報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“戦う社長の物語” 「東京へ到着」

2018-03-28 19:50:28 | アンドロイドマスターシリーズ
[1月14日16:16 天候:晴 JR東北新幹線“やまびこ”214号9号車内→JR東京駅]

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく終点、東京です。東海道新幹線、東海道本線、中央線、山手線、京浜東北線、横須賀線、総武快速線と京葉線はお乗り換えです。お忘れ物の無いよう、お支度ください。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 北からやってきた新幹線が超高層ビルの間を駆け抜ける。

 平賀:「定刻通りだったな」
 エミリー:「はい。GPSによれば、敷島社長方も定時です」
 平賀:「うん、素晴らしい」
 エミリー:「あの……まずは東京駅で落ち合うのは理解できますが、博士の宿泊先からして、ホテル内での打ち合わせは……」
 平賀:「シッ。だから、びっくりするだろうな。フフフッ( *´艸`)」

〔「長らくのご乗車お疲れさまでした。まもなく終点、東京、東京です。22番線に到着致します。お出口は、左側です。……」〕

 平賀:「それじゃ、降りる準備しようか」
 エミリー:「はい」

 エミリーは荷棚の上から平賀の荷物をヒョイと下ろした。
 多分、それとてそれなりに重い荷物なのだろうが、エミリーは涼しい顔をして、しかも一瞬片手で下ろす。

 エミリー:(すぐ近くにシンディの反応が……。そうか。やっぱり同時入線か)

 列車がホームに滑り込んだ。

〔「ご乗車ありがとうございました。東京、東京、終点です。車内にお忘れ物の無いよう、お降りください。22番線の電車は折り返し、16時28分発、“はやて”369号、新青森行きとなります。……」〕

 平賀とエミリーは列車を降りた。

 平賀:「JRが違うから、今やコンコースが別になっているんだ。一旦、外に出た方がいいわけだ」
 エミリー:「それで、八重洲南口で待ち合わせということされたのですか?」
 平賀:「まあ、そんなところだ」

 JR東海だと改札口を出ればすぐラチ外コンコースとなるが、JR東日本だと日本橋口を除いて、新幹線改札口を出てもそこにあるのは在来線コンコースである。
 国鉄分割民営化の時など、駅構内もJRを分けなければならなかったので相当な苦労があったことだろう。
 その為か、在来線コンコース経由で行くハメになる平賀達の方がワンテンポ遅かったようだ。

 敷島:「平賀先生!エミリー!」
 平賀:「敷島さん、よく御無事で」
 敷島:「いや〜、KR団秘密研究所は超楽勝でした」
 アリス:「ウソばっか」

 実はアリスよりも、敷島とシンディの方が苦戦していたらしい。

 敷島:「エミリー、ちゃんと直ったようだな。良かった良かった。平賀先生に感謝しろよ」
 エミリー:「はい。御心配お掛けしまして、申し訳ありませんでした」
 シンディ:「姉さんなら、そう簡単に壊れやしませんよ。あ、姉さんを助けたバージョン達には私から『御褒美』をあげといたからね」
 エミリー:「ああ、ありがとう」
 敷島:「それでは先生、ホテルへ移動しましょう。場所はどこですか?」
 平賀:「聞いて驚くなかれ」
 敷島:「!?」

[同日16:27.天候:晴 都営バス東15系統車内]

〔発車致します。お掴まりください〕

 敷島達を乗せた都営バスが東京駅八重洲口バス停を出発する。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂きまして、ありがとうございます。この都営バスは聖路加病院前、勝鬨橋南詰経由、深川車庫前行きでございます。次は通り三丁目、通り三丁目。……〕

 敷島:「まさか、駅からバスで行くような場所だったとは……」
 平賀:「連泊しますから、駅前の高級ホテルに泊まるつもりはありません。ゆったり温泉付きの所に泊まれればいいんです」
 アリス:「それとて贅沢だと思うけど……」
 敷島:「アリス!」
 平賀:「ま、そこは反論の余地は……いや、あるな!それとて、まだまだ料金は安い方だ」
 敷島:「うちの嫁がすいません」
 平賀:「とにかく、広いロビーがあるわけでも、シングルルームですから、広い部屋というわけでもないんですよ」
 敷島:「分かりました。それじゃ、後で夕食でも御一緒しながら情報交換と行きましょう」
 平賀:「吉塚広美博士の所から手に入れたものについては、DCJで調べますよ。自分じゃなくて、アリスが科学館に持って行って調べればよろしい」
 敷島:「あ、そうか」

 敷島は平賀のことばかり考えていたが、アリスとてDCJの社員なのだった。

 平賀:「自分は所詮外部役員ですから、DCJの本社ビルには出入りできても、常に研究施設に入り浸ることはできないんですよ」
 敷島:「へえ……。研究者なのにねぇ……。まあ、DCJさんの都合に私が口は出せませんが……」

[同日16:33.天候:晴 東京都中央区新川二丁目]

〔「新川二丁目です。ご乗車ありがとうございました」〕

 敷島がバス通勤していた頃に乗っていた東16系統は、月島の手前までずっと道なりに進んでいたが、東15系統は途中で右折する。
 その右折した先にあるバス停で、バスを降りた。
 バスは敷島達を降ろすと、すぐに交番の前を左折して行った。
 その先に、平賀の宿泊するホテルはある。
 因みにこのバスルート、ホテルの公式サイトにはアクセスルートとしては紹介されていない。
 その理由は不明だが、恐らくバスの本数が1時間に2〜3本程度しか無いからだろう。
 また、この新川二丁目バス停に止まるのは下り線のみで、上り線は別ルートを通るから紹介できないのかもしれない。

 平賀:「じゃあ自分、チェック・インして荷物だけ置いて来ますので」
 敷島:「分かりました」

 敷島達はロビーで待つことにした。

 敷島:「荷物だけって、その荷物が狙われたりしないかね?」
 エミリー:「平賀博士のことですから、大丈夫だとは思いますが……」
 シンディ:「私が荷物の見張りでもしてましょうか?」
 敷島:「シンディだと、平賀先生は嫌がるだろうなァ……」

 敷島は難しい顔をして、首を傾げた。

 そしてしばらくして、部屋から戻って来た平賀と共に近くの飲食店に向かうことにした。
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“戦う社長の物語” 「東京へ」

2018-03-28 10:28:41 | アンドロイドマスターシリーズ
[1月14日14:00.天候:晴 静岡県富士宮市ひばりが丘 富嶽温泉“華の湯”]

 敷島:「あー、食った食った。ごっそーさんと」

 2Fのレストランを後にする敷島達。

 シンディ:「何もそんな怖がらなくていいじゃない」
 Pepper:「…………」

 シンディの女王様ぶりには、Pepper君もフリーズしかかるほどだった。

 敷島:「どれ、昼も食ったし、そろそろ帰るとするか」
 アリス:「平賀教授が東京に来るの、夕方?」
 敷島:「そうだな。だから、そろそろ俺達も新幹線に乗る必要がある」
 アリス:「分かった。じゃ、着替えましょう。……ほら、シンディ、行くよ!」
 シンディ:「はいっ!」

 シンディ、Pepper君の機嫌を直す為なのか、両手を取って持ち上げたりしていた。
 Pepper君も相当重量はあるだろうが、簡単にヒョイと持ち上げられる辺りが……。

 それから30分ほど経って、3人は温泉施設をあとにした。

[同日15:00.天候:晴 静岡県富士市 JR新富士駅]

 タクシーには飛ばしてもらって、何とか次の“こだま”が来る時間に間に合わせることができた。

 シンディ:「カードでお願いします」
 運転手:「はい」

 助手席に座っていたシンディが敷島からカードを受け取ると、それで料金を払う。
 先に降りた敷島が駅構内に入って、キップの購入に当たった。

 アリス:「来た時よりも荷物が多いね」
 シンディ:「私がお持ちします」

 アリスの私物の他に、吉塚広美の研究室やその地下にあったKR団の秘密研究所からガメてきた研究データなどが入っている。
 それ以外にも、やはりDCIの影がチラついていた痕跡もあった。

 敷島:「早くしろ!電車が来るぞ!」

 改札口付近で敷島が急かす。

 アリス:「日本人はせわしないねぇ……」
 シンディ:「全くです。……ですが、確かに発車まで残り10分を切っております」
 アリス:「日本人なら騒ぐか」

 アリスとシンディは敷島から新幹線乗車券と特急券を受け取ると、それで改札口の中に入った。

 敷島:「今度の電車は名古屋始発だから空いてるだろう」

 ホームへ上がるエスカレーターに乗りながら敷島が言った。

 アリス:「いつものように、先頭車?」
 敷島:「いや、16号車は指定席だ。ここは1つ、最後尾にする」

〔新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。まもなく1番線に、15時9分発、“こだま”656号、東京行きが入線致します。安全柵の内側まで、お下がりください。この電車は、各駅に止まります。グリーン車は8号車から10号車。自由席は1号車から7号車と、13号車から15号車です〕

 ホームを歩いていると、自動放送が流れた。
 尚、相変わらず東海道新幹線の駅自動放送では、英語放送は無いようである。
 西の方からヘッドライトを照らした700系がやってくる。
 ホームのある副本線に入る為か、かなり減速しているようだ。
 それでも車上信号の関係で、ホームに入って来る速度は70キロ以下といったところか。
 グリーン車はガラガラで、普通車指定席が満席近く、自由席が列車の中間ほど乗客が多いという状況である。

〔新富士、新富士です。新富士、新富士です。ご乗車、ありがとうございました〕

 ドアが開くと、敷島達は1号車に乗り込んだ。
 空いている3人席に座る。
 そんなことしていると、隣の通過線を“のぞみ”が風圧を伴って通過していく。

〔「15時9分発、“こだま”656号、東京行きです。発車までしばらくお待ちください」〕

 敷島:「! そうだ。シンディ、平賀博士達はもう東京に向かっているのかな?」
 シンディ:「はい、既に。現在、那須塩原と宇都宮の間です」
 敷島:「もうそんな所まで来てるのか。もう一本早い電車にすれば良かったかなぁ……」
 シンディ:「そうですねぇ……」

 シンディは平賀とエミリーの位置から、列車を特定した。
 幸い日本の新幹線の定時運転率は世界に誇れるものの為、その位置情報と実際のダイヤグラムは信用して良いものとなっている。

 シンディ:「……あ」
 敷島:「何だ?」
 シンディ:「私達と姉さん達、東京駅到着は同時刻です」
 敷島:「何だって!?」

[同日15:09.天候:晴 JR東海道新幹線“こだま”656号1号車内]

〔「レピーター点灯です」〕

 東京駅と違い、電子電鈴たるベルがホームに鳴り響く。

〔1番線、“こだま”656号、東京行きが発車致します。ドアが閉まります。ご注意ください。お見送りのお客様は、安全柵の内側までお下がりください。次は、三島に止まります〕
〔「ITVよーし!乗降、終了!……1番線、ドアが閉まります。お下がりください」〕

 “こだま”656号は定刻通りに発車した。
 ポイントを渡って副本線から本線へと出る。

 敷島:「まさか、同時到着とはねぇ……」
 シンディ:「どうします?」
 敷島:「もちろん、そのまま落ち合うさ。エミリーを引き取らなきゃいけないし、あとはこちらの調査結果も提供してだな……。アリス、お前主任だろ?平賀外部執行役員に……」
 アリス:「クカー……
 敷島:「……って、寝てんのかよ!……そうだ。今のうちに、車内販売のお姉ちゃんを……」
 シンディ:「社長。“こだま”は車内販売が全廃されております」
 敷島:「くそっ、そうだった」
 シンディ:「それで、東京駅のどこで落ち合いますか?」
 敷島:「そうだな……。ま、それは新幹線乗り場だろうな。その後の打ち合わせ場所だが……。どうせ平賀先生、都内で一泊だろ?どこのホテルだか知らんが、そこでいいだろ」
 シンディ:「かしこまりました。姉さんに送信しておきます」

 シンディがエミリーに送信していると……。

 敷島:「あれ?」

 敷島はあることを思い出した。

 シンディ:「送信しました。平賀博士が『敷島さんらしい発想だ』とのことです」
 敷島:「ああ、そうか。それよりふと思ったんだが……」
 シンディ:「はい?」
 敷島:「お前達の通信、デイジーに傍受されてるなんてことは無いよな?」
 シンディ:「それは恐らく大丈夫かと」
 敷島:「そうか?」
 シンディ:「はい。デイジーはGPSを切って行方をくらましております。もし私達の通信を傍受すれば、その時点で私達はデイジーの居場所を突き止めることができます」
 敷島:「なるほど。そういうことか」

 敷島は大きく頷いた。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする