報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「旅行中の事件」

2021-06-10 21:53:57 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月3日12:00.天候:晴 栃木県那須郡那須町 那須ロープウェイ山頂駅付近]

 リサの『BOW咆哮』により、周辺の動物達が恐慌に陥ってしまう中、ズシンズシンと大きな地響きを立ててやってくる者がいた。

 タイラント:「オ呼ビデスカ、オ嬢様?」

 タイラントだった!
 リサ・トレヴァー同様、90年代の“バイオハザードシリーズ”のラスボスと言えば、これ!

 タイラント:「オ嬢様ノ『魂ニ響ク咆哮』ヲ聞キ及ビ、研究所ヨリ馳セ参ジタ次第デアリマス」

 タイラントは巨体を折ると、片膝をついてリサの前に畏まった。

 タイラント:「ドウゾ、何ナリト御命令ヲ」
 リサ:「え、えっとォ……」

 リサは助けを求めるかのように私を見た。
 私は咄嗟にリサに耳打ち。
 リサは私に耳打ちされたことをタイラントに話し掛けた。

 リサ:「この近くに研究所があるの?」
 タイラント:「ハハッ、ゴザイマス」

 私は一瞬、善場主任に報告の後、タイラントにその研究所を案内させようかと思ったが、絵恋さんがいることがネックであったと気付いた。

 愛原:「高橋、オマエは絵恋さんを連れて駅まで逃げろ。可能なら、そのままゴンドラに乗って山麓駅まで避難するんだ」
 高橋:「ええっ!?先生は!?」
 愛原:「俺はリサと一緒に、タイラントに研究所を案内させる。もしかしたら、そこに白井がいるかもしれない!」
 高橋:「わ、分かりました。先生の御命令とあらば……」

 だが、リサは……。

 リサ:「あなたがいた研究所に案内して欲しいの」
 タイラント:「ハハッ、オ安イ御用デス」
 リサ:「他の皆もいい?」

 というやり取りをしてしまった。
 するとタイラント、私達を眼光鋭く見据える。

 高橋:「や、やんのか、コラ?」
 タイラント:「他ノ者ハ私ガ善人カ悪人カヲ判断シマス。ソレ次第デス」
 愛原:「な、なに?」

 するとタイラント、ズイッと私の前にやってきた。

 愛原:「や、やあ。わ、私の名前は愛原学。都内で小さな探偵事務所を経営している。こう見えても、私はリサの保護者だ。えー、分かるかね?」

 するとタイラント、大きく頷いた。

 タイラント:「ウム。オ前ハ善人ダナ」

 そして、今度は高橋と絵恋さんを見る。

 高橋:「お、俺は先生に長年お仕えしてる、信任厚い唯一無二の直弟子だぞ?!分かってるよな!?」
 絵恋:「わ、私だってリサさんの『恋人』よ!?悪人に見えるわけないじゃない!」

 だがタイラント、両目をギラリと光らせ、リサよりも長く鋭く尖った爪を振り上げた。
 何しろ、身長が2メートル近くある大男である。
 その威圧感は半端ない。
 これでも量産型として、随分小型化に成功した方なのだという。
 試作型は身の丈3メートルほどもあったというから驚きだ。

 タイラント:「悪人共メ!!」
 愛原:「わーっ!リサ、やめさせろ!」
 リサ:「タイラント君、やめなさい!」
 タイラント:「ハハッ、仰セノママニ」
 リサ:「こ、これで分かったでしょ?私と愛原先生を研究所に案内しなさい」
 タイラント:「カシコマリマシタ、御嬢様。ドウゾ、コチラヘ……」

 私達はタイラントに抱え上げられた。
 こちらから連れて行くように頼んだのだが、まるで拉致だ。

 愛原:「高橋!善場主任に連絡しろ!BSAAを呼んでもらうんだ!」
 高橋:「了解です!!」

 タイラントめ、一体どこから来たんだ?

[同日13:00.天候:晴 栃木県日光市某山中]

 タイラントのヤツ、道なき道を駆け進んでいる。
 何てヤツだ。
 ネメシスといい、こういう『追跡者』に1度でも狙われたら、倒す以外に道は無いとはよく言ったものだ。
 リサなんか御嬢様のはずなのに、タイラントの抱え方は、まるで奴隷候補の若い娘を拉致する山賊のようである。

 愛原:「ん!?」

 すると森の上空からヘリコプターの音が聞こえて来た。
 ようやくBSAAのお出ましか!?
 しかし、研究所にはまだ着かないようだが……。
 てかこのタイラント、本当に研究所から馳せ参じて来たのか?

 タイラント:「ムッ!?」

 すると、タイラントが突然止まった。
 その先にいたのは……。

 ネメシス:「オオ……!」
 愛原:「ネメシスだ!」

 これまた90年代の“バイオハザードシリーズ”を代表するラスボスの1つが現れた!
 ネメシスはリサを一目見ただけで……。

 ネメシス:「ウォォォッ!オレ好ミノ美少女!ソイツヲ寄越セ!」
 タイラント:「相変ワラズ、女ニ飢エタ野獣メ。今度コソ、バラバラニシテクレル」
 リサ:「その前に降ろしてぇ……」
 ネメシス:「オレノ嫁!オレノ嫁!!」
 リサ:「誰がオマエの嫁だ!?」

 タイラントに降ろしてもらったリサは第1形態に戻っており、タイラントほどではないが、両手の爪を長く鋭く伸ばしていた。
 私は急いで善場主任に連絡しようと思ったが、スマホが圏外である。
 一体、ここはどこなんだ!?
 グーグルマップは辛うじて、日光市と……ん!?日光市!?

 ネメシス:「オマエ、オレト結婚スル!子供産ム!」
 リサ:「誰がテメェと結婚するかぁーっ!!」

 リサ、ガチギレしてネメシスに飛び掛かる。
 が、それをタイラントに抑えられた。

 タイラント:「オ待チクダサイ、御嬢様。ココハ私ガ、コヤツヲバラバラニシテ御覧ニ入レマス!」
 ネメシス:「邪魔スルト、オマエモ殺ス!」
 タイラント:「野獣ノ分際デ、オコガマシイニモ程ガアル。御嬢様ハ崇高ナル、リサ・トレヴァー。ソノ高潔ナル純血ハ、誰ニモ手出シデキヌ!」
 リサ:「いや、私、愛原先生にあげようと思ってるんだけどね?その純血」
 タイラント&ネメシス:「エエッ!?」
 リサ:「ところで先生、純血ってなに?」
 愛原:「処女のことだよ!」
 リサ:「処女……?」

 リサは首を傾げた。
 研究所では『実験』と称して、被験者たる少女達に性的虐待をしていたことも明らかになっている。
 そこのリサも例外ではないはずだ。
 ということは、処女もどこぞの研究員辺りに喪失させられた恐れがある。

 タイラント&ネメシス:「マズハ、オマエヲ殺ス!!」
 愛原:「わーっ!何でそうなるんだ!?」

 と、その時だった。

 愛原:「な、何だァ!?」

 上空から機銃掃射の音がした。
 見ると、先ほどのヘリが上空にやってきて、2つの巨体BOW達に機銃掃射を浴びせている。
 そのヘリには、BSAA-FEと書かれていた。
 BSAA極東支部という意味である。

 愛原:「おおっ!BSAAが助けに来てくれた!」

 更にもう1機が、今度はグレネードランチャーで攻撃してくる。
 さすがにもっと離れないと、私達まで巻き込まれてしまう。
 だが、そこへ更にもう1機のヘリがやってきて、私達の近くに縄梯子を下ろした。

 愛原:「あれだ!リサ、あれに掴まるぞ!」
 リサ:「うん!」

 私が先に掴まり、後でリサも掴まる。
 そして、ヘリの搭乗員が縄梯子を引き上げてくれた。
 が!

 リサ:「うっ?!」

 私の下にいるリサが何者かに足を掴まれた。
 見ると、それは血だらけになったネメシスだった。

 ネメシス:「俺ノ嫁……!」
 リサ:「さっさと離れろ。クソ野郎」

 リサは鋭い爪で、ネメシスの触手を斬り落とした。
 地上に落ちて行ったネメシスは、再びBSAAの集中砲火を浴びることとなった。

 ???:「お久しぶりですわ?愛原先生……と、リサちゃん」

 懐かしい声が聞こえて来た。
 それは……。
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