報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“戦う社長の物語” 「新幹線普通車のシートピッチは拡大されている」

2018-03-05 15:10:26 | アンドロイドマスターシリーズ
[1月13日06:38.天候:晴 JR大宮駅]

〔♪♪♪♪。14番線に、“なすの”252号、東京行きが10両編成で参ります。この電車は上野、終点東京に止まります。グリーン車は9号車、自由席は1号車から8号車と10号車です。まもなく14番線に、“なすの”252号、東京行きが参ります。黄色い線まで、お下がりください〕

 ようやく東の空が明るくなってきた頃、朝一の上り列車が接近してきた。
 先頭車の1号車が停車する所には、眠そうな顔のアリスが……。

 アリス:「あぁふ……!何でこんな朝早くに……?」
 敷島:「しょうがないだろ。御遺族の意向なんだから。なるべく早く来てくれってさ」
 アリス:「Huh?」

〔「14番線、ご注意ください。“なすの”252号、東京行きの到着です。お下がりください。グリーン車以外、全部自由席です」〕

 最古参のE2系が入線してきた。

 アリス:「グリーン車じゃないの?」
 敷島:「オマエな、贅沢言うんじゃねーよ。だいたい、たった25分程度だぞ。俺が新幹線定期持ってるから、このルートなんだ」
 シンディ:「広さは航空便のプレミアムエコノミーくらいですよ」
 敷島:「そうそう。この前アメリカに行った時のANA便な」

〔「おはようございます。大宮、大宮です。お忘れ物の無いよう、お降りください。14番線の電車は“なすの”252号、東京行きです。次は、上野に止まります」〕

 ドアが開いて3人は暖房の効いた列車に乗り込んだ。
 空いている3人席に座る。
 アリスが窓側、敷島が中央、シンディが通路側だった。

 敷島:「因みに右側だと、今日は天気がいいから富士山が見える」

 本当である。
 東北新幹線の大宮以南、或いは埼京線の北与野以南で、冬場の好天時限定である。
 列車は無機質な電子電鈴の発車ベルを後に、定刻に発車した。
 ホームを出ると高架線をひたすら走ることになるが、線路の両脇には除雪された雪の塊が所々に見える。
 あの大豪雪によって降り積もった雪は、そう簡単に全て融けてはくれない。

 敷島:「ほれ、アリス。富士山が見えて来たぞ。あれは山梨側の裏富士といって……」
 アリス:「クカー……」
 敷島:「って、寝てるし!」
 シンディ:「奥様は昨日までデスマ中で、ハデスと格闘しておられたのです。なので、大目に見て差し上げてください」

 シンディは敷島の秘書ではなく、アリスのメイドとしての発言をした。

 敷島:「分かったよ。ま、むしろこのままずっと寝ててもらってだなー……」

 敷島はデッキに出る扉を見た。

 シンディ:「……社長、“なすの”号に車内販売員は乗車しておりませんよ?」
 敷島:「ちっ、そうだった」
 シンディ:「あと、これから乗り換える“こだま”号においても、車内販売は無いとの情報が入っております」
 敷島:「ど、どうなってんだ、一体!?」

 それだけ車内販売の売り上げが落ちているということ。
 かくいう作者も、ここ最近は車販を利用していない。
 帰省時のビールとつまみも、駅で調達している。

[同日07:04.天候:晴 JR東京駅]

 列車が新幹線でも珍しい地下ホームの上野駅を出発した。
 しばらく地下深くを突き進むのだが、秋葉原近辺で地上に出る。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく終点、東京です。東海道新幹線、東海道本線、中央線、山手線、京浜東北線、横須賀線、総武快速線と京葉線はお乗り換えです。お忘れ物の無いよう、お支度ください。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 東京決戦の舞台となった大手町を過ぎると、すぐに列車はホームに入線する。
 前期型シンディ率いるテロロボット軍団は、何故か東京駅を襲うことは無かった。
 占拠したのは永代通りや日比谷通り、外堀通りなど。

 敷島:「おい、アリス、起きろ。降りるぞ」
 アリス:「うーん……」

 アリスは大きく伸びをした。
 すると、ガンッ!と前の席に足をぶつける。

 アリス:「狭い……」
 敷島:「E2系の普通車シートピッチは980mm。“はやぶさ”用のE5系の普通車が1040mmだから、確かに少し狭いかもな」

 尚、これから乗り換える東海道新幹線の車両は全て1040mm(普通車)。

 敷島:「でもまあ、プレミアムエコノミーがこんなもんだっただろう」
 アリス:「横幅はもう少しあったよ」
 敷島:「まあ、確かに」

 グリーン席の幅くらいあって、シートピッチは普通車という。

〔「ご乗車ありがとうございました。東京、東京、終点です。車内にお忘れ物の無いよう、お降りください」〕

 敷島達は列車を降りた。
 既にホームには、折り返し“はやて”号となるこの列車を待つ乗客達が列を成していた。

 敷島:「帰りはビジネスクラスにしてもらったよな」
 アリス:「今度はファーストクラスに乗せてもらうよ」
 敷島:「おー、頑張れー」
 アリス:「アンタも頑張るのよ」
 敷島:「俺は別にエコノミーでもいいんだがな……」

 乗換改札口を通って、今度は東海道新幹線乗り場に移る。

 敷島:「“こだま”635号、名古屋行き。16番線だな」
 アリス:「お腹空いた……」
 敷島:「ああ。駅弁でも買おうぜ」
 シンディ:「私が買って来ますよ。何がいいですか?」
 敷島:「江戸前寿司」
 アリス:「クラムチャウダー(ニューイングランド風)」
 シンディ:「……もう少し駅弁らしいメニューでお願いします」

[同日07:15.天候:晴 JR東京駅・東海道新幹線ホーム]

〔♪♪♪♪。新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。まもなく16番線に、7時26分発、“こだま”635号、名古屋行きが入線致します。安全柵の内側まで、お下がりください。この電車は終点まで、各駅に止まります。グリーン車は8号車から10号車、自由席は1号車から7号車と14号車、15号車です。……〕

 シンディ:「お待たせしました。社長は“深川めし”、博士は“牛ダブル焼肉重”ですね」
 敷島:「朝から凄い肉食べるなぁ……。さすがはアメリカ人」
 シンディ:「お飲み物は社長は温かい緑茶で、博士がストレートティーですね」
 敷島:「そうだ」
 アリス:「Thanks.」

 時速70キロくらいで列車が入線してくる。
 先頭の1号車に並んでいる敷島達だと、もろに風を受けることになる。
 大井車両基地から回送で来た列車である為、そのまま乗車できるはずだ。

〔「16番線の電車は7時26分発、“こだま”635号、名古屋行きです。ご利用のお客様は、乗車口までお進みください」〕

 その通り、ドアが開いて敷島達は再び車上の人物となったわけである。
コメント (2)
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