報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“魔女エレーナの日常” あとがき

2018-03-23 19:28:51 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
 当作品のコミックリリーフ兼トリックスター役のエレーナを主人公とした話、つまりスピンオフ作品を書いてみたのだが、どうも視点が途中から鈴木になってしまったような気がする。
 私の技量が如何に冴えないかが分かる内容になってしまった。
 本編の主人公である稲生勇太やヒロイン(?)のマリアンナ・ベルフェゴール・スカーレットが長野県北部の屋敷にいる間、エレーナは何をしているのかということを書いてみたかったのが本作品である。
 日常とはいうが、鈴木が出てきた時点で既に非日常となってしまったな。

 本当はもう少し突っ込んだ話を書いてみようかと思ったのだが、本編を差し置いて長くなりそうだったので今回は差し控えた。
 例えば……。

 ・エレーナがワンスターホテルで働くようになった経緯。
 ・そもそもワンスターホテルのオーナーが、ダンテ一門の“協力者”となった理由。
 ・ウクライナのキエフ州出身だとされるエレーナが来日した経緯。
 ・そもそも年齢はいくつ?(稲生は「僕達より年上」と思っているが、エレーナは「稲生とマリアンナより年下」と言っている)
 ・魔女として堂々とホウキで空飛んでいるにも関わらず、周囲が大騒ぎしないのは何故か?
 ・“魔の者”とアメリカで戦った経緯について(背中にマシンガン食らって、瀕死の重傷を負ったことがあるらしい)。
 ・魔道師の世界において処女は『魔女』とは呼ばれないのに、何故そう呼ばれるのか?(エレーナが嘘をついている。或いは……)
 ・師匠のポーリンや後輩のリリアンヌが魔界にいるのに、未だに人間界に居続ける理由。
 ・イリーナ組と敵対していた頃より、顔付きや顔立ちが変わった理由(整形したというわけではない)。

 などなど……。
 いずれは鈴木が暴いてくれることだろう。
 尚、この鈴木のことなのだが、ポテンヒットさん原作“ガンバレ!特盛くん”からのゲストキャラである。
 原作では……。

 ・下の名前は不明。
 ・顕正会男子部組長(隊番号不明)。
 ・実家は資産家で、ベンツを持っている。
  ・ケンショーレンジャー5名を一気に輸送したことから、ミニバンタイプのVクラスと思われる。
  ・松本への手切れ金として50万円を現金で特盛に渡している。
 ・当初は顕正会の信仰を真面目に行っていた。
 ・組員の特盛君や女子部員の沢尻エリちゃんの仲を取り持つ役を行った。
 ・支隊長の松本の所業を見て行くうちに、顕正会に対する疑問が出て来た。
  ・ついに逮捕された支隊長を除名処分に追い込んだ。
   ・当作品では出所後に絶望して自殺したことになっている。

 こんな感じだったと思う。
 当作品では更にアレンジして……。

 ・下の名前を弘明とする(名前のモデルは作者の卒業した短大のOBから)。
 ・ゲームオタクで、自分でゲームを作るほど。
 ・職業についてはまだ決めていないが、ニート設定にする可能性大。
 ・顕正会時代の害毒のせいか、はたまた正証寺では功徳が薄いのか、卑屈な性格でトラブルを引き起こすことが多々ある。
 ・ちまちま信心活動しても無意味であることを知ってしまった為、それを一気に解決できる魔法にその可能性を見出してしまう。
 ・自分を追い込んだ顕正会に強い恨みを抱いており、五座三座の勤行も顕正会員への殺意を込めて行っている。
  ・当然ながら、自殺した松本支隊長に対する追善供養など絶対無いと思っている。
 ・教化親たる藤谷春人から稀に鉄拳制裁を受けるほど、大きなトラブルを引き起こすこともある(尚、現実では私は教化子に鉄拳指導している所は見たことが無い)。
 ・同じく顕正会で害毒を積んだはずの稲生が、今やマリアンナという美少女(本当は稲生よりも年上なのだが、10代後半で年齢がほぼ止まっているのでそう見える)が彼女となっていることに妬みを抱いている(そういう関係になれるまでに、稲生も結構苦労したのだが)。
 ・霊感も無ければ魔道師になれる素質も無い。

 こんな設定となった。
 原作からの『実家は資産家』で『ベンツVクラス』を乗り回しているという設定は引き継がせて頂く。

 今後への伏線を残しつつ、試験的なスピンオフはここで一旦終了とさせて頂くが、本編ではどんどん明らかにして行きたいと思うので、何卒お付き合い願えればと思います。
 尚、展開によっては当時の“あっつぁの顕正会体験記”の『名無しのリスナー』達が怒鳴り込んでくるようなものになるかと。
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“魔女エレーナの日常” 「鈴木と魔女たち」

2018-03-23 10:20:44 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[3月17日06:00.天候:晴 東京都江東区森下 ワンスターホテル501号室]

 鈴木のベッドの枕元に置かれたスマホから、目覚ましアラームが流れる。
 “東方Project”作品の1つ、“東方永夜抄”より八意永琳のテーマ“千年幻想郷”である。

 鈴木:「う……」

 鈴木はピッとアラームを止めた。

 鈴木:「うーむ……」

 枕が変わると抵抗無く起きられるものと聞いてはいたが、それにしても正証寺の支部登山で泊まり掛けで行った時よりも清々しい目覚めだった。

 鈴木:(昨日の食事のおかげか……?まあいい。早いとこ着替えて、朝の勤行を……)

[同日07:00.天候:晴 同ホテル1階ロビー→レストラン“マジックスター”]

 魔女:「……つまりヨーロッパじゃ足が付くから、日本でやってみようと思うわけよ」
 エレーナ:「既にマリアンナ達が似たようなことやってるけどな」
 魔女:「だってあいつら、自分達の家にしちゃってるでしょ?せっかくエレーナがこうやってホテルで働いてることだし、そのノウハウを生かさない手は無いと思うな」
 エレーナ:「面白い試みだと思うが……」

 その時、エレベーターが1階に下りて来る。

 エレーナ:「おっと!お客が来たから、また後で」
 魔女:「それじゃあ……」

 スーッとドアが開く。

 エレーナ:「おはようさん。よく眠れたでしょ?」
 鈴木:「ああ……。って!」

 鈴木はエントランスの外に魔女の姿を見た。

 鈴木:「あれはっ!」
 エレーナ:「!?」

 鈴木はホテルの外に飛び出した。
 が、既に魔女の姿は無くなっていた。

 エレーナ:「どうかしたの?」
 鈴木:「今、アンタの仲間がいたぞ!?」
 エレーナ:「気のせいでしょ?私はずっと1人だったよ?」
 鈴木:「ウソを付くな!現に俺はこの目で……!」
 エレーナ:「寝ぼけたんでしょ?あのハーブ料理、よく眠れたのはいいけど、目覚めは良くなかったみたいだね。後でキャシーに言っとく」
 鈴木:「客で実験すんな!」
 エレーナ:「それより、朝食でしょ?レストランでバイキングだから、ゆっくり食べてって。もっとも、朝食は普通の食材だけどね」
 鈴木:「ちっ……」

 鈴木が渋々とレストランに向かって行く。

 エレーナ:「ちょっとフィオナ!消えるタイミング遅い!あやうくバレる所だったじゃない!」

 エレーナは水晶球に向かって怒鳴り付けた。

 鈴木:「やっぱり仲間がいたのか」

 柱の陰からぬっと鈴木が現れた。

 エレーナ:「って、うおっ!?」
 鈴木:「この程度の駆け引きで簡単に尻尾を出すとな。マーズ・ランキング……じゃなかった。ウィッチ・ランキング低いんじゃないのか」

 鈴木はそう吐き捨ててレストランに向かった。

 エレーナ:(ムカつく客だな……!ってか、勝手にランキング作るなーっ!)

 レストランに行くと、確かにディナータイムとは打って変わって、比較的普通な感じだった。
 カラスはおらず、普通に人間のパート従業員がいるだけだった。

 従業員:「宿泊客の方ですね。朝食券をお預かりします」
 鈴木:「あ、はい。……あの、キャサリン……さんはいますか?」
 従業員:「店長はモーニングタイムの時はおりません」
 鈴木:「そうですか……」

 食べ物に関しては普通であったが、やはりここは魔女が経営するレストランなだけある所があった。

 鈴木:「ハーブティーがパねぇ……」

 聞いたこともないような名前のハーブティーが並んでいた。

 鈴木:「『ブルーハーブを2つ調合することで、体中の毒素を全て排出させるブルーティー』って、本当に青いし!」

 他には、『グリーンハーブにキノコを調合して……』といったお茶もあった。

 鈴木:「何のキノコだか聞かない方が良さそうだな……」

 もちろん飲み物には他にコーヒーとかジュースなどもあるわけだが、あえて鈴木はハーブティーに手を付けることにした。

 その様子をホテルの防犯カメラで見ていたエレーナ。

 エレーナ:「ねぇ、キャシー。あいつの記憶を抹消する魔法とか無い?」
 キャサリン:「あるけど、ハイマスター(High Master 弟子を取ってもOKなベテラン)くらいにならないと修得できないよ」
 エレーナ:「キャシーもハイマスター……」
 キャサリン:「眠いから寝ておくねー」

 キャサリンは奥の従業員休憩室に向かって行った。

 エレーナ:「くそ……!」
 宿泊客:「あのー、チェックアウト……」
 エレーナ:「あ、はい!ご利用ありがとうございます!」

[同日10:00.天候:晴 同ホテル1階ロビー]

 エレーナ:「どうだった?うちのホテルは」
 鈴木:「宿泊に関しては、割かし普通のビジネスホテルだ。取り立てて、褒める所も貶す所も無い。だが、それ以外の……特に料飲部門が……」

 鈴木は“マジックスター”の方へ視線を送った。

 エレーナ:「とある見習い魔女はパン屋で住み込みの修行をやっていたけど、本当はこういうホテルの方がいいのよ。バックパッカーなんかも多いから、世界中の情報が集まるしね。ネットだけでは分からない、コアな情報だよ」
 鈴木:「そりゃだって、キキは世界の情報を必要としてなかっただろ」

 鈴木はルームキーをエレーナに返した。

 エレーナ:「はい、それじゃ領収書」
 鈴木:「チェックアウトの時に領収書を出す所なんかは普通のホテルだな」

 だが、その領収書を見た時、鈴木がニヤッと笑う所があった。
 A4サイズの領収書の右下には、五芒星の中を右下から左上へと上昇するホウキに跨った魔女のシルエットが描かれていたからだ。

 鈴木:「細かい所が普通じゃねぇ……」
 エレーナ:「どうも」

 こうして鈴木はホテルをチェックアウトしていった。

 オーナー:「ご苦労さん。朝だけでも手伝ってくれて助かるよ」
 エレーナ:「いいえ、どうも」
 オーナー:「今度はチェックインの業務から入ってもらうから、一旦上がっていいよ」
 エレーナ:「分かりました。それじゃ、失礼します」

 エレーナはエレベーターを地下1階まで行けるようにスイッチを操作すると、それで自分の部屋がある地下1階へと下りた。

 エレーナ:「ん?水晶球が……」

 水晶球が鈍く点滅した。

 クロ:「誰かからの通信ニャ?」
 エレーナ:「そうだね」

 自分の部屋に入ると、エレーナは水晶球を机の上に置いた。

 リリアンヌ:「え、エレーナ先輩……。お、おは、おはようございます……」
 エレーナ:「リリィか。どうしたの?」

 エレーナの後輩で、普段は魔界で修行をしているリリアンヌからだった。
 人間時代は幼児虐待を受けたこともあって、やや言語障害が出てしまっている。

 リリアンヌ:「フヒヒ……。こ、ここ、こっちで得た情報なんですけど……」
 エレーナ:「なに?」

 その情報とは鈴木に関することだった。

 エレーナ:「ははは、運命って残酷なものだねぇ……!」

 エレーナは哀れむような笑いを浮かべると、後輩との通信を切った。
 そして、さっさと仮眠の準備を始めたのだった。
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