Linkman#41  乱読の後始末

-乱読、精読、積読-

書籍に触発されて「思考と空想」は、知の荒野を駆け巡るのか…

IKEA 超巨大小売業、成功の秘訣   リュディガー・ユングブルート        (日本経済新聞出版社)

2007年10月31日 | 本と雑誌
Hitorigaten

 ボルボ、テトラパック、イケア・・・スウェーデンが誇る世界的企業であり、何故か「黄色と青色」が目に浮かぶ。北欧のエクセレントカンパニーの企業活動には、誠実・勤勉・質実剛健が似合いそうであり、何より「ゆとり」を感じないわけにはいかない

○いくらデザインが最高でも、人々がそれを買えなければ何もならないんじゃないか?
○ネガティブな行動が報われる事は決してない
○イケアの基本品目は軽やかで、自然で、自由な生き方を表現したいものである
○色にも形にも喜びが表れていて、あらゆる世代の若々しい人々の趣味にあったものである
○さらに、われわれを支えるものそれはコスト意識であり、責任を負う覚悟であり、助け合いの精神であり、自分の使命に対する謙虚な緊張であり、社員同士の表裏のない付きあいである
○10分間というのは単に時給の六分の一を意味するだけではない。それは君の人生の確かな一部なのだということを忘れるな
○カール&カーリン・ラーション夫妻:子供はまるで死んだように生まれてくる。けれども彼らのばら色の頬、ぽっちゃりと丸まった小さな足、屈託のないうれしそうなおしゃべり、お人形さんごっこや学校の宿題の悩み、おかしな言葉遣い、旺盛な食欲、こうしたどれもこれもがわたしたちのよろこびをわきたたせる
○いわばベルトコンベアを家庭の居間にまでのばしたのである
○イケアって、大人のレゴみたいね
○大地にしっかり根を下ろした素朴な農村社会への崇拝の念が染み透っている
 → ヒトラー「わが闘争」
○ブークルーク(賢く暮らす):イケアとの提携
○「ほとんどがまだできていない、素晴らしい未来じゃないか!」

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内部告発マニュアル              太田さとし(ビジネス社)

2007年10月14日 | 本と雑誌
Hitorigaten

 制度疲弊を起こしたシステムでは、その活性化のために敢えて「毒薬」を呑み込まなければ、病状は好転しないのか。飲んだ組織も飲まれた薬も、余りに大きな代償を支払わなければ、社会が許さないのかもしれない・・

○内部告発を奨励する側に人たちの意識として、本来は内部告発などしない方がいいという
○体制が次の階段へ進化するためのステップであり最後の一押しなのだ
○マスコミの告発:警察や監督官庁に告発 → 常套手段が×、合理的に納得できる時
○タイプ別不正行為:①犯罪行為、②健康や環境に害を及ぼす行為、③不正義
○準備段階:①告発の動きを察知されない、②個人を特定されない、③服務規程、④法律
○業務上の合理的な理由で、自分がその書類を所持している時に複写する
○公務員:情報公開法 → マスコミ等に不正を示す文章の種類や所有の情報を伝える
○方針を検討:①告発を断念する、②タイミングを待つ、③組織を去る
○法律に規定のない行為は、警察でも監督官庁でも動きづらい
○「公益通報支援センター(通称:内部告発支援センター)」:2002.10.28発足
○米国:「内部告発者保護法」'78- 回収した費用の15~30%を告発者へ
○英国:「公益開示法」'98- 市民団体:パブリックコンサーンアットワーク(職場における公益)
○「お前の言っていることは、薄っぺらい正義感だ」
○「せめてお前たちは正しく生きよ」
○「他人の不正をとがめるほど強くはないが、せめて自分は悪事に手を染めないでいたい」
○人が不正行為者側になるか、それを告発する側に回るかは、たまたま立場の違いでしかない

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岐路に立つ普及事業     杉本忠利(全国農業改良普及協会)

2007年10月10日 | 本と雑誌
Hitorigaten

 普及事業に深く関わった著者(元農林水産技術会議事務局研究総務官)が農業改良助長法改正(H17・4施行)の4年前に書いた一冊。苦渋に満ちた思い入れ(提言)が行間から溢れるが、現場では、この内容に沿った「大変革」が進行中であり、「これも宿命」と解する次第

 

○浜田陽太郎(元立教大総長):普及事業は歴史からみれば、スタートの時点から今に至るまで、政治哲学が薄くなればなるほど、折りあらばたたかれる性格を持っていた。なくなりはしないだろうが、絶えず風雨にさらされて行く仕事という宿命を持つ
○重要なことは、行政からの注文や期待を普及センターは地域の課題として受けとめ直すというプロセスが不可欠なことである
○極論すれば事業に付随した単なるサービス活動である!
○意図的な普及活動によって管内の農業者が生き生きと農業に従事でき、地域の活性化が図れれば、農業者はもとより関係者から高い評価を得る
○普及活動の変遷
 ・昭和20~30年代初め:食糧増産、農薬(2-4D、有機水銀)、動噴
 ・昭和30年代:早期栽培、選択的拡大
 ・昭和40年代半ば:生産過剰、遊休農地、担い手減少
  「日本型普及事業」-専門から地域分担へ
 ・昭和40年代半ば以降:先進技術を総合的に駆使 
   安易に取り組める農政普及-脱技術化傾
○何が必要な技術かは、普及員が問題意識や的確な地域を見る目を持って活動していれば、現場が教えてくれるはずである
○アメリカの普及事業:普及員すべて博士号
○デンマーク  〃 :有料化、農業者との議論
○研究者の4P:①ペーパー、②パテント、③プライズ、④パフォーマンス
○小倉武一(元農業改良局長):「稲を作るより田を作れ、田を作るより人を作れ」
○人づくりは普及事業の目的なのか手段なのかという問題はある
○技術の開発と普及は農政の根幹
○普及事業に関する時代認識
 ①高い資質が要求される時代
 ②能動的な活動が要求される時代
 ③厳しい選別が必要な時代
 ④競争の時代
 ⑤情報化時代
○一人ひとりの普及員が頑張ることが基本 → だからこそシステム化!!

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もの食う人びと  辺見 庸(角川文庫)

2007年10月01日 | 本と雑誌
Hitorigaten

 ギリギリの精神状態で、ギリギリの世界(そこに在る人びとの価値観とは無関係な評価)の「食」を見聞すると、「文明の衝突」を超越する、「残酷なまでに尊い生命の輝き」に到達できるのか。 著者の慧眼に刮目していたら、あとがきの裏から、荘厳なグレゴリアン・チャントか読経が流れていたような・・      「未来はまだ捨てたものじゃない」(100冊目の後始末)

○禽獣は食らい、人間は食べる。教養ある人にしてはじめて食べ方を知る(美味礼讃)
○残飯を食らう者。大量輸入しては残す者。食の神がいたら、まちがいなく前者に涙し後者には飢渇の何であるかをいつか思い知らせるのではないか
○飲食・便利(排泄)・睡眠・言語(話すこと)・・・止む事を得ずして多くの時を失う(徒然草第百八段)
○超がつくほど大きいレストランとなると、人間の大群のもの食う姿の壮観にもう「はあ」と感動のため息が出るばかり
○「食」ほどすてきな快楽はなく、しかし容易に差別の端緒にする営みもない
○だいたい、「純正」の民族・宗教なんてありはしないのだ。食べて生きる方が、民族、宗教を誇るよりだいじなのだ
○大きな白人たちがこうして焼き魚を喜々として食っているのを見ていたら、民族の差なんか大したことないなと思えてきた
○セルビア正教、カトリック、イスラム教三つどもえの遺恨合戦の観がないでもない。しかし遺恨の元はなんなのか
○この褐色の赤ちゃんも、われわれ日々もの食う者たちの一人なのだ。働き手がない、安全なミルクが買えない。危うい母乳を飲ませてでも、さしあたりいまを生かすしかない。世界にはこんな食の瞬間もある。ほんとうに静かだ
○見えない像を見なさい。聞こえない声をききなさい
○よほど注意しなければ目に入らぬかそけき風景と人の表情が、とてつもなく大切なことに思われた
○三十数年まえにフランスで流行したテーゼを憶いだそう-実存は本質に先行する

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