだ。
稲生:「ルームサービスがメチャクチャ高いのにはビックリした」
マリア:「ルームサービスがあるようなホテルは、だいたいどこも高いよ」
稲生:「凄いなぁ……」
マリア:「それより、8時にチェックアウトするんでしょ?その後は?」
稲生:「ああ。こことは反対側、新富士駅の富士山口の方のバス停からバスに乗るよ。8時21分発だから、ここを8時過ぎに出るとちょうどいいかなと思って」
マリア:「なるほど。分かった」
[同日08:21.天候:晴 同市内 JR新富士駅富士山口→富士急静岡バス“ゆりかご”号車内]
ホテルをチェックアウトして、バス乗り場に向かう。
朝のラッシュの時間帯ではあるのだが、新幹線のみの駅だと、やはり通勤電車が走っているような駅と違う雰囲気があった。
バスは広告がラッピングされた、中型の路線バスが来た。
それに乗り込む。
〔「8時21分発、富士駅南口行き“ゆりかご”です」〕
バスに乗り込むと、1番後ろの席に座った。
富士山に面したバスプールの為か、バスの車内からでも富士山はよく見える。
7~8人の乗客を乗せたところで、発車の時間になった。
〔「発車します。お掴まりください」〕
バスは駅前のロータリーを発車した。
〔ピン♪ポン♪パーン♪ ご乗車ありがとうございます。このバスは、富士駅南口行きです。次は下横割、下横割でございます。お降りの際は、押釦でお知らせください〕
稲生:「これで富士駅まで行って、それから身延線という路線に乗り換えます」
マリア:「かなり田舎にあるんだろうね」
稲生:「田部井さんの話だと、そうでしょうね。まあ、大石寺自体が富士宮市の郊外にありますから。その富士宮市自体も、そんなに大きな町ではないので……」
マリア:「ミスター田部井の話だと、どうして外国製の人形がそこにあったのか、それ自体が不明だそうだ」
稲生:「ですよねぇ。あの家に住んでいる人達、一度も海外に行ったことはないし、海外から来た人を招いたことも無いと……。そういうことってあるんですか?」
マリア:「あまり考えられないな。それでも誰かが人為的に人形をあの家に持ち込み、そしてKuraの中に放置してそのまま忘れられたんだろう。それならあの人形も哀しむのは分かる」
稲生:「恐ろしいことにならなければいいねぇ……」