Linkman#41  乱読の後始末

-乱読、精読、積読-

書籍に触発されて「思考と空想」は、知の荒野を駆け巡るのか…

明治という国家   司馬遼太郎(日本放送出版協会)

2005年12月18日 | 本と雑誌
Hitorigaten

NHKスペシャル、司馬遼太郎トークドキュメント「太郎の国の物語」を改題し、出版されたものという。本棚で埃をかぶっていたものを紐解いてみて、あらためて著者の「明治」に対する深い洞察と恋慕を感じる次第。関連資料に目を通したい気分にさせられる。


○明治・大正・昭和の国民は、世界中の貧乏神を日本列島に呼び集めてともに暮らしているほど貧乏をしたが、外国から借りた金はすべて返した → 19世紀の半ば過ぎという時代において、古ぼけた文明の中から出て近代国家をつくろうとしたのは日本だけだった
○幕府というのは、シツケ糸一本を抜くだけで解体するようにできていた
○長州:権力の操作が上手(官僚機構)
○土佐:野にくだって、自由民権運動
○薩摩:政治や総司令官
○佐賀:着実に物事をやっていく人物(新政府)
○江戸時代の武士道、農民の勤勉さ、大商人の家訓、町民の心学 → プロテスタント
○艦橋で旗のように立つ東郷と頭脳の秋山、各部署で働く人々といった役割分担がうまくいっている→日本人が持つ組織の力学の一つの典型
○思想は酒というべきもの、思想は人を酔わせるものでなければならない
○「資本主義が人類に残した大きな遺産」:自由と合理主義
○内村鑑三:「私は肉体の父として日本武士を所有し、霊魂の父として排日法を布く以前の生粋の米国人を持ちしことを誇りとする」
○「日本及び日本人とは何か」:サムライ、武士道、自立心、名誉、情、公に奉ずる
○明治国家が今の日本人の私物ではない
→ 人類特にモンゴロイド家の遺産として、世界という財団のミュージアムに寄付をしたい、という気分


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