Linkman#41  乱読の後始末

-乱読、精読、積読-

書籍に触発されて「思考と空想」は、知の荒野を駆け巡るのか…

TPP反対の大義     農文協編(農文協ブックレット)

2014年07月31日 | 本と雑誌
Hitorigaten

 TPP交渉が最終段階を迎えているという状況で、政府・自民党から最後まで詳細な内容が詳らかにならなかったことは、民衆の敗北ではなかったのか…
 この難問を唐突に俎上に載せた民主党は現在どのような態度をとっており、将又当時は野に下っていた自民党の胸中は如何に…
 試算されている農業への影響について、話半分としてみても、ことの重大さは否定できず、近い将来、本当に「美しい日本」は実現されるのであろうか…

○宇沢弘文(東京大学名誉教授)
・極端な対照を示すベトナムとアメリカが農産物の取引について、同じルールで競争することをよしとする考え方ほど社会正義の感覚に反するものはない
○田代洋一(大妻女子大教授)
・10カ国のGDP総額の9割以上を日米が占めることになり、TPPは「事実上の日米FTA」
・構造政策のポイントは二つ。①家族経営のそれと集落営農による協業化の二つの道。②農業経営継承者、新規就農者に対する思い切った助成策と地域社会ぐるみで彼らを育てる姿勢が大切
○鈴木宣弘(東京大学大学院教授)
・我が国の長期的な国家戦略が問われていることを認識すべき
・例外措置が全く認められないTPPに参加
 → 補償措置を何も行えない国内農業生産額 ▲4.1兆円、関連産業含む▲7.9兆円
○森島賢(元東京大学教授)
・高齢化が農業の存続を危うくさせているのではなく、高齢化が農業を危うく存続させているのである。そして低収益に耐えているのである
・やがて来る世界規模での食糧危機の中で、土下座外交どころか生き延びるために食べ物を下さい、という哀れな物乞い外交に墜ちるだろう
○小田切徳美(明治大学教授)
・アジアにおける「アメリカ外し」に対する政治的対応と理解できる
  → 日米安全保障か食糧安全保障か
・「政策のトレーサビィリティ」が明らかに後退
  → 最終的には無責任体制がまかり通る
○安藤光義(東京大学大学院准教授)
・2005年センサス:肝心の5ha以上層も24.7%と1/4が下位階層に転落するなど、期待される農地の受け手の層は次第にやせ細ってきている
・にわかに信じられないことだが、実は近年、稲作の投資マインドは好転しているようだ
○関曠野(評論家・思想史家)
・厳密に言えば「世界貿易」とは米国が第二次大戦後に世界に強要した通商システムのこと
・グローバリゼーションの本質は貿易の拡大ではなくて、ドル基軸性が可能にした「体制の危機の輸出」である
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