作家でありコメンティストであり、「タレント?」でもある筆者の雑学・博学、知識の一端が伺える一冊。この類の短文・批評では秀逸である。今夜、酒でも飲もうか?と誘いたくなる。
○ひっそりと生き残ったジャス喫茶
○赤坂真理:涙や感動の話は、今や消耗品であり、生きた証は一週間で資源ごみに出る
○先進国の人間であることは、倦怠に耐える事であると思っている
○袋とじは、日本が世界に誇る出版文化
(印刷コストは一冊当たり十円かかる)
○海老坂武:僕は自分が死んだときに、僕のことを優しく考えてくれる人が何人かいればいいなという感じです。つまり僕という存在はそういう人たちの中でしか残らないと思うから
○福田和也:雑誌の販売が差し止められたこと、この点こそが重大事であって、あとは枝葉末節にすぎない
○中野翠:人体の大半は水でできているというけれど、同じように人格の七割くらいは過去の記憶で構成されているのかもしれない
○成田龍一:清張の特質-権力悪と組織悪を描き、そのにうごめく人々の欲望に着目して日本社会のありようを描いた作家
○マイクモラスキー「戦後日本のジャズ文化」:耳を澄ますと日本の戦後文学には、ジャズがよく聞こえてくる
○加藤典洋:そこに日本の戦後のおだやかな午前の光が漂っているのだ
○1962年:「貧乏って面白かった」、「何とも言えない初々しさ、凛々しさ」
○鵜飼哲(仏文学者):フランス暴動では、警官を別とすれば対人暴力は稀だった。日本では若者達は暴動をおこさず、路上生活者を襲う。暴動より深刻な事態が進行中のようにみえる