Linkman#41  乱読の後始末

-乱読、精読、積読-

書籍に触発されて「思考と空想」は、知の荒野を駆け巡るのか…

ヒムラーとヒトラー  谷 喬夫(講談社)

2009年02月21日 | 本と雑誌
Hitorigaten

 第2次世界大戦の敗戦国として、深い傷を負いながらも奇跡的な復興を遂げた二つの国。自虐的とも思える「自己反省」に徹するドイツと、「臭いものに蓋」で頬かむりを決めこむ日本。戦争に対する歴史観の違い(戦争責任のとり方)は一体何に起因するのか・・・
 洋の東西で、お互いに「騎士道」と「武士道」、「ゲルマン魂」と「大和魂」を誇ってきた両者を分けたものは何か・・・ またまた、眠れぬ夜が続きそうな・・・

○ニュルンベルク裁判:①平和に対する犯罪、②戦争犯罪、③人道に対する犯罪
○E.J.ホブズボーム:
 長い19世紀-1789仏革命~1914第1次大戦
 短い20世紀-ロシアボルシェビキ革命~第2次大戦 終結~1991東西冷戦体制崩壊
○「20世紀」:宗教性を帯びた世俗的イデオロギー対立時代 ナチズムvs自由民主主義vs共産主義
○自主的な市民を主体としていたこれまでの社会の構成が実質的に破産し、社会という舞台の主役が専ら情動的、欲動的になり非合理的な行動する大衆に代わられはじめた
○ナチズムの持つ合理性:無限の進歩、完璧な社会を実現しようという願い
○コミュニズムとナチズムのユートピア:階級無き社会とユダヤ人無き社会、自由人の連合体とアーリア人種の楽園
○日本のユートピア:アジア的桃源郷、女性的
○ナチズムのユートピア:北方の大地、男性的、規律
○社会ダーウィン主義と人種的優生学の結合 → 血の共産主義
○ 親衛隊のモラル:服従、忠誠、名誉、強靱、勇気、品位、戦友精神 ←→ エゴイズムからの解放
○プラトン的全体国家主義:指導者国家構想
○ヘーゲル的観念論:個と全体、自由と共同結合
○ヒムラーの美意識:キッチュ→死と破壊、再生と血統
○「文明の衝突」と「近代の進歩と終焉」

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分類する技術が仕事を変える     久我勝利(日本実業出版社)

2009年02月11日 | 本と雑誌

Hitorigaten

 事務机、書類棚が、書類と資料、新聞や雑誌、書籍類やコピー等で溢れかえっており、本当に必要なデータを探し出すのが一仕事になってしまった時、縋るような気持ちで貪り読んだ一冊。
 執務環境が改善されたかは別として、哲学、思想の極めて平明な解説書、あるいは入門書として引き込まれた次第

○必要な時間を最初に決める
○仕事を重要度、緊急度で分類する効用
○分類の基本的な原則:
 ①必ずどこかに分類する
 ②一つの分類項目だけを入れる
○分類を必要とする判断基準:
 ①量が多いか?
 ②情報へのアクセスタイムは?
 ③分類が可能か?
○空海の秘密曼荼羅十住心論
 ①異生羝羊心- 煩悩にまみれた心
 ②愚童持斎心-道徳の目覚め・儒教的境地
 ③嬰童無畏心-超俗志向、老荘思想の境地
 ④唯蘊無我心-小乗仏教 声聞の境地
 ⑤抜業因種心-小乗仏教 縁覚の境地
 ⑥他縁大乗心-大乗仏教 唯識・法相宗境地
 ⑦覚心不生心-大乗仏教 中観・三論宗の境地
 ⑧一道無為心-大乗仏教 天台宗の境地
 ⑨極無自性心-大乗仏教 華厳宗の境地
 ⑩秘密荘厳心- 真言密教 境地
○ギリシャの「四大」:地、水、火、風
○インドの「五大」:地、水、火、風、空
○中国の「陰陽五行説」
 五行:木、火、土、金、水
 五方:東、南、中、西、北
 五時:春、夏、土用、秋、冬
 五色:青、赤、黄、白、黒
 五臓:肝、心、脾、肺、腎
 五味:酸、苦、甘、辛、鹹(塩味)

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世界の食料生産とバイオマスエネルギー2050年の展望                  川島博之(東京大学出版会)  

2009年02月01日 | 本と雑誌
Hitorigaten

 高校生の頃、テレビから毎日のように流布されていた「成長の限界」(ローマクラブ1972)の内容に、どれほどの衝撃を受けたことか…
 「飢渇」の本当の怖さを体験していない町育ちの少年には、「食糧危機」という言葉がトラウマとして深く刻まれてしまったような…
 2050年における世界の食糧事情を、決して楽観視しているとは思わないが、少なくとも宇宙船地球号のバランスを保つ術は、未だ人類の手に委ねられているような…
「奢ることなく人事を尽くせ」(Renewal#1)

○農業が始まった約1万年前における世界の人口:400万人
○狩猟・採取から農業へ転換:4000~5000年
○小麦、大麦、大豆の広がり:パレスチナ、シリア~イラン → ナイル河、黄河、インダス河
○穀物生産量 350Kg/人/年 → 米換算671g/日 →2390kcal/日(22億4000万t/60億人/年)
○ 米  :5億5400万t うち飼料 1.8%
  小 麦:  9810万t うち飼料18%
  トウモロコシ:7億 500万t  うち飼料66%
    大麦 :穀類全体の27%  うち飼料13%
  サトウキビ:熱~亜熱帯12億9000万t 増加
    甜菜 :亜寒帯     2億3800万t 減少
○バイオマスエネルギー: CO2ニュートラル
○サトウキビ栽培適地8億8158万ha
 →エタノール51億3000万キロリットル(5.82キロリットル/ha)
 → 石油換算28億3000万t(比熱70%)
 → 消費エネルギー27%相当(石油消費量37億t)
○栽培面積あたり扶養人口:3.1人/ha(1961) → 5.1人/ha(2005)
○世界の土地利用:農地11.9% 森林32.2% 草地26.5% その他29.3%

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