報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“戦う社長の物語” 「富嶽天生を仰ぎ見て」

2018-03-25 21:14:16 | アンドロイドマスターシリーズ
[1月14日10:00.天候:晴 静岡県富士宮市ひばりが丘 富嶽温泉“華の湯”]

 アリス:「タカオ、お会計よろしく」
 敷島:「分かってるっつーの」
 シンディ:「あの、私が支払いして来ますよ?」
 敷島:「いや、いいんだ」

 敷島、そう言って券売機で入場券を買って来る。

 敷島:「それより、こんな所に黒いロボットが出なけりゃいいんだがな」
 アリス:「シンディも一緒に入ってもらうわ。護衛よろしく」
 シンディ:「かしこまりました。お任せください。ただ、社長が心配です」
 敷島:「黒いロボットはテロロボットじゃなく、エロロボットだろ?男湯には出ないさ。それより、シンディを温泉に入れて大丈夫なのか?」
 アリス:「海水への耐性実験は合格だった。ここの温泉の成分は?」
 敷島:「ここに書いてある。……アルカリ性単純温泉とあるが?」
 アリス:「フム……。Phは8.2……」

 アリスは成分表とシンディの設計データ、そしてそれまでの実験データを照らし合わせた。

 アリス:「ここの温泉の成分なら心配無さそうね」
 敷島:「本当か?」
 アリス:「モノは試しで実験よ」
 敷島:「いいのかよ!」

 取りあえず3人は入場券などを受付に提出した。

 アリス:「また、浴衣着れるわ!」
 敷島:「良かったな。俺は作務衣でいい」
 シンディ:「私も着て良いのでしょうか?」
 敷島:「いいんだよ。じゃ、俺は男湯だから」
 アリス:「Bye.(。・ω・)ノ゙」
 シンディ:「お気をつけて」

 この後、ストーリーが別れるのだが、どちらの話が良い?

 1:敷島の話
 2:アリスとシンディの話

 このスケベ共め。
 だが、いいだろう。
 ここからカメラは、アリスとシンディの撮影に入る。

 シンディ:「博士、ロッカー開ける時、気をつけてくださいね」
 アリス:「何かあるの?……ああ、そうか。こういう所にも黒いロボットが潜んでいるということね」
 シンディ:「それもあるんですけど、吸い込まれて異世界に飛ばされる恐れがあるので」
 アリス:「それ、別の世界の話でしょ?その辺のデータは消去しておいた方がいいね」
 シンディ:「か、かしこまりました」

 アリスとシンディは互いに隣り合う木製ロッカーのドアを開けた。
 ……何も無かった。

 アリス:「ここでいきなり何かあったら、それこそベタ過ぎるわよ」
 シンディ:「それもそうですね」

 2人は一糸纏わぬ姿になると、早速大浴場へと入った。

 アリス:「Hum...黒いロボットの気配は無いようね?」
 シンディ:「そのようです。申し訳ありません。奴らの存在を察知できなくて……」
 アリス:「そういうステルス機能を搭載させたんだから、こっちもうかうかしてられないわね」

 KR団時代からそうなっていたのか、或いはその設計データを手に入れたDCIが改めて搭載させたのかは不明である。
 が、アリスとしては後者だと睨んでいる。
 もし前者であるならば、もっと早く黒いロボットが登場していたはずである。

 シンディ:「博士。日本では最初に体を洗ってから浴槽に入るのが習わしです」
 アリス:「おっと、そうだったね」

 習わしというか、エチケットというか、ルールというか、マナーというか……。

 シンディ:「お背中、流しましょう」
 アリス:「えっ?いや、いいよ」
 シンディ:「……引っ越しの時、『シンディにきれいにしてもらうのが好き』と仰ってましたよね?」
 アリス:「う……そう来たか。分かったよ。じゃ、よろしく」
 シンディ:「はい!」

 シンディは喜び勇んで、アリスの背中の後ろに立った。

 アリス:「そういやさ……」

 シンディがタオルでアリスの背中をゴシゴシ洗う。

 アリス:「タカオが『単身赴任』していた時、タカオの面倒見てた時があったでしょ?」

 今のマンションに引っ越す前のことである。
 敷島は会社の近くにマンスリーマンションを借り、平日はそこで過ごしていた。
 本当はマルチタイプはボーカロイドと同様、会社に置いといて、1人暮らしを満喫するつもりだったが、アリスが敷島の浮気防止の為にそれを許さず、マンション内でも監視を続けるように命令していた。

 シンディ:「はい」
 アリス:「何というかその……任務遂行、ありがとう」
 シンディ:「お役に立てて何よりです!」
 アリス:「タカオには背中以外にも洗ってあげたようね?」
 シンディ:「はい。何でも、『洗体エステ』なるものがありまして、それを再現して欲しいという御希望でしたので……」

 そういう店のPR動画がアップされているで、YouTubeで簡単に閲覧できる。
 シンディにはソープランドのサービスはセクサロイド機能のデータの中に入っていたのだが、洗体エステは入っていなかった為、急いでネット上からそれをダウンロードしたという経緯がある。

 アリス:「あいつも色々考えるね」
 シンディ:「もちろんそれとは別に、私のセクサロイド機能の御所望はありましたけど……」
 アリス:「任務遂行してくれたね。ご苦労さま」
 シンディ:「はい!」

 ヌいてしまえば、浮気心など起きないという考えである。
 シンディは自ら『愛人役』をすることにより、敷島が人間の愛人を作ることを阻止した。

 シンディ:「今度はシャンプーを致しましょうか?」
 アリス:「え?うーん……じゃあ、お願い」
 シンディ:「かしこまりました!」

 他の客から見れば、まるで背中流しやシャンプーのサービスがあるのかと思うほどであったことだろう。

 その頃、男湯では……。

 敷島:「まあ、たまにはこうやってのんびりするのもいいか。どうせ今日は日曜だし……」

 敷島は露天風呂のエリアにある陶器風呂に入っていた。
 これは1人用の丸い陶器製の風呂釜である。
 大きな鉢の中にお湯を溜めて入っているという感覚か。

 敷島:「ううーん……」

 敷島がまったりしていると、隣の誰も入っていない陶器風呂の底からゴホゴボと泡が立ってきた。

 敷島:「ん?」

 敷島が首を傾げていると、その泡が大きくなり、そして湯船の底からザバーッと出てくる者がいた。
 それは誰だったと思う?

 1:黒いロボット
 2:横田理事(ケンショーグリーン)
 3:想像もつかない
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