Linkman#41  乱読の後始末

-乱読、精読、積読-

書籍に触発されて「思考と空想」は、知の荒野を駆け巡るのか…

「夕張問題」    鷲田 小彌太(祥伝社)

2010年03月26日 | 本と雑誌

Hitorigaten

 07年3月6日をもって財政再建団体に指定され、事実上財政破綻した夕張市。
 明治初期から昭和30年代まで、炭坑の町として隆盛を極めていたが、石炭から石油・天然ガスへとエネルギー転換がすすみ、落盤事故などと相俟って、閉山に追い込まれていった…
 地域社会の継続性と経済的基盤の重要性との相関は語るに及ばずだが、奈落の底に転落することをくいとめ、上昇気流に再び乗せられるのも、また、地域における「人気」、「和」以外にあり得ないのだろう、きっと…

○やはり農家の子供は、働いている親の背中を見ながら育っていくというのがある
○農家を営むには家族の協力が不可欠ですよね。つまり、農業を核として学校を含めた共同体を形成してゆくという部分が希薄になる
○「炭坑から観光へ」は無謀か勇断か?
○石炭産業は私企業のもので夕張市のものではない →石炭企業とその関連会社が潰れても、夕張市の責任ではない
○役人主体の町づくりは、絶対に成功しない
○合併の最大効果は、役場の仕事と役人の数を減らすこと
○夕張市政の基本ポイントを農にあるいはそれに関連する生産、製造部門とそこに働く人たちに切り換えなければならない
○本当に残すべきものが夕張の人の手からこぼれ落ちてしまったんじゃないの? →夕張に住んで素敵だ、好きだという心である。愛郷心だ。
○さびしさは、静かさの別表現だ
○故郷を失うことは二種類ある:①過疎化し衰滅、②過密化し家郷消滅


こまくさの詩     尾沢 洋(文芸社)

2010年03月08日 | 本と雑誌

Hitorigaten

 自然保護や環境問題を生活の一部分として取り入れ、実践するだけではなく、それを地域における運動にまで昇華させる人がいる。はじめは周りから、「奇人」、「変人」呼ばわりされても、休まず、怯まず突き進む…
 その「パトス」の源泉は何か?丹念に取材された本書からは、「!!」の山が築かれた次第。

○凄い人がいる、凄い花がある、高山植物の女王-駒草  花咲かす人:山口雄平
○人が壊したものなら人の手で元に戻してやる
○家中健康で働き、仲良く分け合って食べるものにまずいものはない
○人間は心がきれいなら、姿なんかどうでもいい
○俺が一番尊敬しているリー先生のことだ。よその国からきた人が、見ず知らずの人の面倒を見ている。こんな偉い人はいない
○卑劣と思われてもいい。どうせ行かされるときは嫌でも行かされるのだから、自分から進んで志願だけはするな
○どうせ谷間の一軒家。なにもねえ貧乏家でもここまで頑張ってきたんだ。もう一度最初からやり直してみるのも悪くはねえか
○農業試験場の若い技官の言葉に嘘はなかった。「わかりました。すぐに土を調べてみます。私にも手伝わせてください」
○「駒草の種、蒔いてあります。入らないでください」
○干川文次:嬬恋村万座温泉生まれ-駒草復活
○故郷の山に、絶滅寸前の花を蘇らせる。こんな素晴らしい仕事は、次代を担う子どもにこそしてほしい
○あなたのこの仕事に成功したとき、私は貴方の駒草物語を書いてみたい →椋鳩十
○コマクサ、愛の一粒、一株うんどう
○「雄さんは、指があるから何でもできるさ」