Linkman#41  乱読の後始末

-乱読、精読、積読-

書籍に触発されて「思考と空想」は、知の荒野を駆け巡るのか…

自由民権運動の系譜  稲田雅洋(吉川弘文館)

2015年09月29日 | 
Hitorigaten

 平成27年9月19日、平和安全法制関連二法が成立した。憲法第九条に反すると若者を中心とした国会前でのデモが連日取り上げられ、民衆の関心の高さを示してきている。
 参議院での陳腐な三文劇とは異なり、デモ参加者のインタビューを垣間見ると、豊葦原瑞穂国の将来を託すべき「若き志士たち」(赤子連れのヤンママ、時間休の若きサラリーマン、高校生諸君etc.)の登場に胸を膨らませたのは、買い被りが過ぎるのだろうか…
 そして、これからも「言論の自由」だけは永久に保障される国であって欲しいと切に願うものなり…


○日本が十九世紀のうちにアジアの中で唯一近代国家体制を確立していったのは、民権運動の結果であり成果である
○民権運動:民権家が新聞と演説を車の両輪にして展開した言論活動である
○民権派は、専制的な明治政府に対して、国家形態を立憲政体変えるよう要求して闘った
○憲法37条:議会/協賛-両院の同意→法案の決定は両院の議を経る
○雄弁は世の光である。文化燦然たる社会は常に雄弁を必要とする
○尾崎行雄:王座を以て胸壁とし、詔勅を以て弾丸に代えて政敵を倒さんとするものではないか
○公法:儒教的枠組みの中に「公」、「公民」の観念が存在しており、それが道徳的な規範として受け入れられたため、民権運動に純真さと情熱を与え志士たちの殉教的情熱や精神的安心を支えることとなった「天賦人権」「自主自由」
○小室重弘:演説ハ…人心ヲ激励シ容易ニ真実ノ思底ヲ吐露スルヲ得ルモノナリ。(中略)三寸ノ舌能ク百万兵ニ当トルモノナリ
○言論もしょせんは手段である。言論を有効なものとするのは人間の意志であり、その成果を残していくのは制度である