[5月3日20:00.天候:晴 栃木県那須塩原市 那須ミッドシティホテル]
夕食を終えた私達は、部屋に移動した。
リサと絵恋さんは部屋に戻ると、着替えてからまた下に行くという。
買い物にでも行くのかと思ったが、突然の宿泊延長の為、着替えが足りなくなり、ホテルのコインロッカーで洗濯してくるという。
リサ:「サイトーはメイドさんがやってくれてるせいで洗濯機の使い方が分からないから、私がやってくる」
絵恋:「リサさ~ん、ゴメンナサーイ」
愛原:「大丈夫なのか?」
リサ:「お兄ちゃんが使っているところ見てたから大丈夫」
高橋:「俺がやってもいいぞ?」
絵恋:「ヘンタイ!」
高橋:「ンだとォ?!」
リサ:「お兄ちゃん。洗濯するのは服もそうだけど、下着が多いから。私はいいけど、サイトーは嫌だって」
愛原:「あー、そうか」
リサ:「先生達はいいの?」
高橋:「男なんてパンツ1つありゃ十分だ」
愛原:「まあ、新しいのは買って来る必要がある。そこにコンビニがあるからな」
高橋:「先生、お供します!」
善場:「その前に、私と話がありますので」
愛原:「分かってますよ」
私達はエレベーターに乗り込むと、客室フロアに向かった。
それからリサは絵恋さんと別の部屋に向かう。
今度は二間続きの部屋ではないので、別々だ。
愛原:「リサ達の部屋、ダブルですけど、いいんですか?」
善場:「仲良し2人組ですからいいでしょう」
愛原:「リサが絵恋さんを食べないとも限らんのですよ?」
善場:「その時は【お察しください】」
高橋:「姉ちゃん!だったら、俺達もダブルで良かったんだぞ!?」
善場:「所長が『いい』って言ったらいいよ?」
愛原:「断固、お断りだ」
高橋:「ええーっ、そんなぁ……!」
取りあえず、部屋に入る。
因みに客室の窓からは、那須塩原駅が見える。
善場:「それでは、ロープウェイで山頂に着いてからの事から伺いましょうか」
愛原:「はい」
私と主任のやり取りは小一時間ほど続いた。
で、主任が1番関心を持ったのは高野君のことだった。
愛原:「高野君は、善場主任もBOWと見做し、『狩る側だ』と言ってました」
善場:「ふっ。まあ、向こうからしてみれば、そうでしょうね」
久しぶりに善場主任はポーカーフェイスを崩し、口元を歪めた。
高橋:「否定しねーのか?」
善場:「否定はしますよ。でも、どんなにこっちが否定したところで、向こうは更に否定しますから」
愛原:「やっぱり高野君は捕まえるんですか?」
善場:「脱獄囚を捕まえるのは警察の仕事です。もちろん立場上、警察に協力はしますが、本来は管轄外ですので」
愛原:「そこは我々探偵や、警備員と同じか」
我々探偵や警備員とて、現行犯人は逮捕できても、指名手配犯は逮捕できない。
例え、『おい、小池!』の小池容疑者を見つけたとしても、『オマエ、小池だな!?逮捕する!』なんてことはできないのである。
できるのは、『この顔見たら110番』と書いてある通り、警察に通報するだけなのである。
もちろん、通報している間に逃走する恐れは十分にあるが、さりとて捕まえてみたところで、そっくりさんなだけだったら誤認逮捕となり、通報者の方がタイーホされるシステムである(そっくりさんを指名手配犯と誤認し、通報した場合は逮捕されない。当たり前だ)。
その為、探偵小説やドラマなどで、殺人犯を推理であぶり出す場合、都合良くそこに警察官がいなくてはダメなのである。
一部小説家は面倒臭いのか、もう警察官を主人公にしちゃったりしている(ので、できたジャンルが刑事ドラマか)。
愛原:「てことは主任、あれですよ?私が高野君を捕まえなかったからといって、何らかの罪になっても知りませんよ?」
善場:「ええ。警察には、『愛原所長から私へ通報があった。なので、けして犯人隠避とは見做されない』ということにしておきます。バイオハザード事件の場合、所長は警察よりも私に通報してくれますからね」
表向きにはNPO法人だが、その実、裏では政府機関のエージェントである善場主任らに捜査権があるのだろう。
今現在、私の所に警察は来ていない。
愛原:「それは助かります」
善場:「ですので、高野を乗せたヘリがどこへ飛んで行ったかを教えてください」
私はノートPCを開けて、電源を入れた。
そしてこのホテルのWi-Fiに接続し、グーグルマップを出す。
愛原:「えーと……ここが那須赤十字病院ですね。ここのヘリポートに私達を降ろした後、こっちの方角へ飛んで行きました」
説明して改めて気づいたのだが、そこは日光市の方角だった。
やはりブルーアンブレラは、あのタイラントが向かおうとした所を捜索するつもりなのだろう。
善場:「愚かですね。そのタイラントが実際どこへ行くつもりだったのかも把握しきれていないくせに。でしたらまだ、タイラントが潜んでいた所を探すのがベストです。誰がどうしてそこに、タイラントを潜ませておいたのかの証拠が見つかるかもしれませんからね」
どちらが正しい捜索なのだろう?
もちろん、怪しい所全てを捜索するに越した事は無いが。
多分、高野君達はタイラントとネメシスが鉢合わせになった場所を探しているんじゃないだろうか?
よくよく考えてみれば、日光市郊外山中に都合良くネメシスが潜んでいたのも気になるところだ。
愛原:「ところで、本当に大丈夫でしょうね?」
善場:「何がですか?」
愛原:「タイラントとネメシスですよ。奴ら、瀕死の重傷になっても尚、ターゲットを追跡しようとするらしいじゃないですか。この場合、リサがターゲットでしょうか」
善場:「BSAAより掃討完了報告がありました。体をバラバラにした上、死体は全て焼却したとのことです。そこまでして復活したという報告は、かつて例がありません」
愛原:「そうですか……」
私はホッとした。
善場:「取りあえず、今夜はこのホテルに一泊してください。帰りはどのタイミングでもいいですから」
愛原:「善場主任は一緒に帰京しないのですか?」
善場:「私はBSAAの捜索状況を確認します。それと、ブルーアンブレラの動きも気になりますからね」
私と高橋は主任を見送りがてら、ホテル近所のコンビニに行こうと思った。
リサ達も誘おうかと思う。
善場主任と部下の人だけ別のフロアに宿泊している(もちろん、部屋は別々)。
先に善場主任はエレベーターに乗って行ってしまった。
私は同じフロアのリサ達の部屋に行き、ドアをノックした。
愛原:「ん!?」
すると私は部屋の中から変な音が聞こえたような気がして、ドアに耳を当てた。
高橋:「どうしました、先生!?」
愛原:「何か、泣き声が聞こえるぞ!」
高橋:「ええっ!?」
私はさっきよりもっと強くドアをノックした。
愛原:「おい、どうした!?何があった!?」
しばらくして、目に涙を浮かべたリサが出て来た。
今のリサの泣き声だったのか?
しかし、部屋に入ってみると、絵恋さんもまたダブルベッドの上でグスッグスッと泣いていた。
愛原:「な、何だ何だ?何があった?」
高橋:「お?何だァ?女同士のケンカかぁ?おい」
リサ:「違う……グスッ」
果たして、リサ達の身に何があったのだろうか?
次回へ続く!
夕食を終えた私達は、部屋に移動した。
リサと絵恋さんは部屋に戻ると、着替えてからまた下に行くという。
買い物にでも行くのかと思ったが、突然の宿泊延長の為、着替えが足りなくなり、ホテルのコインロッカーで洗濯してくるという。
リサ:「サイトーはメイドさんがやってくれてるせいで洗濯機の使い方が分からないから、私がやってくる」
絵恋:「リサさ~ん、ゴメンナサーイ」
愛原:「大丈夫なのか?」
リサ:「お兄ちゃんが使っているところ見てたから大丈夫」
高橋:「俺がやってもいいぞ?」
絵恋:「ヘンタイ!」
高橋:「ンだとォ?!」
リサ:「お兄ちゃん。洗濯するのは服もそうだけど、下着が多いから。私はいいけど、サイトーは嫌だって」
愛原:「あー、そうか」
リサ:「先生達はいいの?」
高橋:「男なんてパンツ1つありゃ十分だ」
愛原:「まあ、新しいのは買って来る必要がある。そこにコンビニがあるからな」
高橋:「先生、お供します!」
善場:「その前に、私と話がありますので」
愛原:「分かってますよ」
私達はエレベーターに乗り込むと、客室フロアに向かった。
それからリサは絵恋さんと別の部屋に向かう。
今度は二間続きの部屋ではないので、別々だ。
愛原:「リサ達の部屋、ダブルですけど、いいんですか?」
善場:「仲良し2人組ですからいいでしょう」
愛原:「リサが絵恋さんを食べないとも限らんのですよ?」
善場:「その時は【お察しください】」
高橋:「姉ちゃん!だったら、俺達もダブルで良かったんだぞ!?」
善場:「所長が『いい』って言ったらいいよ?」
愛原:「断固、お断りだ」
高橋:「ええーっ、そんなぁ……!」
取りあえず、部屋に入る。
因みに客室の窓からは、那須塩原駅が見える。
善場:「それでは、ロープウェイで山頂に着いてからの事から伺いましょうか」
愛原:「はい」
私と主任のやり取りは小一時間ほど続いた。
で、主任が1番関心を持ったのは高野君のことだった。
愛原:「高野君は、善場主任もBOWと見做し、『狩る側だ』と言ってました」
善場:「ふっ。まあ、向こうからしてみれば、そうでしょうね」
久しぶりに善場主任はポーカーフェイスを崩し、口元を歪めた。
高橋:「否定しねーのか?」
善場:「否定はしますよ。でも、どんなにこっちが否定したところで、向こうは更に否定しますから」
愛原:「やっぱり高野君は捕まえるんですか?」
善場:「脱獄囚を捕まえるのは警察の仕事です。もちろん立場上、警察に協力はしますが、本来は管轄外ですので」
愛原:「そこは我々探偵や、警備員と同じか」
我々探偵や警備員とて、現行犯人は逮捕できても、指名手配犯は逮捕できない。
例え、『おい、小池!』の小池容疑者を見つけたとしても、『オマエ、小池だな!?逮捕する!』なんてことはできないのである。
できるのは、『この顔見たら110番』と書いてある通り、警察に通報するだけなのである。
もちろん、通報している間に逃走する恐れは十分にあるが、さりとて捕まえてみたところで、そっくりさんなだけだったら誤認逮捕となり、通報者の方がタイーホされるシステムである(そっくりさんを指名手配犯と誤認し、通報した場合は逮捕されない。当たり前だ)。
その為、探偵小説やドラマなどで、殺人犯を推理であぶり出す場合、都合良くそこに警察官がいなくてはダメなのである。
一部小説家は面倒臭いのか、もう警察官を主人公にしちゃったりしている(ので、できたジャンルが刑事ドラマか)。
愛原:「てことは主任、あれですよ?私が高野君を捕まえなかったからといって、何らかの罪になっても知りませんよ?」
善場:「ええ。警察には、『愛原所長から私へ通報があった。なので、けして犯人隠避とは見做されない』ということにしておきます。バイオハザード事件の場合、所長は警察よりも私に通報してくれますからね」
表向きにはNPO法人だが、その実、裏では政府機関のエージェントである善場主任らに捜査権があるのだろう。
今現在、私の所に警察は来ていない。
愛原:「それは助かります」
善場:「ですので、高野を乗せたヘリがどこへ飛んで行ったかを教えてください」
私はノートPCを開けて、電源を入れた。
そしてこのホテルのWi-Fiに接続し、グーグルマップを出す。
愛原:「えーと……ここが那須赤十字病院ですね。ここのヘリポートに私達を降ろした後、こっちの方角へ飛んで行きました」
説明して改めて気づいたのだが、そこは日光市の方角だった。
やはりブルーアンブレラは、あのタイラントが向かおうとした所を捜索するつもりなのだろう。
善場:「愚かですね。そのタイラントが実際どこへ行くつもりだったのかも把握しきれていないくせに。でしたらまだ、タイラントが潜んでいた所を探すのがベストです。誰がどうしてそこに、タイラントを潜ませておいたのかの証拠が見つかるかもしれませんからね」
どちらが正しい捜索なのだろう?
もちろん、怪しい所全てを捜索するに越した事は無いが。
多分、高野君達はタイラントとネメシスが鉢合わせになった場所を探しているんじゃないだろうか?
よくよく考えてみれば、日光市郊外山中に都合良くネメシスが潜んでいたのも気になるところだ。
愛原:「ところで、本当に大丈夫でしょうね?」
善場:「何がですか?」
愛原:「タイラントとネメシスですよ。奴ら、瀕死の重傷になっても尚、ターゲットを追跡しようとするらしいじゃないですか。この場合、リサがターゲットでしょうか」
善場:「BSAAより掃討完了報告がありました。体をバラバラにした上、死体は全て焼却したとのことです。そこまでして復活したという報告は、かつて例がありません」
愛原:「そうですか……」
私はホッとした。
善場:「取りあえず、今夜はこのホテルに一泊してください。帰りはどのタイミングでもいいですから」
愛原:「善場主任は一緒に帰京しないのですか?」
善場:「私はBSAAの捜索状況を確認します。それと、ブルーアンブレラの動きも気になりますからね」
私と高橋は主任を見送りがてら、ホテル近所のコンビニに行こうと思った。
リサ達も誘おうかと思う。
善場主任と部下の人だけ別のフロアに宿泊している(もちろん、部屋は別々)。
先に善場主任はエレベーターに乗って行ってしまった。
私は同じフロアのリサ達の部屋に行き、ドアをノックした。
愛原:「ん!?」
すると私は部屋の中から変な音が聞こえたような気がして、ドアに耳を当てた。
高橋:「どうしました、先生!?」
愛原:「何か、泣き声が聞こえるぞ!」
高橋:「ええっ!?」
私はさっきよりもっと強くドアをノックした。
愛原:「おい、どうした!?何があった!?」
しばらくして、目に涙を浮かべたリサが出て来た。
今のリサの泣き声だったのか?
しかし、部屋に入ってみると、絵恋さんもまたダブルベッドの上でグスッグスッと泣いていた。
愛原:「な、何だ何だ?何があった?」
高橋:「お?何だァ?女同士のケンカかぁ?おい」
リサ:「違う……グスッ」
果たして、リサ達の身に何があったのだろうか?
次回へ続く!