Linkman#41  乱読の後始末

-乱読、精読、積読-

書籍に触発されて「思考と空想」は、知の荒野を駆け巡るのか…

ひとりでもやる、ひとりでもやめる      小田 実(筑摩書房)

2007年11月26日 | 本と雑誌
Hitorigaten

 「べ平連」の創設者のひとりが亡くなって、市民運動あるいは「昭和」が本当に幕を閉じた気がする。
 「正義は力」を標榜する大国を向こうに回し、「ペンの力」を信じこれに殉じた行動する思想家がまたひとり、降壇したのは寂しい限り・・・

○憲法改正:改正派が革新、改正反対派が守旧
○戦後常識:①「平和主義」=戦争は全て悪 ②「民主主義」=即「平和主義」
○民主主義は戦争に強い:ドイツ-ナチドイツと過去を絡めて否定する
○富国強兵 → 強兵のための富 → 棄民、難死
○「理解し許すな」の態度
○犯罪は「法」の領域、責任は「倫理」の領域
○1955「バンドン会議」:全方位商売、政経分離 → 核の傘からの超越
○民主主義:異質の価値の「共生」をいかに対等、平等、自由に実現するかの政治原理
○変革の原動力としての民主主義を実践する機会が来ている
○アメリカ合衆国:人口の1%が底辺の95%より多くの富を支配。医療費は他の主要工業国の2倍以上
○ヴィーコ(伊思想家):歴史の主体は人間である。だから人間は歴史を変えられる変えてもいい、変えるべきだ
○堀田善衛:二十世紀は人間の歴史の中でも最も凶暴な世紀であった
○英語に基づく思想の展開:そこでのプラグマティズムは英語の普遍性を大きくかたちづくる
○ガルブレイス:日本にとっても最も重要なことは、日本人が満足や幸福を感じることができる政府、社会、経済システムを作り、世界の平和や福祉に貢献することだ
○災害:事故は虚飾、夾雑物をはぎ取って、物事の本質を明らかにする


得手に帆あげて          本田宗一郎(三笠書房)

2007年11月18日 | 本と雑誌
Hitorigaten

 本田宗一郎没後15年以上を経過するが、強烈な個性は記憶のなか、いまも鮮やかに甦る。その思想と行動原理は、「ホンダイズム」として後世に脈々と引き継がれるのだろう。
 「稀代の天才」の秘密を探る糸口は本書に鏤められており、刮目するのみ・・・

○教育:自分の身についた基礎理論をさらにどう発展させ、また未来に横たわる様々な課題を一つずつ解決し、新しいものを生み出していくような若い人をどんどん育て上げること
○真理というものは、その点で人間の意志や利害に左右されることはない、最高の善
○全国に喘ぎ、ともすれば苦難に打ちのめされそうな人は、早く自分の得意なものを発見することだ
○ミケランジェロ:彫刻家以外の名で呼ばれるのを喜ばなかった-天才、万能選手
○同じモノを見ても、目的があるか無いかでこれほどの差がある:「見学の見」、「観察の観」
○「見たり、聞いたり、試したり」: → 知識から創意の芽も自然に生えてくるもの
○この世に生を受けた以上、どうせなら自分の手で何かを生み出そう。工夫し、考案し、そして社会に役立つものを製作すべきだ
○ミュンヘンの科学博物館:¢3mの円盤に¢5cmの扇形の着色 →大きな円は未知の領域
○長い閉鎖社会に生きてきたという歴史の残りかすが日本人の尾テイ骨あたりにこびりついていて、思考の国際化を阻んでいるのかも知れぬ
○いつどこでも自分のために行動しても、それが社会全体の意志や時代の流れに逆行することがなく、むしろそれにプラスするような誇り高い自由人でありたい
○人間にとっては行動が全てであり、メーカーにとっては製品が全てである
○時間は全ての生命である → 約束時間を守る


パラドックス PARADOX          林晋(日本評論社)

2007年11月09日 | 本と雑誌
Hitorigaten

 「一見正しく見える矛盾した話」は巷間流布され、お天道様の下、大手を振って大道のど真ん中を闊歩しているような・・・。大きな声や耳障りの良い言説に惑わされないためにも、「!」や「?」をいつまでも持ち続けたいものである

○時間幅ゼロの瞬間に響いた音は、もはや音ですらないだろう
○時間・空間はそれ自身が語られる対象ではなく、何事かを語りだす形式に他ならない
○「クレタ人は全員うそつきです」
○「アキレスは亀を追い抜けないのか」、「飛んでいる鳥は静止している」:ゼノン
○数学:「論理」を使い図形や数についての性質を研究するのが数学である
○ユークリッド:公理
○ピタゴラス学派(古代ギリシャ):「背理法」 → ある命題を証明するのに否定して矛盾を導く
○選択公理:「集合Xが空でない部分集合の族により分割されているとする。そのとき分割に対する代表系が常に存在する」
○難しい言葉をつかうのは、基礎をしっかり理解していただくためである
○空間は、前も後も右も左も区別なく行くことができる → 空間はその方向に関して対照的
時間は後に進むことができず常に前進しかない
○「熱力学第二方式」:熱は高温から低温の方向に流れ、その逆は自然には起こらない
○時間対称:時間の方向を反転しても物理法則を記述する方程式は形を変えない
○「ビデオに撮り逆回りすると明らかにおかしいもの」 → 熱力学第二法則が関与


企業こころの危機管理          田中辰巳 海原純子(文藝春秋)

2007年11月03日 | 本と雑誌
Hitorigaten

 個人が大量の情報を瞬時に入手できるようになり、仕事量が等比級数的に増大した今日では、「上司」・「同僚」・「部下(後輩)」という言葉すら「死語の世界」に葬り去られるのか・・・
 情報を受けとめる側の大脳は、100万年前から進化しておらず、そのギャップが心身変調の真因か・・・

○うつ病の患者が増加:仕事量が多くなった
 → '86 ファクシミリ、'95 インターネット
 → バブル崩壊、リストラ、人員削減
○JR西日本:「できることでしたら、このマンションを私どもにお譲り頂けませんか。生活環境が変わって大変だとは思いますが、お譲りください。なぜならば、私どもはここを幹部の社宅にして、この事故を風化させないようにしたい」
○部下とのコミュニケーションが取れない:キャッチボールせず全部バットで打ち返す
○うつ病を見分ける三大病状:①気分が落ち込む、②食欲が減退、③睡眠障害 → 三つの症状が二週間以上続いた時
○うつ病は「死にたくなる病気」→ 会社かプライベートか、真相の究明したい
○会社としては、代わりの親孝行の真似をさせてもらえませんか → 両親が生きている間、年1~2回の海外旅行などは?
○「私はこれに向いていない」:努力放棄
○スペシャリストにならなくていいから3年やれ
○自分で推測、予想、工夫、修正、努力
○ピーターの法則:能力主義の組織では人は能力に応じて出世し、各階層は結果として無能の人で埋め尽くされる。その組織は各階層で能力をまだ発揮していない出世の余地のある人材によって動かされる
○JAS法違反、不当表示:マスコミは殺人未遂と見なす →「もう本当に命にかかわるような・・・」たどたどしい謝罪の気持ち