報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“戦う社長の物語” 「一夜明けて……」

2018-03-24 19:56:51 | アンドロイドマスターシリーズ
[1月14日07:00.天候:晴 静岡県富士宮市ひばりが丘 スーパーホテル富士宮]

 シンディ:「はいはーい、朝ですよ!起きてくださーい!」

 7時ピッタリに再起動したシンディ。
 今度はオーナーのアリス、ユーザーの敷島を起こす。

 

 シンディはザッと縦引きカーテンを開けて、室内を明るくした。

 敷島:「ん……んん……。なに?もう朝か……」
 シンディ:「はい、おはようございます!」

 ロフトベッドに寝ていた敷島は素直に起き上がった。
 で、その下のダブルベッドに寝ていたアリスは……。

 アリス:「うーん……あと5分……」

 ダブルベッドいっぱいに、物凄い寝相で寝ていた。
 どんな寝相なのかは、【お察しください】。
 アメリカ人らしく、「夫婦なのだからダブルベッドに一緒に寝て当然」という考えのアリスだが、敷島は、「シングルベッドに別々でいい」という考えであった。
 その理由は、この寝相である。

 敷島:「その言葉をあと1時間以上繰り返す気だ、コイツ。某ロシア人魔女みたいなこと言うな」
 シンディ:「博士、起きてください」
 アリス:「うーん……」

 しかしアリスは布団を頭から被ってしまった。

 シンディ:「社長」
 敷島:「取りあえず俺は顔洗ってくるから、それまでに起こしとけ」
 シンディ:「はあ……」
 敷島:「何だったら、電気流していいぞ」
 シンディ:「できません!仮にもオーナーであり、マスターの博士に電流を流すことなど……!」
 敷島:「オマエ、アリスの命令で俺には平気で電気流してんだろがw」

 オーナー>>>>>>(超えられない壁)>>>>>>ユーザーという図式を改めて理解した敷島だった。

 敷島:「全く……」

 敷島が室内のユニットバスの洗面台で顔を洗い、歯を磨いているとアリスが入って来た。

 敷島:「おう、やっと起きたか。ねぼすけアメリカ人」
 アリス:「むー……!おはよう、タカオ……」

 アリスの浴衣は完全に着崩れしており、ほぼ何も着ていないも同然であった。
 93cmもある巨乳が完全に露出している。

 アリス:「……よいしょ」

 アリスは寝ぼけているのと二日酔いで頭がボーッとしているらしく、唯一ちゃんと身に着けているショーツを下ろすと便座に腰掛けた。

 敷島:「おい!今、俺が使ってんだから、後にしろ!」
 アリス:「我慢できない……」
 敷島:「今、カメラに映ってんだぞ!こら!」
 アリス:「分かったわよ……」

 今度はバスタブに移動する。
 完全に全裸になって。

 アリス:「シャワー浴びながらオシッコする……」
 敷島:「こらぁっ!!」

 1度出てやれよ、敷島www

[同日08:00.天候:晴 同ホテル1F朝食会場]

 スタッフ:「おはようございます」
 敷島:「おはようっス」
 アリス:「Good morning.」

 再び部屋をシンディに留守番させ、敷島達は朝食会場に行った。
 御多聞に漏れず、このホテルでも朝食はバイキングだ。
 朝の身支度をしたら気分が良くなったのか、アリスは……。

 アリス:「♪〜」

 皿にヒョイヒョイと料理を乗っけて行く。

 アリス:「タカオ、このNoodleは何?」
 敷島:「富士宮やきそば。この町の名物だよ。B級グルメ」
 アリス:「パルメザンチーズは無いの?」
 敷島:「パスタじゃないのよ」

 敷島は呆れた顔をした。
 敷島は吸い物として味噌汁を希望したのだが、それもセルフサービスで、しかも……。

 敷島:「…………」(←具を小さなトングで掴んで、お椀の中に入れている)

 味噌汁サーバーの所にお椀を置いてボタンを押すと、味噌湯がダバダバと出て来た。

 敷島:「……吉野家や松屋の味噌汁みたいだな」

 恐らく誰しもが、そう思うであろう。

 アリス:「タカオ」
 敷島:「ん?」
 アリス:「野菜も食べなきゃダメよ?」
 敷島:「その野菜より肉の量が多いオマエに言われたくねーよ」

 敷島とアリスはカウンター席に横並びになった。
 敷島は持って来たスマホでワンセグを点けた。

〔「……次のニュースです。昨夜、宮城県仙台市の山間で、黒いロボットがスキー場を荒らしているという通報があり、警察が出動する騒ぎがありました」〕

 アリス:「Huh!?」
 敷島:「何だって!?」

 画面は上空を飛ぶテレビ局のヘリコプターからの映像に切り替わる。

〔「……御覧頂けますでしょうか!?マルチタイプ1号機のエミリーが、見事に黒いロボット達を制圧して行きます!」〕

 敷島:「……やるなぁ、エミリー。修理完了早々」
 アリス:「アンタの持ち物でしょ?ちゃんと管理しなさいよ」
 敷島:「お前のシンディも同型の姉妹機だろうが」
 アリス:「ニュースを見て、他人事でいるタカオの方が変なの!」
 敷島:「別に他人事じゃねーよ。ただ……人間でも制圧の難しいテロロボットを意図も簡単に制圧している様を見てさ……」
 アリス:「今更ビビり始めたわけ?『不死身の敷島』が!?『テロリストも泣かせる男』が!?」
 敷島:「いやいや。そんなエミリーが、俺に『御主人様になってくれ!』って言うんだよ。ある意味で恐ろしいことだ」
 アリス:「そんなエミリーを平伏させてるんだから、そこは素直に凄いと思うよ」

 リポーター:「……エミリーさん、大活躍でしたね?」
 エミリー:「お役に立てて何よりです」
 リポーター:「勝利の喜びをどなたに伝えたいですか?」
 エミリー:「敷島エージェンシーの敷島孝夫社長です」

 敷島:「俺かよ!?」
 アリス:「いや、アンタでしょ。ちゃんと死ぬまでエミリーの面倒を見るのよ?アタシはシンディの面倒見るから」

 それから1時間くらいして、敷島達は部屋に戻ろうした。

 アリス:「Oh!No!」
 敷島:「何だ、どうした?」
 アリス:「ここの温泉入るの忘れてた!」
 敷島:「何だ、そんなことか。だから昨夜言っただろ。飲み過ぎんなって」
 アリス:「Goddamn...」orz
 敷島:「ここの風呂はもう諦めろ。チェックアウトまで時間が無い」

 敷島は哀れむような顔になった。

 アリス:「だって……」
 敷島:「どうせあれだろ?平賀博士、午前中は大学に行かなきゃいけないから、結局は東京には夕方に着くわけだ」
 アリス:「それで?」
 敷島:「俺達もそれに合わせればいい。つまり、このホテルの温泉は無理でも、近くの温泉だったら入れる時間的余地はあるわけだ」
 アリス:「ということは!?」
 敷島:「この近くに大きな温泉施設がある。そこで少し浸かってから帰ろうか」

 敷島のこの言葉に機嫌を直したアリスだった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする