Linkman#41  乱読の後始末

-乱読、精読、積読-

書籍に触発されて「思考と空想」は、知の荒野を駆け巡るのか…

左対右 きき手大研究    八田武志(化学同人)

2008年09月20日 | 本と雑誌
Hitorigaten

 きき手の存在は、人間の「脳」や「神経系」の発達の過程で必然的に発生するとあり、知的興味を掻き立てられていたら、猿、猫は言うに及ばず、魚類までもと示唆されている。
 手にした切欠は、「巨人の星」の「きき手の矯正」からだったが、生命発生の神秘を探る壮大な旅に誘われた想いがする・・・

○感覚運動供応技能:裁縫が上手、工芸細工に長けている
○音楽的能力については、当人より親のきき手の影響を指摘
○きき手の出現を軸足の出現と関連づけて論じる
○前庭機能が胎児期において問題を生じた非右ききは、運動系だけでなく中枢神経系の神経伝達物質の分泌レベルにも影響を与える
○右ききの脳は機能が特定の部位に局在している傾向が強いのに対して、左ききの脳はその傾向が弱い
○一見すぐに役立ちそうもないことに携われる研究者をどれだけ抱えられるかが、真に豊かな社会かどうかのバロメーターであると私は信じている
○幼児期に本人が意識的に変更を嫌悪する場合を除いて、右ききへの変更を試行してみてもよいと思います。試みられては如何ですか
 → その程度で左手を使う傾向が右手に変わるのであれば、環境要因の影響は軽微であったとみなせると考えるからである
 → 無用な負担を子供にかけることがないような子育てをお願いしたい
○原猿類では視覚に導かれた左手の運動(右脳支配)で餌をとり、この時空いている右手で姿勢を保持する。ところが、進化の過程で両手による協調的で微妙な運動操作が求められる課題に遭遇することによって次第に立位姿勢を保持するのに右手を使わなくなり、姿勢の保持に使っていた右手(左脳支配)が手指動作に用いられるようになった

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イノベーションの作法   野中郁次郎 勝見明(日本経済新聞社)

2008年09月10日 | 本と雑誌
Hitorigaten

 「人気」が薄れ、閉塞感が漂う世相を如何に打破するか。職場や自らを取り巻くコミュニティーに如何に活気を取り戻すか。
 現状に甘んじることなく、「昨日より今日、今日より明日」と常にもっとよくなると信じて行動する者にとって、「座右の書」となる一冊であろう・・・

○「コンセプトカタログ」-「人馬一体実現に対する想い」通し番号と氏名 → コミットメントを集約した宣言書 → すべての原点 → 壁にぶつかったら、いつもコンセプトカタログに立ち戻れ!!
○黒澤明監督:天使のように大胆に、悪魔のように細心に
○暗黙知:言葉や文章で表現することが難しい主観的な知、思いや信念、身体に染み込んだ熟練やノウハウはその典型
○人は判子をつく際、存在意義を示そうと何か注文をつけ、プランはどんどん原型を失う
○イノベーターの条件:①理想主義的プラグマティズム、②場の生成能力、③知のリンクをはる能力、④感情の知、⑤勝負師のカン
○3Mの研究開発部門:「15%ルール」自由な研究につぎ込む時間
○大切なのは思考における謙虚さ:人間の知識などタカが知れている → 一つ一つ実践により積み上げることができる
○すべての人がプラスの気を送り始めると、人知を越えた魅力を放ち始める
○アインシュタイン:常識とは、18歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう
○デッド・マール・クラマー:目そのものは見えない、耳そのものは聞こえない、見えるのは精神であり、聞くのも精神である
○立ったままの会議、偉くない管理職
○必要なのは、バランス感覚のある献身的な人材
○「顧客のために」-決めつけや思い込み
○know what:know why:know how
○ハイデガー:人間存在は時間性を持つものである

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江戸の園芸   青木宏一郎(ちくま新書)

2008年09月01日 | 本と雑誌
Hitorigaten

 「勿体ない-mottainai」が、日本発、環境問題解決の基本理念であるとすれば、その源流は何処にあるのか・・・
 遠く八百万の神々の古代に遡るまでもなく、「大江戸八百八町、町民文化」に重要なヒントが隠されているような・・・
 知的好奇心を頗る刺激される一冊ではある。

○米国ワイルドネス・アクト(原始地域法」):2,000haを超える自然地
○江戸庶民のサクラ:ヤマザクラ、中世頃まではウメ
○日本人が仏教の輪廻転生の思想を受け入れる以前からあった
○風流は格式張らず、ちょっと反権力的でもあり、自己満足に陥る危うさを持ちながら多くの人々に支えられていた
○信仰や年中行事というものは、生活に節目を作る上で効果的
○江戸初期の行楽地:寺社が主なもの、宗教的な目的と金品を得る-開帳と縁日:富くじ
○向島百花園(佐原平八):「秋の七草」、万葉集、山上憶良 → 全く取るに足らぬと思われた雑草を商品化!!
○江戸の祭:天下祭(山王祭、神田祭)、三社祭、天王祭、七日祭
○江戸五不動:目白、目黒、目赤、目青、目黄○五百羅漢、六地蔵、六阿弥陀、三十三所観音○富士、大山、成田、御陰、金比羅、善光寺詣
○町人は月に二日のか休み → 行楽地は稀
○森林破壊の始まり:弥生時代の稲作
○ロバート・フォーチュン:「江戸と北京」 → 100万人分の食料が供給可能 →「御府内」
○江戸周辺の村では農民一揆が非常に少ない
○江戸は生態系都市:道路や河川 → 自分達のものという感覚
○人間もまた、森林の中の生物界の一員として機能していた

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