Linkman#41  乱読の後始末

-乱読、精読、積読-

書籍に触発されて「思考と空想」は、知の荒野を駆け巡るのか…

ビジネス・エシックス          塩原俊彦(講談社新書)

2006年10月26日 | 本と雑誌

Hitorigaten
 一人ひとりの良心に基づく判断・行動のベースになるものであり、ビジネス行動に対する内なる主観的な声と言われる「ビジネスエシックス」。商家の家訓として埃を被っていた「お宝」が、実は今甦ったのかもしれない。


○茂木家家憲:徳義は本なり財は末なり、本末を忘るるなかれ
○大文字屋 下村彦右衛門:先義後利
○近江商人:三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)
○功利主義:①害悪を最小化し、恩恵を最大化することによって人間の幸福を増進することである
②喜びや幸福のみが本質的に善となりうる
③善の定量的な測定と比較に関与する
○英米法の契約観にもとづく「契約関係」とその不完備を補う「信認関係」の二つの倫理面から保護するために存在している
○企業統括:英米流-アウトサイダーモデル
        日独流-インサイダーモデル
○米国人は政府による「権利目録」の違反に対して保護されているだけ
○「今後ともよろしくお願いします」「先日はありがとうございました」-日本的挨拶
○日本では、連帯保証と遡及型融資というムラ社会丸出しの制度を公的金融機関までが採用している

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所沢ダイオキシン報道        横田一(緑風出版)

2006年10月16日 | 本と雑誌

Hitorigaten

 テレビ朝日で1999.2.1に放送された、「汚染地の苦悩-農産物は安全か?」に端を発した「所沢ダイオキシン報道」は、その後の「食品の安全性」や「環境問題」に対して、多大な影響を与えた。大衆の関心を集めることがマスコミの常とするならば、大成功事例であったはずだが、後味の悪さが気になる一件である。


○焼却炉の公害問題がテレビ朝日問題にすり替わり、行政の安全宣言をマスコミが垂れ流すことで沈静化した
○「県はこのことを何も感じないのですか。農家の生存権、生活権が侵されているのです」
○低いデータを拠り所にするか、高い測定値を基準に考えるか?
○8塩化物が突出→農薬汚染源の可能性大
○4or5塩化物が突出→焼却炉からの可能性大
○行政の測定値は第三者によるチェックが十分に保証されていないのが現状
○「煙で空気が汚れると、野菜も人も危ない。野菜だけが安全というのは嘘だ」
○濃度規制から総量規制へ
○問題が表沙汰になって一時的な混乱は避けられないにしても、高濃度汚染の原因追及を促し、ひいては発生源対策につながり、長期的にはプラスとなっているわけである
○所沢市西部清掃事業所:'97.9.5毎日新聞  ダイオキシン発生量12,000ng/立米→ベトナム1/30
○リスク:ハザード× 被爆量
○ハザード:重量当たりの毒性の強さ
○安全宣言で問題を沈静化しようとする行政
○安全宣言にお墨付きを与える御用学者
○安全宣言を補強する御用ライター
○在るべき方向:徹底調査、補償制度の整備、発生源対策

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踊る日本大使館            小池政行(講談社)

2006年10月10日 | 本と雑誌

Hitorigaten

 米国対イラン、日本対北朝鮮あるいは韓国、中国加えてロシア等、直接的あるいは間接的に世界情勢が激変する昨今。
各国に存在する「日本大使館」の存在意義が大きくクローズアップされている現在、内情を知る上で貴重な資料である。


○外交官特権:免税、従者(ガードマン、メイド等)
○「無難に時の過ぎてゆくのを待つ」:官僚としての妥当な生き方
○営利を目的としない外交活動をやっていると、効率性や対費用効果を考慮に入れない限り、組織はだらけるのではないだろうか
○言葉はその国の文化の象徴である:公式通訳官の会話レベルは相手国がどう評価するか
○ある事実を歪めて報告すれば、次に報告する事実はさらに歪められてゆく
○大きな看板が世に出るためにどれほど役立つのか、独学で生きてきた者はつくづく思う
○どの部分をどういじればよいか、自然とわかるものですよ
○通訳である私に「小池さん」と声を掛けてくれた日本の要人は、美智子妃一人!
○広大な中立地帯はいざという時、味方になりうるのだ
○大喪の礼:日程を秒単位で計画
○ひとたび政治的な決定が行われた際は、その実現に見事なまでに力を結集させていくのが日本の官僚
○「人は自分を実態より二割方高く評価する」:堀田力氏
○出先と中央の情勢判断の違いや相互不信感を物語る例:「在外のバカ」、「本省のアホ」

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だから国連はなにもできない   リンダ・ポルマン著 富永和子訳(アーティストハウス)  

2006年10月05日 | 本と雑誌

Hitorigaten

 常任理事国入りや事務総長選出など、国連をめぐる動きが活発化している様相である。民族問題や宗教対立等の解決手段として「国連」に寄せられる期待度は最大値に達するが、「果たして結果は如何なものか?」もう一度検証する必要がありそうである。


○国連の決断はホットドッグのようなものだよ。どうやって作るのかわかれば、それをじっくり味わいたいとは誰も思わない。
○モート・ローゼンブラム:
 ①政府は嘘をつく、もともとそういうもの
 ②あらかじめ考えた目標に沿って市民を欺いていないとしても自分たちを欺いている
 ③自分を欺くのは、人間の生まれつきの傾向
  ④一国のリーダーといえども決して例外でなく、現実を見失う可能性はある
○民主主義という現象自体が、エリート達にとっては恐ろしいものなのだよ
○民主主義は、自由、平等、友愛といったものに基づいているからね
○国連とは「わたしたち」だからで、当然わたしたちができないことを、国連が代わって行うことはできないのである
○国連は、各国の国益を超越したありがたい機関ではないという発見は実に恐ろしいものだ

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