Linkman#41  乱読の後始末

-乱読、精読、積読-

書籍に触発されて「思考と空想」は、知の荒野を駆け巡るのか…

この雑誌を盗め!       亀和田武(二見書房)

2006年12月28日 | 本と雑誌
Hitorigaten
 作家でありコメンティストであり、「タレント?」でもある筆者の雑学・博学、知識の一端が伺える一冊。この類の短文・批評では秀逸である。今夜、酒でも飲もうか?と誘いたくなる。

○ひっそりと生き残ったジャス喫茶
○赤坂真理:涙や感動の話は、今や消耗品であり、生きた証は一週間で資源ごみに出る
○先進国の人間であることは、倦怠に耐える事であると思っている
○袋とじは、日本が世界に誇る出版文化
(印刷コストは一冊当たり十円かかる)
○海老坂武:僕は自分が死んだときに、僕のことを優しく考えてくれる人が何人かいればいいなという感じです。つまり僕という存在はそういう人たちの中でしか残らないと思うから
○福田和也:雑誌の販売が差し止められたこと、この点こそが重大事であって、あとは枝葉末節にすぎない
○中野翠:人体の大半は水でできているというけれど、同じように人格の七割くらいは過去の記憶で構成されているのかもしれない
○成田龍一:清張の特質-権力悪と組織悪を描き、そのにうごめく人々の欲望に着目して日本社会のありようを描いた作家
○マイクモラスキー「戦後日本のジャズ文化」:耳を澄ますと日本の戦後文学には、ジャズがよく聞こえてくる
○加藤典洋:そこに日本の戦後のおだやかな午前の光が漂っているのだ
○1962年:「貧乏って面白かった」、「何とも言えない初々しさ、凛々しさ」
○鵜飼哲(仏文学者):フランス暴動では、警官を別とすれば対人暴力は稀だった。日本では若者達は暴動をおこさず、路上生活者を襲う。暴動より深刻な事態が進行中のようにみえる

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日本存亡のとき             高坂正堯(講談社)

2006年12月18日 | 本と雑誌
Hitorigaten
 京都大学教授、高坂正堯氏の没後十年という。
 戦後からロシア崩壊まで、日本外交や自由主義と共産主義のせめぎあいについて、平明な表現で講義してくれていた感がある。新内閣発足後の外交について、評論願いたかった。

○世界は一つであり、数個あるいは200に分かれている
○冷戦が終わってみれば、勝っていたのは日本とドイツ
○ソ連の体制はユートピアに起源を持つ
○どのような体制の中で育ち、どのような教育を受けようが、人間はそれを越え歴史を通じて形成されてきた普遍的な価値を評価する人物が現れるものなのである
○湾岸戦争の勝敗を分けた決定的な要因は、アメリカ外交の成功であった
○米国:軍事費の削減という「平和の配当」があっても、その分は簡単に福祉関係で食い潰す
○吉田茂の外交感覚:①米国との同盟関係、②防衛力を抑える、③通商国家へ
○外交感覚:鼻のきかない奴はだめだ
○GATT-IMF体制という開放的な国際経済体制の大きな受益者
○日本より軍事力を重視する国々も、自らは平和国家であると考えている
○自由放任主義者アダム・スミス:国内秩序と国際的安全保障-政府の機能は認める
○最も必要なのは、われわれ自身の革新能力
○食管法によって保護されているのは、日本の農業そのものではなく、多くの兼業農家と農協を柱とする1955年版の日本農業
○商工省(1949年:13,822人) → 通産省(1952年:3,257人) 自由競争
○1975年残存輸入規制品目:日本22、米国1、英国5、伊10、西独18、仏33
○「外圧」利用による決定体質-「公論」による決定がほとんどない

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アサノ知事の冒険            菊地昭典(岩波書店)

2006年12月13日 | 本と雑誌
Hitorigaten
 日本中で首長の犯罪が取りざたされている昨今。しかし、少しだけ時間を遡れば、高い志と清廉潔白そして清貧を信条として、地方から日本を良くしようとした知事がいたことを、我々は忘れてはいけない。

○作戦:青い海 青い空 青い旗
○「組織のない私たちは、命令や締め付けで1回に何千人も動員するというようなことはできませんが、この青い旗を作り、小さな集会でもその強い意志を示すことができるのではないでしょうか。県内のあちこちに小さな青い旗が揺れる小さな集会。そしていつしかその青が宮城県中を埋め尽くす。それこそ誰のものでもない県民一人ひとりの選挙、県民のための県政が実現できると信じます。勝手連の皆さん、どうかお願いです。会場前には青い旗を掲げるのもいいですし、青い小さな旗でもいいのです。小さな青いハンカチや布切れでもいいのです。青い上着でもかまいません。浅野知事を応援する意志の証明として、集会には必ず準備し、全国が注目するこの知事選をみんなで盛り上げませんか。「青い海 青い空 青い旗」これを勝手連の合言葉にしませんか。」

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地球温暖化の真実          住 明正(ウェッジ)

2006年12月03日 | 本と雑誌
Hitorigaten
 「人権と環境とは、究極のところ矛盾する」
 この一節を見つけたとき、頭の中が固まってしまった。だが「そこに留まってはいけない」という著者のメッセージが聞こえてくる気がした

○地球環境は太陽エネルギーで決まる
○温室効果:太陽エネルギー 1,380W/㎡ → 240W/㎡/h(日平均)
○水の量:100億トンを1ユニットと仮定
 ・海洋:1,400,000、海上大気:11、降水:398
 ・蒸発:434、地下水:15,300、雪氷:43,400
 ・植生:2、地表水:360、陸上大気:4.5
 ・降水:107、蒸発散:71、気流:36
○ヒートアイランド現象:人間活動が創り出した熱そのものが地球環境を暖める事態には至っていいない
○CO2倍増 → 4W/㎡ → 太陽エネルギー2%増加
○上層:絹雲   -氷 → 温室効果+
○下層:層雲、積雲-水 → 温室効果-
(水蒸気はCO2以上の温室効果気体)
○+0.5℃:近年太陽活動効果:+CO2増加
○海洋:地表の7割 → 海洋温度が変わらなければ地表気温も抑制できる
○カエルの減少:紫外線、酸性雨、オゾン
○杉(日本)、小鳥(米国)、両極の氷、氷河の後退
○炭素の収支:2ギガトン/年(ミッシングシンク) → タイガの木が太る!
○フランス:自由、平等、博愛
○ドイツ:20~30万人都市 → ナチス政策
(森、緑、道路、美しい国土)
○アルカディア:過去の理想郷
○ユートピア:未来の理想郷
○性能が不十分であるときに、精度が良くなるまで何もしないのか? OR 不十分でも細工を工夫しながら、現在の問題に対して情報を提供すべきか?
  → 科学と社会の関係に関わる態度の問題

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